二十五. 灯明の道しるべ③





 高塀の内側ゆえ繋がずにおいた馬が、ゆっくり庭を周回して草を食べてまわっている。

 

 例によって、熾された火鉢の前で沖田の腕に包まれ温まっていた冬乃は、

 少し開けたままの障子の向こうに、美しいたてがみをついと覗かせた馬が、次には冬乃たちに気づき顔をあげてくるのをおもわず見つめた。

 

 鼻を動かしながら冬乃と沖田をどちらともなく眺め返してきた馬は、口をもぐもぐさせるとすぐにまた、庭土へと顔を下ろして。

 

 冬乃の背後では、ふっと沖田の笑う息がした。

 

 後ろに見上げた冬乃へ、応えて沖田がまだ笑んだまま見下ろしてくる。きっと今の馬のしぐさを可愛いと思っての事だろうと、冬乃は自然と微笑み返した。

 

 彼のお気に入りのあの馬を、このさき新選組が江戸へ帰る際には連れていけるのだろうか。

 ふとそんな心配が脳裏を過ぎり、

 

 引きずられるように、現へと。冬乃の意識は俄かに立ち返った。

 

 

 今日限りの、この家で。

 今まで以上に時の流れが止まればいいと、叶わぬ祈りを心の底へ圧し込めたまま、

 

 こんな想いは背後の彼に気取られないよう、冬乃は自然を装ってふたたび庭へ向き直る。

 

 

 夢中で晩翠の草をついばむ馬と、寒さを知らなそうに活き活きと歌う小鳥たち、雲ひとつなく澄みわたる碧空の穏やかな光景が、あまりにこの先迎える血に濡れた光景とは結びつかずに。冬乃はどうしてもこみあげる涙に刹那、きつく目を瞑った。

 

 

 まもなく京の地が、そして日本が、討幕側の手に落ちる。

 

 そんな日が来ると。

 ほんの数年前には、おもえば誰が想像できただろう。

 

 

 

 

 ときに後世では、幕政批判と攘夷と倒幕とが、たびたび同一に扱われて。

 

 いずれ倒幕側となる志士たちが、じつに初期の頃から、先見の明のごとく、幕府の時代が終わる未来を見据え目指していたかの描かれ方をされることもある。

 

 けれど本当のところ、今の時世を、このほんの数年前には誰もが想像すらしなかったはずで。

 

 尊皇攘夷運動の魁となった水戸も勿論のこと、

 今や討幕の中心となった薩摩も長州でさえも、また。

 

 

 

 あの頃。幕府の変革を求めて未だ尽力していた薩摩においては、いうまでもなく、

 

 長州においても、幕府の“不平等な“ 開国政策を糾弾して吉田松陰が企てた老中暗殺計画や、

 続く初期の長州系志士が天誅と称して起こした、数々の要人暗殺や政略暴動も、

 

 そもそも幕府を倒したい思いの上での活動であったかというと、全く定かではなく。

 

 おそらく、当時彼ら多くの志士が幕府へ求めたものは、あくまで天皇の意志への忠誠で。

 幕府の瓦解では無しに。

 

 つまり幕府が天皇から政治を預かるだけの立場であることを、これまでの傲慢を、省みて、その“失政” を改める事。すなわち当時の直近においては天皇の意志に従った攘夷への舵転換。

 

 尤もその天皇の意志が、“幕府統率下での” 着実な攘夷であったのに反して、

 彼らは“朝廷統率下での” 攘夷即時決行を求めたが為に、当の天皇を悩ませていたとはいえ。

 

 

 (・・もし)

 その頃すでに、幕府を『討ち倒す』未来までを、本当に望んでいた者がすでにいたとしたなら。

 

 それはまだ、当時では先見とはあるいみ真逆の、よくもわるくも盲目的な純真さからくる壮大な夢物語と、いわざるをえないかもしれない。

 

 それほどに、幕府との全面戦争に武力で勝利するなどと。

 それが叶うと、

 

 今、この時点に至ってすらも、

 本気で信じている者たちがいるとすれば、その思いは未だ奇跡を信じると同等の事なのだから。

 

 

 徳川・幕閣を政権から排除するという、その試みひとつ取ってさえ、

 多くの存在の思惑に阻まれ、薩摩ら武力討幕側の思うようには進んでいないというのに。

 

 

 否、進まなくて当然なのだ。

 第二次長州征伐以降、更に大きく幕府の威光は失墜したとはいえ、

 泰平の頃のそれがあまりにも強大であり過ぎただけの事、

 

 立ちゆかなくなった幕府体制から脱却すべく王政復古の成された今でさえ、

 徳川・旧幕府の、諸大名への統制力は、あたりまえに残存し、

 さらには諸外国も、徳川を政府の長と認識したまま。

 

 

 ゆえに討幕側の焦燥は激しく。

 

 めぐる人々の思惑も、いまや戦さがはじまる予感を前に、まさにかつてないほど分断されていた。

 

 これからも、慶喜を実質中心に据えての変革を、新政府の容で繋ぐべく模索する、土佐の容堂や福井の春嶽達、

 

 反対に、慶喜を政府内に据えたままでは旧来と変わらぬと憂い、排除ひいては武力討幕を志す、薩摩長州や土佐脱藩の浪人衆達、

 

 対して慶喜を政府に据えぬなど論外であり、この“謀反” を許したまま反幕派まして討幕派を新政府の中枢に据えては、もはや日本国がまとまる希望をも見出せなくなった、旧幕閣や会津達、

 

 

 さらにはその一方で、

 旧幕府として今その名を連ねながら、この先いずれ討幕を掲げることになる者達。

 

 

 そのひとつに、いま二条城に詰めている、例の水戸の在京組がいる。

 彼らは現時点では未だ、かろうじて旧幕府側の存在ながら。

 

 そして同じく徳川御三家でありながらも、既に長らく反幕寄りに傾倒してきた、あの尾張の慶勝がいる。

 

 先の大政復古では、親幕派である土佐の容堂や福井の春嶽と並び、新政府に登用されており、現段階では中立の彼らと同じくその立ち位置であるけれども、

 

 このさき帝が完全に討幕側の“手中” になるを受けて、国元の佐幕派家臣団を処断してまで討幕側につくことになるくだんの人だ。

 

 

 (それから・・・彦根・・)

 

 徳川重臣の藩、

 彦根こそ。藩主であり幕府の大老を勤めていた井伊直弼を暗殺されたのち、井伊の“失政“ の咎を一方的に負わされて、憂きめに遭ってきた藩だった。

 

 

 井伊政治の頃、孝明帝は、強引かつ性急に進められた“不平等” 開国の調印に憤り、

 再三に『幕府主導で諸藩一丸となって、攘夷の意のもと慎重な外交政策をおこなうように』との勅旨を出して訴えていたのだけども、

 

 最後のそれは、ずっと返答のない幕府にではなく、水戸藩へと託されたために、

 朝廷にとってはたとえ水戸へ託けた程度であったとしても、幕府にとっては『密旨』、つまり朝廷が正規の流れを飛ばした、まるで幕府を無視したかの前代未聞の事態として、大事になり。

 

 この勅旨を受けて奔走した水戸などの面々に対し、井伊は事態の収拾として処罰――世にいう安政の大獄――を強行、

 そして、それらが大元となって、井伊は水戸藩士らに暗殺された。

 

 つまり井伊は、幕府のために命を捧げたも同然の結末であったというのに、

 

 彼の死後に政治を引き継いだ、慶喜(当時は将軍後見職)や、福井の春嶽ら新たな幕閣が、直後に彦根へ与えた処遇も、

 その後に続く諸々の扱いも、彼らの働きを認めて救うものでは全く無く。

 

 

 徳川の忠臣たる譜代大名の筆頭でありながら、開戦において彦根が藩論一致で旧幕府を裏切った最大の理由は、その一連の遺恨にあるともいわれている。

 

 

 

 徳川方という点では、外様大名なれど親藩に近しき特殊な藩、鳥取藩も挙げられるだろうか。

 慶喜の兄が藩主でありながら、水戸同様、彼らは開戦後に討幕側へつくことになる。

 

 

 (もうひとつ・・)

 ここに数えるならば、

 親幕派と認識されてきた津藩も、外せないのだろう。

 

 王政復古以前から、京都付近にある要所警備の任についていた彼らは、

 王政復古後には、あくまで中立な立場としてその警固を続けていたはずながら、旧幕府側からは、かわらず親幕派と捉えられていた。

 

 反して彼らが、開戦後に帝を完全に擁した討幕側へと味方して、その立地的な要所から旧幕府軍を砲撃したことで、不意打ちの状況と相まって、戦さを討幕側の有利に大いに導くことになる。

 

 

 

 そして、

 勿論の事、ぎりぎりまで情勢を様子見していた大多数の藩も。

 彼らもまた、帝を擁した討幕側へと恭順し参戦することとなってゆき。

 

 

 この先の歴史の大流は、そうして開戦ののちに全ての者をいずれ否応なしに巻き込んで、

 遂には濁流の大渦へと変容してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 草を食べてはゆっくり前進していた馬の、時折揺れる艶やかな黒尾が、やがて障子の向こうに消え。冬乃は、残像の先に全姿をあらわした松へと視線を流した。

 

 奥の部屋の此処からでは、あの松の足元の枯山水までは見えない。後でもういちど最後に目に焼き付けたいと、冬乃は頭の片隅で思ってから、

 

 先程この家に来てからずっとこんな調子で、どうしても見納めたくてあれこれ眺めてしまう冬乃の様子には、沖田も何かしら気づいてしまっているのではないかと、

 そんな心配が、つとよぎり。

 

 

 冬乃は背のぬくもりに包まれながらも小さく震えた膝上の拳を、隠すように握り締めた。

 

 (・・それとも・・)

 

 いくら冬乃が、口に出しては伝えられずにいようと、

 そうしてどんなに冬乃が“肯定” しなかろうと。

 

 先程の沖田の話からしても、

 これまで冬乃のひたすら口を噤んできた様子に、沖田たちには、この先が決して旧幕府側にとって明るい未来ではないことなど“みえて” しまっているのではないかとも、思えていて。

 

 

 それも土方が冬乃を訪ねて聞いてきた、あのじつに第二次長州征伐の直前の頃からとうに、少しずつ忍び寄るように。

 

 勿論あの頃は聞いてきた土方も、未だどのような未来が待っているかを鮮明に判ったわけではないだろう。

 けど恐らく、今ならばもう、

 はっきりと。

 

 そしてそれなら冬乃に接したことで、土方たちがこの幕末の世で最も早く、国の行く末を見通してしまった存在といえるのだろう。

 

 今の時点で彼ら以外に誰が、全面戦争を向かえた際の旧幕府側の『敗北』をも、想像できるだろうか。

 

 

 

 あの第二次長州征伐では。

 諸々の不幸が重なり再起を挫かれた幕府側の、激しい落胆とは真逆に、

 

 長州やその後の討幕側に、気運と勢いを与えるにまで至ったといえども。

 

 当時、はなから闘う意気に欠いていた幕府軍との勝敗が、

 つまり互いのもつ本来の力量による結末ではなかった事ならば、討幕側とて承知の事。

 

 

 しかもそれからの幕府は、失墜した威光と癒えぬ財政難にあえぎながらも、再びの戦さを避けられぬ事態に備えるべく、着々と軍備の強化を推し進めてきた。

 

 そして今や、旧幕府軍本体ならば、薩長が束になっても勝てるはずのない圧倒的な差にまで達している。

 

 

 実際のところ武力討幕側の面々も、“本気になった” 旧幕府側と全面戦争を迎えて闘えば、勝利できるとはまず信じてはいなかったともいわれる。

 

 彼らがそれでもいま開戦をひたすらに求め、この先に強行できたわけは、ひとえに、

 今上の帝を担げる算段をつけていたが為。

 

 

 錦の御旗

 とは、帝という『正義』をどちらの軍が擁したかを示す、

 戦時における政治上の“勝利宣言”。

 

 これを示せさえすれば、

 

 『正統な軍――官軍』を名乗ることができ、

 従わない者達は『逆賊』とされ、そうなるを望まない藩をも、己達の軍に引き込むことが叶う。

 そしてそうなれば、帝を伴って国元へと逃がれ、その地で徹底抗戦をも望める。

 

 

 ゆえに必要なものは、その初期の抗戦において帝を奪還されぬよう耐えうるまでの戦力でよく、

 

 それを薩摩ならば、確実に保持していた。

 

 だからこそ彼らは戦争を切望し、画策し。現状への焦燥にも後押しされて、この先は更になりふりかまわずどんなに汚い手をつかってでも、開戦へこぎつけるべく尽力することになる。

 

 

 

 ―――けれど、こののち蓋を開けてみれば、彼らにその一連の抗戦の心積もりすら必要は無く。

 

 開戦から一日、この錦旗を討幕軍が掲げたが直後、

 

 それまで第二次長州征伐の時さながら余りに不慮の事態が多発した後ですら、各所で持ち直していたはずの旧幕府軍の形勢は、

 再び、いとも簡単に逆転してしまう。

 

 

 諸藩を含めた多くの者たちが、翻る旗を前に次々とその剣を下ろしたからだ。

 『逆賊』となるを懼れる者は、討幕側の想定した以上に遥かに数多に上ったのだ。

 

 一部の気骨ある兵と、会津そして新選組などの、

 先帝の想いを受け継ぐがゆえに、その旗が偽にも等しいと受け止める気概をもつ者達だけが、

 取り残され。

 

 

 それは昇り続けてきた気運が、

 

 討幕側へと、完全に味方した瞬間だった。

 

 

 

 

 その旗をまえに慶喜もまた、当然の如く、絶対恭順の姿勢を採った。

 

 そして旧幕府軍は、保有していた戦力全てを発揮する機会も永遠に失ったまま、

 まもなく江戸の不戦開城いわゆる“無血” 開城を経て、

 

 

 『誠の正義』を貫くため戦い続けるを選んだ者達は、やがて江戸を去り。戦さの地は会津、そして北のさいはての地へと。

 

 

 信念は違えても同じくより良い国をめざして、両者の間で長らく繰り広げてきた血で血をあらう闘いは、

 

 最後まで互いにその志を交えること叶わず、

 そうして終止符を打つまで、続いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 縁側に降り立った小鳥が、首を傾げるように、部屋の中を覗いた。

 

 少し吟味したかの間をおくと、軽やかに縁側の端まで跳ねてゆく。

 追うように舞い降りてきたもう一羽が、同じく縁側を辿りだして、まもなく二羽は歌い合うようにさえずりを奏ではじめた。

 

 可愛い歌声の合間には、今や家のおもてに居る様子で土間の方角から聞こえてくる時折の、まのびした馬の嘶き。

 

 そんな束の間な生き物たちの合唱ののちに、縁側の端まで辿り着いた小鳥たちが空を仰ぎ、再び高らかに飛び立ってゆき。

 

 

 変わらぬのどかな光景は、なおさら冬乃の胸を締めつけていた。

 

 

 (・・・人が、戦争なんて、しなかったら)

 

 そういう存在でさえ、なかったなら。

 

 

 (・・どうして、)

 

 大切な者を喪い、数多の犠牲に苦しんで、

 二度と繰り返すまいと。人々はそのつど祈り誓ったはずが。

 

 その悼みをまるで忘れたように、やがては再び戦争の時世を迎えてしまう。平和的な解決など、またも叶わないまま、

 いつの時代も、これが人の限界であるかのように。

 

 伊東や龍馬のような抗う存在が、いつかはそんな限界に勝利する日など、望めるのだろうか。

 人の世から、永遠に戦争が無くなる歴史など。

 

 


 『どいつも伊東さんのような人ばかりだったら、元からこんな乱世にもなっちゃいない。流すしかねえ血もある』

 

 土方の言葉が脳裏に想い起され。冬乃は小さく息を吐いた。

 


 人の世への、諦念とすら形容できるその言葉。

 土方達は、戦争も、死も、当然のように受け止めている。全てのはじまりから。

 何もかも、

 

 いつまでも受け止められずにいるのは、冬乃のほう。

 

 

 それなら、――――

 

 沖田が欲している答えもまた、受け止められないままなのは冬乃であって。彼ではないのだから。

 

 彼が望むなら、

 冬乃は隠さずに伝えるべきなのではないか。

 

 

 

 

 

 

 

 冬乃を包んでいた沖田の腕が上がり。

 

 「だいぶ温まった?」

 その手はそっと、冬乃の頭を撫でた。

 

 「はい・・とても・・」

 冬乃は温かな掌へとおもわず頬を摺り寄せながら、後ろに沖田を見上げた。

 「ありがとうございます」

 

 安心したように見下ろす優しい眼が微笑んで。

 「久々に来られて良かった」

 強い腕が再び冬乃を抱き寄せる。

 「ふたりきりになれる機会も、これからは減るだろうから」

 

 (総司さん・・)

 

 「あまり長居できないのは残念だが、」

 

 「話の続きをしたい」

 そしてまるで時間を惜しむように続けられた沖田の促しに。はっと冬乃は再び振り返った。

 

 「冬乃が教えてくれたように」

 そんな冬乃を、また全て見透かしてしまうあの眼が、捉え。

 

 「近藤先生の死期が、翌四月ならば」

 

 冬乃は、

 息を呑んだ。

 

 

 「先生には今ご病気の様子が無い以上、先生の死の理由として真っ先に考えうるは、この後に始まるだろう戦さでの戦死だが、・・」

 

 それで正しいか

 そう静かに問う眼差しが、そして冬乃を見遣り。

 

 

 彼の辛そうな面持ちを前に、冬乃は慌てて頷いていた。

 

 戦死ではない、

 元の歴史のままならば、斬首という結末になる

 

 冬乃には、当然それをいま明かせるはずも無い。

 

 

 その時が来る迄には、明かさなくてはならない事だろう。元の結末から近藤を違う結末へと導くには、きっと沖田の協力が不可欠なはずで。

 それは分かっていても、

 未だその勇気を奮い立たすことは、冬乃にはできそうになかった。

 

 けど一方で、名誉の戦死ではない別の死である可能性を、

 既に、冬乃の先日の反応によって、沖田には懸念されてしまったのではないかとも。

 

 その胸内に淀んでいる不安を併せて押し込めると、冬乃は沖田を窺い見上げた。

 

 「この先もし・・」

 

 沖田が、そんな冬乃の瞳を注意深く見返してくる。

 「俺がこの命の尽きるまで、先生を護り闘う事が叶うならば、」

 

 「俺の死期は、最も遅くとも、先生の死より後である事は無い」

 

 

 冬乃は。

 

 今度こそ愕然と、瞳を見開いていた。

 

 

 「・・・そういう事になるが、」

 

 

 

 (ばか、私・・・)

 

 

 ―――そうだった

 

 

 「もう一度聞きたい。俺の死期は、いつ」

 

 

 近藤が『戦死』する時が来るのならば、

 それは沖田の『護りを失った後』でしかない。

 

 冬乃が近藤の戦死を肯定するのなら、

 

 それより前の、沖田の戦死をも肯定すると、同等の事ではないか。

 

 でなければ、

 

 元の歴史で沖田は、彼の望む死を迎えなかったのだと、

 伝えていることになってしまう。

 

 近藤を護り闘っての死ではなかったと。

 

 

 

 

 (・・・それ・・だけは・・・・)

 

 

 

 

 「総司さんの、仰る通りです・・」

 

 こみ上げてくる涙を冬乃は、止められずに唯、俯いた。

 

 

 「近藤様より、少し前・・の・・・同じ四月、に、総司さんは・・・」

 

 堰を切った涙が頬を滑り落ち、握り締めたままの両手を濡らしてゆく。

 

 「答えてくれて有難う」

 

 何故かほっとしたような声音が降ってきても、冬乃は顔を上げられず弱く首を振った。

 (ごめ・・なさい)

 近藤の死因も、

 いま沖田の死期すらも偽った事に、声に出せないまま赦しを乞うて。

 

 沖田の本当の死期は。近藤の死の、二月後。

 

 後世に伝わる沖田の最期の頃には、世間から隔離された千駄ヶ谷の地で、彼を訪ねる者たちは近藤の死を隠し続けて、

 彼は知らされぬままに、最期まで近藤の安否を心配し続けていたという。

 

 (総司さん・・)

 圧し上げてくる慟哭を冬乃は堪え、涙で濡れきった膝上の拳を強く握り締めた。

 

 

 冬乃の背ごと包みこんでいる沖田の、大きな手がそっと、冬乃のそんな両の手を覆った。

 

 「まだ猶予がある事に安心したよ」

 

 落ちてきた言葉に、冬乃は驚き。ついに沖田を後ろに見上げた。

 

 本当にまるで心の底から安堵したような表情をみせている沖田を映し、冬乃は瞳を見開いた。

 

 (猶予、なんて)

 

 彼が己の死期を近藤よりも前と想定したなら、確かにいま冬乃が答えたような近藤と同じ四月ですらなく、それよりずっと前の可能性だって考えられたのだろう。

 

 だからこそ僅か四月までの命と確認してさえも、むしろそれをまだ猶予と。

 

 

 (どう・・して)

 そんなふうに、受け止められるのか。

 

 冬乃は今なお驚嘆と、それ以上に伴う哀痛の想いに覆われる。

 

 彼ら武士が、明日をも知れない命を当たり前のようにして日々生きていることを、冬乃はもう散々に分かってきたつもりでいても。

 

 

 (・・だけど)

 

 貴方が受け止めることができても

 

 あと数月は、私にとっては

 猶予なんかじゃないんです

 

 

 堪えてきた慟哭ごと叫び出しそうになる言葉を、冬乃は咄嗟に抑え留めた。

 再び溢れた涙を、慌てて前を向いて隠し。

 

 

 「・・すまない」

 

 「辛い事を聞いてばかりで」

 冬乃を包む腕が、俄かに強まり。

 

 「・・冬乃を遺して先に逝く事も」

 苦しげな声を、耳元に受けた。

 

 (総司・・さん・・)

 

 その死期は、歴史の流れに定められ抗うすべもない運命なのに。それでもそんなふうに冬乃に謝る彼へ、冬乃はもう返す言葉も見つからず、

 唯うつむいたまま、変わらず首を振ってみせるしかなかった。

 

 「冬乃には・・俺がいなくなった後も無事に、幸せに生きていってほしいと願っている」

 

 

 

 冬乃は、顔を擡げていた。

 

 今かけられた言葉の意味を。理解が追いつくまでに、暫しの時を要して。

 

 

 (それ・・、て)

 

 

 「ここからは先程の、山での話の続きだが」

 

 沖田を振り向く冬乃に、彼は何かを籠めるように双眸を合わせてきた。

 「やはり、冬乃が元の世に帰れる確かな方法が、もし見つかれば」

 

 「その機会を逃さずに、」

 未だ冬乃の心のほうが理解に追いつかない間も、発せられる彼の言葉は、次々と冬乃の鼓膜へ落ちて。

 

 「帰る事を一番に選んでほしい」

 

 冬乃は、ついに戸惑いのまま呆然と、沖田の双眸を見つめ返した。

 

 「それがもしも一度きりの機会ならば、俺の死より前であろうと」

 

 帰ってほしい

 

 確かにそう繰り返した沖田の言葉を。最早、冬乃はうわの空のように聞いて。

 

 

 「・・い・・・や、です・・」

 

 漸う押し出した冬乃の声が、掠れた。

 今の彼の物言いは、元の世へ永遠に帰れという意味なのだと。それだけは理解して。

 

 

 元の世へと帰される

 それはきっと逃れられないであろう冬乃の近い未来。

 

 それでも決して、沖田の最期を見届けることさえできずに帰されるなど、到底受け入れられる選択ではないのに。

 

 (なん・・で)

 ずっと懼れていたそんな事態を、

 まさか沖田から選ぶように言われると想像もしていなかった冬乃は。

 胸内を切りつける鋭い痛みに戸惑いに、震えた手をおもわず沖田へと、縋る想いで伸ばしていた。

 

 彼に指先のふれた刹那、

 

 古寺での桜舞う、もうきっと見ることは無いあの光景が、

 不意に冬乃の脳裏に想い起され。

 

 冬乃は、はっとして動きを止めた。

 

 

 『無事に、幸せに生きていってほしい』

 

 沖田の先の言葉が、耳奥に残っている。

 

 もう冬を越すを望んでもいない冬乃に

 まるで、また春を見せられるようにと願うかの、その言葉

 

 

 (そう・・・だった・・)

 

 冬乃自らが近藤の死因を問われたつい先程、この後の開戦を確かに肯定してしまった。その上、

 沖田には、その全面戦争の結末もその後さえも、やはり想定できてしまっているのだとすれば。こんな今の世に、もう間もなく己の死後ひとり残される冬乃へ、

 

 今となっては最も安全な元の世へと、帰れる方法がもし見つかるならば帰るようにと。

 沖田ならそう望んでくるに決まっていたではないか。

 

 彼が己の死期を確かめようとした訳も、ひとつにこの先の冬乃にとって最善の道は何かを、そうして判断する為だったのだろう。

 

 

 (・・総司さん・・・)

 

 

 「違、う・・んです」

 

 だけど冬乃が望んでいる道は、

 

 

 「どうか・・・」

 

 貴方がいない世界を

 生きてゆく道じゃない

 

 

 『生きていってほしい』

 

 

 反するその言葉は今、

 冬乃の心をきつく縛り付ける。

 

 

 ――追わせて

 

 冬乃は、その喉まで出掛かった願いを必死に抑え込んで、

 

 一気に溢れ落ちた涙も払い忘れて、唯、指先の向こう、沖田の襟を力なく握り締めた。

 

 

 そんな冬乃の内に秘めた願いなど。

 

 (・・貴方は、もしかしたらもう・・・わかってて・・・)

 

 

 

 「居させて、ください・・」

 

 弱く震えた声になりながら冬乃は、握り締める沖田の襟元へと額を寄せた。

 

 

 追うことを

 認めてはもらえないというのなら

 

 

 (・・せめて)

 

 「総司さんと過ごした、此処の世に・・・」

 

 

 時の壁に阻まれ。それすらきっと叶わないことなど、わかっていても。

 

 

 (それでも貴方にまで許してもらえないなんて、・・そんなの・・・)

 

 

 「おねが、い・・」

 此処に居ていいと、言って

 

 (貴方だけは)

 

 

 

 零れ落ちた冬乃の縋る声は、まもなく堰を切った涙ともはや止めきれない慟哭で強くしゃくり上げた。

 

 「・・御免、冬乃」

 いっそう辛そうな声が落ちてきても、

 冬乃はもう、喉を込み上げる自分の泣き声を止めることも叶わず。

 

 これまで堪えていた全てが、心の奥底からいま溢れ出て押し寄せるかのように、

 冬乃は、込み上げ続ける泣き声に自身で驚いてもなすすべなく、沖田の胸元にしがみついたまま、呼吸も侭ならない咽びに喘いだ。

 

 「冬乃、御免・・冬乃」

 こうまで泣かれるとは、沖田とて思いもしなかったのだろう。幾度も謝り呼びかける沖田の声を、冬乃は己の声の狭間に聞いた。聞いても、もう堰を切ったきりの慟哭を自身で収めるすべのない冬乃は、沖田の襟元が冬乃の涙で濡れそぼつなか、懸命に顔を伏せるしかできずにいた。

 

 「・・ご・・・め、なさ・・」

 

 漸う言葉を押し出せるまでに、どれほどの時が経ったのか、

 

 冬乃の背を撫で続ける沖田の大きな手と、しだいに呼吸の波が合ってゆき、やがて冬乃の感情の疾風が少しだけ落ち着くまでに。

 

 未だ嗚咽は続く内で、冬乃は取り乱したことを詫びようとして、俯いたままにもう一度、ごめんなさい、と呟いた。

 

 つと冬乃の背から手が去り、かわりに硬い腕が回って冬乃を一瞬、強く抱き包めた。

 彼も再び「御免」と、否、それ以上の言葉には成らない、あらゆる想いをも籠めるかのように。

 

 まもなくその力は緩められ。覗き込むような気配を感じても、顔を上げられないでいる冬乃を察したように、

 「このままでいいから聞いていて」

 そんな前置きが落とされ。

 

 「世がこうなった今、俺があと数月で冬乃の傍に居られなくなる以上は、元の世へ帰る事をあくまで最善の選択肢として据えてほしい。・・冬乃の気持ちに副わぬ願いを言ってすまない・・だが、この気持ちは変わらない」

 

 (・・・っ)

 

 ただ、

 と沖田の気遣う声が落ちた。

 

 「その機会が無いままならば、以前に伝えたように近藤先生の奥方を頼って、・・援け合って、生きていってほしい。世が落ち着くまで身を隠す住まいなど新たに必要な手配については、四月迄に整えておく」

 

 

 「・・・ありが・・とう・・ございます」

 震える声を無理やり押し出し、冬乃は顔を伏せたままにきつく目を瞑る。

 

 (・・それ・・なのに)

 時の隔たりの壁、その変わらず聳える此処の世との疎外感が、

 冬乃に直観ともいえる予感を根強く植え付けたまま、それは拭い去るのも叶わぬ事。

 

 沖田が冬乃のためにこうしてどれほど遺してくれても、

 どんなに冬乃が願っても拒んでも。

 すべての使命を終えた時、きっと冬乃は元の世へ帰されてしまうのだろうと。

 

 

 まさに、

 今の沖田の望むように。

 

 

 

 (・・けれど)

 

 冬乃の心を凍えさせてきたその疎外感を、その苦しみを、沖田が知らなくても。

 

 そして跡形なく、沖田との変えられたはずの全ての軌跡は此処の世から消え去り、元のままの歴史の流れへと帰されてしまう事が、

 それがいずれどれほど冬乃を苛むか、彼には想像のしようがなくても。

 

 

 なにより、沖田の望みが、冬乃の身を心配し想っての事であると。もう痛いほど伝わってきても。

 

 

 (それでも私は、・・ただ)

 

 許してもらえたらと、どうしても望んでしまう。

 沖田を少しでも感じられる此処の世に、居続けられることを。

 

 (貴方にだけは・・・許されたかった)

 

 

 

 そして

 なによりも本当は

 

 

 

 

 

 

 不意の、澄んだ鳴き声に呼ばれたように冬乃は、沖田の腕の中で彼の胸元に横頬を寄せて、声のした庭先へと目を向けていた。

 

 翡翠の羽が、涙に霞むままの視界から飛び去ってゆき。

 

 あらわれたその向こうを

 いつのまにかあの山から運ばれて来たかの粉雪が、はらはらと、舞い。

 

 

 その天泣に、

 

 この魂の――千代の、

 言の葉がまるで、舞い落ちてくる錯覚が刹那に重なって。

 

 冬乃は、胸内へ降り積もるその言葉を叫んでしまいたい想いに、再び酷く駆られた。

 

 

 『離れたくない

 

 

 もう二度と』

 

 

 

 ――連れていって

 

 

 その本当の願いは

 

 気づかれているかもしれなくても、

 拒まれるとわかっていても。

 

 それでも声にして伝えなければ後悔してしまう

 

 そんな想いにまで、押され。

 

 

 

 「総司さん・・、私は・・・」

 冬乃は沖田の胸元へ向き直って額をうずめ、震えてしまう手を彼の襟元から離せずに、

 

 「貴方を・・・追わせて、もらえるなら、・・」

 

 意を決して伝えたい言葉たちを、掠れてしまう声に懸命にのせてゆく。

 

 「あとすこしの、月日も・・もう辛くなくなるんです・・」

 

 

 冬乃を包む沖田の腕に刹那、堪えるような力が籠もるのを感じた。

 

 「・・・お願い、・・離れたくない・・・」

 

 目の前の襟を冬乃は強く握り締める。

 

 

 「総司さんのあとを、追わせて・・・一緒に死なせて」

 

 

 奥底の魂から訴えてくる言の葉が。冬乃の心を埋め尽くしてゆく。

 

 

 

 今度こそ、離さないで――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 「わかった・・・一緒においで」

 

 

 

 

 (・・・・・え・・?)

 

 

 

 「――そんな事を。言えるわけないだろ・・」

 

 たまらず遂に顔を上げた冬乃の瞳に、見下ろすあまりに辛そうな表情が映り、

 冬乃は刹那に言葉をうしなって。

 

 

 「・・俺が、冬乃に望む事は」

 その表情が揺れ。冬乃の片頬には沖田の掌が添えられた。

 

 「冬乃が天寿を全うする事。そして、」

 

 冬乃を慈しむ眼差しが、今の言葉に瞳を見開いた冬乃を見つめ返す。

 頬に添う温かな手は冬乃の涙を柔くぬぐうと、

 上がって髪上の櫛に、そっとふれた。

 

 

 「二の世で再び出逢う事」

 

 

 

 (・・あ・・・・)

 

 

 『俺と冬乃としてではなくなっても

 

 必ず、また一緒になろう』

 

 

 あの日かわした

 互いの魂の、再逢の契り――――

 

 

 

 「どれほど時を経ようと。必ず、迎えにいく」

 

 

 

 

 

 冬乃は、涙の明ける霞みの晴れた視界に、

 冬乃への深い愛情を湛えた双眸を映した。

 

 

 (総司・・さん・・・)

 

 

 「それまで待っていてほしい」

 

 

 

 此処の世に留まる願いも

 彼を追う願いも

 なにひとつ許してはもらえないというのに

 

 

 彼はそうして冬乃を

 訪れる別離の苦しみに、縛り付けるというのに。

 

 

 

 (・・・それなのに)

 

 

 

 『どれほど時を経ようと。必ず、迎えにいく』

 

 

 この魂に向けられた、その誓いは、

 

 冬乃の心を再び氷のように覆い尽くしていた疎外感を絶望を、溶かして。

 それどころか、

 

 この魂――千代と沖田がかわした再逢の契りをも、

 その誓いはまるで包みこむように。

 

 

 (・・・ちがう、)

 

 今の誓いは、その契りを遥かに超えた想いを伝えている。

 

 時の流れを超越した彼の究竟の魂が、今、

 沖田に、言の葉で言わせ伝えさせたかのように、

 

 まっすぐに、この魂――千代へと。

 

 

 千代と沖田、二人の再逢ならば、冬乃と統真によって既に果たされているのだから。

 それでも尚、罪の呵責が為に苦しみから解放されないままでいた千代の、

 救済に、

 導かれたこの奇跡のなかで。

 千代と冬乃の、魂から、真に願い続けてきたものが、

 

 今ようやく誓われたのだとしたら。

 

 

 こんなにも深いやすらぎを、

 冬乃の心の奥底から感じているわけも、きっと。

 

 

 

 (そういう・・こと・・だったの・・・?)

 

 

 

 離れたくない

 

 もう何処の世にも行かず、永劫に魂でそばにいさせて

 

 

 その真の願いは、

 

 

 彼の『究竟』の魂が、統真として冬乃、千代の魂と再逢を果たした先、

 冬乃の天寿ののちに本来ならば約束されるはずだったのではないか。

 

 

 けれど千代自身で生み出した罪にまみれたままの、この魂は、

 まずその罪を苦しみを拭い去り、浄化されなければならなかった。

 決して仏の力による強制ではない、自らの意思に縁って。

 

 

 (・・・それとも)

 

 始まりはもっと、ずっと前に。

 

 沖田の魂が肉体を離れ、迎えに来た千代の魂とふれた時、

 千代の果てのない苦しみを知ったとしたら。

 

 二の世を擲ち、千代の救済が為、究竟と成る修行に投じたのが先なのか。

 

 

 それだけではない。その始まりより、

 

 想いは世を隔て更に強まるばかりの、千代の真の願いをも叶えるが為に。

 

 

 

 いま冬乃の心奥、まるで魂からの直観のように解ることは、唯、

 始まりがたとえいつからであっても、

 

 (この奇跡は)

 

 千代の魂の浄化――救済だけを、見据えたのではない、

 

 

 『どれほど時を経ようと』

 

 二の世を超え、時の流れをも超え

 

 

 救済を経て

 

 

 『必ず、迎えにいく』

 

 

 

 『浄土』よりもさらに先、

 

 永劫に二人が別つことのない、無常を超えた『涅槃』へと、

 

 

 迎えるための奇跡――――だったのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 いつか、

 冬乃が沖田の願いの通りにこの天寿を全うしたとき。

 

 

 (貴方に・・総司さんに、また逢える)

 

 


 「はい・・・」

 

 沖田の澄みわたる双眸が、しっかりと顔を上げた冬乃を見つめ返す。

 

 「待ちます・・“二の世で” 迎えに来てくださるのを・・」

 

 

 貴方の傍に、とわにいられる時が来るその日を。

 

 

 

 

 深く安堵したように沖田の強い抱擁が、それから冬乃を長く包んで。

 

 粉雪の止んだ碧空から穏やかに降り注ぐ光は、そんな二人を柔く照らし続けた。





 



 





 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る