第54話 吉報
現地人間の強制退去。
そんな事、上手くいく筈がない。
立ち退きを拒否し、居座る住民。
組織される、勇猛な自警団。
最高司祭からの、我々の関知しない勢力との主張。
それはエルクの予想通りの展開であり。
待ち望んだ展開であった。
エルクは、信頼がおける人材──アンリとノエルを派遣した。
作戦は単純だ。
わざと負けて撤退、ファーイーストは領地を放棄。
後は、人間達が自分で国を運営・・・柱の恩恵は無くとも、海に面した国・・・なんとかするだろう。
アンリもノエルも、もとは聖界のそれなりの人物。
この作戦は本意だろう。
程なく、アンリが帰還した。
アンリが、笑顔で告げる。
「エルク様!吉報です!」
「ご苦労」
エルクが、笑顔で労う。
「アルケーの自警団の団長、ワルテールは無条件降伏致しました。民は、御神を信仰し、エルク様を王としていだくそうです。ファーイーストを解体するか、属国とするかは、相談させて下さい。今は、臨時領主として、ワルテールを任じております」
「何故だ」
ノエルの報告に、エルクが呻く。
勝ってどうする。
しかも、何故降伏するんだ?
俺達は魔族、しかも吸血鬼だぞ?
ふと気づいた様に、アンリが補足する。
「大丈夫です!周辺の村・・・セリア要塞の元住民も含め、エルク様に伏するそうです!」
「大丈夫じゃない」
アンリの発言にエルクが突っ込む。
何故・・・こうなった・・・?
流石に、自分を王と崇める民を、切り捨てる訳にはいかない。
攻め込まれないのは、まだ救いか・・・
「エルク様、物資の支援を行っても宜しいでしょうか?」
ノエルの問いに、エルクは溜息をつくと、
「分かった、手配してくれ」
そう告げた。
******
此処でまた休載致します。
再開時期は未定です。
お付き合い下さり、有り難うございます。
最弱吸血鬼エルクは嫁を貰って静かに暮らしたい 赤里キツネ @akasato_kitsune
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