ある男子高校生の会話

 高校時代のこと。


 僕の通っていた高校は男子校で、学校までの道のりで近所の女子高の女子とすれ違ったりすると、決まってこんな会話をしていた。


「・・・・おい・・・」

「ん?」

「今のどうよ?」

「・・・あ、わりい、俺ちょっとちがう・・・」

「マジ?」

「うん・・・俺、やっぱ違う・・・」


 何が違うとかそういう具体的な説明はできないのだが、お互いになんとなく納得する。


「あ、あれ・・・」

「うん、いいね」

「やっぱセーターだな」

「お、マジ?お前も?」

「お前もってお前も?」

「うん、なんかさあ」

「うん・・・」

「胸のふくらみが、微妙だよな」

「そうそう、俺は紺だな」

「え?エンジの方がやわらかそうじゃん?」

「あ、それ、アリかもな・・・」


 なにがアリなのかよくわからないのだが、そういうことはどうでも良いのである。

 ぐっと来るのである。


「あ、あれは負けた・・・」

「どれ?」

「あれ・・・あの、マフラーの・・・」

「あ、ああ・・・・あれは完全に俺たちの負けだな」

「ああ、マフラーあんな風にまかれたらな・・・」

「うん・・・勝てないな・・・」

「すっげ~かわいいな・・・」

「ああ・・・」


 勝ち負けは関係ない・・・


 やがて学校にたどり着き教室に入ると、今日もむさ苦しい男たちがプロレスごっことかして騒いでる。


 まあ、男だけだとこんなもんだわな・・・


 ふたり同時に、


--- 共学行きてえよなあ~~~

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恋のようなそうじゃないような Kei @little_kei

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