幕間劇その三 ある日の放課後 SIDE:エース
「ファミレスの定食も捨てたものじゃないね」
「その見た目で煮魚定食ってどうなのぉ?」
「煮魚に見た目は関係ないっしょ?」
「煮魚黒ギャルってどっかの銀髪に馬鹿にされるよぉ?」
「いいのいいのっ、なんと言われようと美味しさに変わりはないし★」
「確かにぃ……はぁ、姐さん大丈夫かなぁ」
「取って食われてたり……してなくはなさそう」
「心配……心配すぎて辛いぃ……」
「そだねぇ……」
「いやつうかなんであたしここいるわけ?」
「呼んだら来たんじゃん」
「そうだけどそうじゃないでしょー」
「まさか呼んでからここに来るまでの記憶をぉ……?」
「違うよ、これ以上ないぐらい鮮明に覚えてるってのー」
「あれよ、あれ。折角テスト終了日が被ったのに放課後リーダーに放置された可哀想な人の集まりみたいな★」
「別にあたしは四六時中一緒にいるわけじゃ」
「でも今日は遊ぼうかなとかちょっと考えてたんじゃないんですかぁ?」
「いや、あたしは……」
「まあまあ、たまには一緒に傷の舐め合いしよ★」
「屈辱的過ぎて死にそうな響き」
「言ってる本人もダメージ受けてるからノーカンってことでお願いしまぁす♡」
「だったら言うなよー」
「だってさぁ、姐御ったら今日誘いにいったらさぁ」
「ここから長くなるから聞かなくていいですよぉ」
「あ、はい」
「実際あなたとはちょっと話してみたかったんですよぉ」
「えー、話すことあるー?」
「同じタイプの魔法少女としては、色々言いたいことありませんかぁ?」
「同じタイプー?」
「魔法使わない系魔法少女♡」
「……あぁ。まあ確かにあたし達は魔法少女の概念を根本から否定しちゃいるけどさー」
「魔法なんかよりも自分の技術のほうが千倍頼りになるって信じてますもんねぇ?」
「間違ってないしねー」
「でも肩身狭いよね」
「黒ギャル侍帰ってきたん」
「お陰様で。今回わかったけど、やっぱアタシら火力足りないよね」
「ああ、うん。まあねー」
「やっぱりさっくり殺せる人型の敵と戦いたいですよねぇ」
「いやそこまで思考血に染まってないけどー」
「やっぱ強者と斬り合いたいよねー、格上相手に全身斬り刻まれながらも崖っぷちの所で一閃叩き込んで泥臭い勝利を手に入れたいのが乙女心ってやつだし?」
「アンタの乙女の定義どうなってんの」
「斬り刻まれながらって変態ですよねぇ。一方的に追い詰める快感を知らないなんてかわいそぉvv」
「アンタに可哀想扱いされる黒ギャル侍が可哀想だよ」
「やっぱこの子ヤバいよね」
「今回ばかりは同意かな」
「えぇ、ひどぉい」
「酷いのはアンタの性癖だっての」
「じゃあ戦うの嫌いなんですかぁ?」
「…………」
「やっぱ同種じゃん★」
「まあ、多少は……うん」
「それじゃあ今度こそ乙女らしい話題しましょうよぉ」
「いいねぇ、なんにするー?」
「誰と殺りたいか♡」
「お前それ言葉だけ聞いたら大変なことになるからね?」
「ド変態過ぎて引くわー……」
「でもでもっ、戦いたい相手いるでしょぉ!?」
「まあねー。アタシはそうだなー……やっぱキミと、君のところの大将と横にいる黒いのかなぁ」
「うふ、それは皆同じだろうからぁなしでぇす♡」
「アレはー? ストームにいるちっちゃいの」
「あー、ヤヨイちゃんですねぇ。確かにあの子もこっち寄りかなぁ」
「だね。アタシはアキもいいかなー。技術よりもパワーで捩じ伏せる感じ、凄い好み」
「黒ギャル侍、顔がガチになってるから」
「侍出ちゃってますねぇ」
「あはっ、気の所為気の所為」
「そのモード切替の落差どうなってんの?」
「刹那は心に武士を飼ってますからねぇ、本性は隠せないんですよぉ」
「うちの黒いのとやってた時も凄い眼してたからなー」
「あんまり言われると傷付くよー★」
「心に加虐趣味の化物飼ってるよりはマシじゃないのー?」
「確かに」
「うふ、流れ弾痛ぁい♡」
「ま、いいや。んで銀髪、キミはどうなのよ」
「あたしー? そうだなー……アンタら二人共決着つけてないし、そっちの親分とは多分楽しめるかなー」
「ルミナス人気ないね」
「あそこは魔法主体ですからねぇ。姐さんはわたし達みたいなのとは相性すっごく良いから楽しめると思いますよぉ」
「防御かったいわ攻撃は物理だわで楽しい要素しかないしなぁ姐御は。やらせはしないけど」
「あ。ところで一つ聞きたいことあるんだけど」
「お、なになに。なんでも答えるよ、あいが」
「うふっ」
「怖い怖い怖い。いや、あれよー。アンタら、遠藤梓葉相手に過保護な感じするけど、喫煙止めないのかなーって気になってたんだよねー」
「……喫煙?」
「してしましたっけぇ?」
「あれ、あっちだとパイプ持ってたよねー?」
「ああ、あれイチゴ味の無害な煙ですよぉ」
「スイーツ感覚だったかー」
「最初普通の煙管だったらしいんだけど、めっちゃむせて魔法少女どころじゃなくなったから使い魔が気を利かせたってアイテム屋がいってたね」
「あいつは掘り下げる度に威厳が失われていくなー」
「なんだかんだで一番普通に女の子やってるからね、姐御は」
「だから良いんですよねぇ、姐さんは」
「追っかけかなにかかなー?」
「勢力なんて大体リーダーとその追っかけで構成されてるもんじゃないの?」
「もうちょっとオブラートに包もうよー」
「否定はしないと」
「嫌な奴に付いていく程、あたしも物好きじゃないからねー」
「ま、そういう事だね。はぁーあ、全力出したいなぁ」
「次の魔法使いに期待ですねぇ」
「願いごと叶えるんじゃなくて戦いたいから魔法使いと戦うって、大分アレだよねー」
「折角魔法少女になったんだから、好きなだけ撃ちたいじゃないですかぁ。ねぇ?」
「一緒にすんなトリガーハッピー」
「どっちも大概だと思うけどねー」
「キミに言われるのは心外かな★」
「……」
「……」
「……」
「楓達、大丈夫かなー」
「ねー」
「ですねー」
幕間劇その三 ある日の放課後 SIDE:エース 完
マジカルガールズデストラクション-高度に発達した打撃は魔法をも凌駕する- 風上 萬月 @Kazakami0315
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。マジカルガールズデストラクション-高度に発達した打撃は魔法をも凌駕する-の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます