第三十三話 シトラス先輩の事情に、ほんのりと甘い結末! 系な?~③結局の所これで落ち着く無難Ver~

「はい、これ? シットランに読んで貰いたいんだ?」

「系な?」


 シトラス先輩は、私にクエン酸先輩自作のキャラクターの封筒を渡して来た。いつもと同じ封筒だ。クエン酸先輩とシトラル先輩が私に渡してきた物と同一だ。

 しかし、一つだけ違うところがあった。


「これ、いつもとが違う! 系な!」

「それは、シトラルではなくが、書いたからだよ」


 それから、シトラス先輩からの手紙をじっくり読んで吃驚した。

 私は、シトラス先輩を振り返る。

 シトラス先輩はにっこりと微笑んでいたが、レモン先輩が声を張り上げた。


「シットラン! 私が、最後の剣道の稽古相手だ! かかって来い!」

「……! 望むところだ! 系な!」


 私は、剣道の格好に着替えて、レモン先輩と対峙した。

 そして、構える。


「始め!」


 審判が、開始の合図を告げた。


「先手必勝、系な!」


 私は、中段の構えで攻めて行く。

 竹刀しないをはじく音が激しく響き渡る。

 九百九十九勝を上げている私には、レモン先輩の太刀筋が手に取るように分かる。

 しかし、レモン先輩は顔色一つ変えない。

 まっすぐに私の竹刀しないの動きを見ている。


『一年前――』


 勝負の途中で、私の心に雑念が入った。先ほど読んだシトラス先輩の手紙の内容が思い起こされる。


『俺は、一年前、シトラルと一緒に出掛けた先で、面白い仲間が出来たら贈ろうぜ。という軽い気持ちから、購入した』


 私は、レモン先輩の繰り出される竹刀しないを払い除け続ける。


『しかし、シットランに渡した直後、何故か厄介なことにレモンさんがシトラルから貰った物だと主張し始めた。、だ。ようだが、喧嘩した際にらしい。厄介なことに、ようだ』


 突然、レモン先輩が、私の竹刀しないをいなして来た。

 私は、バランスを崩し掛かり、肩すかしを食らいそうになる。

 レモン先輩が上段の構えで、竹刀しないを振りかぶってきたのが分かった。


『また厄介なことに、その事をシトラルに知られてしまった。しかも、シトラルがシットランに迷惑をかけようとしたことを知って俺は激怒した。ペンダントもが、シットランは誤解したようだが、丁度ようだ』


 私は体をひねって、竹刀しないを横にして頭上で受け止める。

 竹刀で竹刀しないを払うと、レモン先輩と私は後ろに飛び退いた。

 集中力が研ぎ澄まされる。つま先から、頭の先まで、神経が行き届いている。

 しばらくの対峙の後、レモン先輩が踏み込んできた。私もすぐに踏み込んでいく。

 竹刀しない竹刀しないが交差する。


「面ーッ!」

「胴ーッ! 系なーッ!」


『だから、俺のせいで巻き込んでゴメン。でも、重要というか最重要なひとは誰かは分かったかもしれないけど、気にしないで、これからも普段通りよろしく』


 私は首を傾げる。


『えっ? 重要なひともしくは最重要なひとはだれか分かりません? 系な?』


 封筒の中にはペンダントが入っていた。

 顔を上げると、レモンさんもそれと同じペンダントを付けていた。

 

 だ。


 私の回想が途切れた後、審判の旗が私の方に上がった。


「胴!」


 私は、シトラス先輩の方を振り向いた。

 シトラス先輩は、笑顔だった。


「シットラン? おめでとう?」

「シトラス先輩、ありがとうございます、系な!」


 シトラス先輩の満面の笑みに、私も釣られて笑顔に――。

 しかし、その私の体にかかる影があった。


「系な?」


 それは、ポンス先輩だった。

 ポンス先輩は、私にスッと何かを差し出した。


「シットラン、おめでとう、覇! ジュースあげます、覇!」

「……!」

「僕もジュースをあげるよ!」

「……!」

「あはは、俺も」

「……!」


 四方からジュースの差し入れに、私は両手に抱えて笑顔になっていた。


「シトラル! なんで私にくれないんだ!?」

「あはは、まあまあ、いいだろ。買った方にあげるって思ってたし」


 レモン先輩が激怒しているが、シトラル先輩は飄々としている。

 私の方に駆け戻ってくる足音がして、息を切らしたシトラス先輩が何かを差し出した。


「これ! シットラン、おめでとう?」

「……!」


 シトラス先輩が、ジュースをたった今買いに猛ダッシュしてくれていたらしい。


「みんな、ありがとうございます、系な!」


 私は、これらのジュースを美味しく頂いた後、ペットボトルを洗って保管した。そして大切にとってある。


 この竹刀しないで千勝を飾った私は、クエン酸先輩にうれし泣きされるほど喜ばれて、クエン酸先輩のお兄さんのコトナイアシッドさんに絶大の賛美と史上最強の称号を贈られた。

 そして、私はその剣道の竹刀を名工コトナイアシッドさんから贈与された。

 それから私は、またアカデミーで何千連勝も勝利し続けるのだった。


【完】


 またしても、変なところやつじつまの合わないところを見つけて修正しました。これで良いのか分かりませんが、無難Verを付け足しました。あまずっぱい~におつきあいくださいましてありがとうございました。

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あまずっぱい系の私は、あまずっぱい先輩の事情なんて知りたくないッ! 夏野扇 @123456789012345678901234567890

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