骨董屋むかしむかし〜不思議な店主と一羽の烏〜
@Akatsukisyusin
第1話 プロローグ
神奈川にある小さな街にその店は建っていた
そこは、小さな骨董屋で店の風貌は西洋風
よく言えばモダンな、悪く言えばまぁ古臭い店だった。
その小さな店に不釣り合いな大きな木造の看板には、墨で書かれた骨董屋の名前が。
むかしむかし、と。
この店はいつ建てられたのか街の人は誰も知らない。
街一番の長生きなおばあさんは、子供の頃からあるという。
そんな骨董屋を営むのは一人の男性。
烏の濡れ羽色と呼ぶにふさわしい黒の髪に、
今日では珍しい真っ黒な瞳を持った精悍な顔立ちの男性だった。
名を黒須炎真と言う。
性格も穏やかで、いつも笑みを浮かべていて、周りの人々からも好かれていた。
けれど…
黒須には不可解な噂があった。
曰く、カラスと話すことが出来るとか。
曰く、その骨董屋は地獄と繋がっていて、店主の黒須は門番の役割をしているとか。
曰く、黒須はその美貌で千年はとうに生きているとか。
曰く、曰く、曰く……
調べれば調べるほど、不可解な噂はどんどん出てくる。
しかし、そんなことは関係ないとばかりに、今日も黒須は店を開きお客様を待っている。
「ようこそいらっしゃいました、骨董屋むかしむかしへ。
あなたのお宝鑑定いたします。おや、あなたは何も持っておられない。ならば、お悩みでしょうか。
私に出来ることならば、手助け致しましょう。」
骨董屋むかしむかし〜不思議な店主と一羽の烏〜 @Akatsukisyusin
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