第三十三話 シトラス先輩の事情に、ほんのりと甘い結末! 系な?~②女性向きVer~
「はい、これ? シットランに読んで貰いたいんだ?」
「系な?」
シトラス先輩は、私にクエン酸先輩自作のキャラクターの封筒を渡して来た。いつもと同じ封筒だ。クエン酸先輩とシトラル先輩が私に渡してきた物と同一だ。
しかし、一つだけ違うところがあった。
「これ、いつもと筆跡が違う! 系な!」
「それは、シトラルではなくシトラスが、俺が書いたからだよ」
それから、シトラス先輩からの手紙をじっくり読んで吃驚した。
私は、シトラス先輩を振り返る。
シトラス先輩はにっこりと微笑んでいたが、レモン先輩が声を張り上げた。
「シットラン! 私が、最後の剣道の稽古相手だ! かかって来い!」
「……! 望むところだ! 系な!」
私は、剣道の格好に着替えて、レモン先輩と対峙した。
そして、構える。
「始め!」
審判が、開始の合図を告げた。
「先手必勝、系な!」
私は、中段の構えで攻めて行く。
九百九十九勝を上げている私には、レモン先輩の太刀筋が手に取るように分かる。
しかし、レモン先輩は顔色一つ変えない。
まっすぐに私の
『一年前――』
勝負の途中で、私の心に雑念が入った。先ほど読んだシトラス先輩の手紙の内容が思い起こされる。
『俺は、一年前、シットランに渡そうと思って、ペンダントを買って引き出しにしまって置いたが、シトラルが勝手にレモンさんにそのペンダントをあげてしまった。俺は、激怒したがシトラルには効き目がなかった。でも、シトラルがレモンさんにあげたペンダントが、痴話喧嘩のせいでシトラルの元に戻ってきた。それが、再び俺の元に戻ってきたわけだ』
私は、レモン先輩の繰り出される
『しかし、シットランに渡した後、何故か厄介なことにレモンさんがシトラルから貰った物だと主張し始めた』
突然、レモン先輩が、私の
私は、バランスを崩し掛かり、肩すかしを食らいそうになる。
レモン先輩が上段の構えで、
『また厄介なことに、その事をシトラルに知られてしまった。しかも、シトラルがシットランに迷惑をかけようとしたことを知って俺は激怒した。ペンダントもシットランから突っ返されたので、シトラルに言ったら速攻でレモンさんの手元に戻ったという訳だ』
私は体をひねって、
竹刀で
集中力が研ぎ澄まされる。つま先から、頭の先まで、神経が行き届いている。
しばらくの対峙の後、レモン先輩が踏み込んできた。私もすぐに踏み込んでいく。
「面ーッ!」
「胴ーッ! 系なーッ!」
『だから、俺のせいで巻き込んでゴメン。でも、重要というか最重要なひとは誰かは分かったかもしれないけど、気にしないで、これからも普段通りよろしく』
私は首を傾げる。
「ん? 重要なひともしくは最重要なひと? 系な?」
審判の旗が私の方に上がった。
「胴!」
私は、シトラス先輩の方を振り向いた。
シトラス先輩は、笑顔だった。
「シットラン? おめでとう?」
「シトラス先輩、ありがとうございます、系な!」
シトラス先輩の満面の笑みに、私も釣られて笑顔に――。
しかし、その私の体にかかる影があった。
「系な?」
それは、ポンス先輩だった。
ポンス先輩は、私にスッと何かを差し出した。
「シットラン、おめでとう、覇! ジュースあげます、覇!」
「……!」
「僕もジュースをあげるよ!」
「……!」
「あはは、俺も」
「……!」
四方からジュースの差し入れに、私は両手に抱えて笑顔になっていた。
「シトラル! なんで私にくれないんだ!?」
「あはは、まあまあ、いいだろ。買った方にあげるって思ってたし」
レモン先輩が激怒しているが、シトラル先輩は飄々としている。
私の方に駆け戻ってくる足音がして、息を切らしたシトラス先輩が何かを差し出した。
「これ! シットラン、おめでとう?」
「……!」
シトラス先輩が、ジュースをたった今買いに猛ダッシュしてくれていたらしい。
「みんな、ありがとうございます、系な!」
私は、これらのジュースを美味しく頂いた後、ペットボトルを洗って保管した。そして大切にとってある。
この
そして、私はその剣道の竹刀を名工コトナイアシッドさんから贈与された。
それから私は、またアカデミーで何千連勝も勝利し続けるのだった。
【完】
カクヨムで書いた小説を一気に更新してしまいました。最初は豆のキャラで統一して書こうと思ったのです。だけど、手近にあった果物をみて、柑橘系で統一して書こうと思い立って柑橘系で書き始めました。意味等を考えて名付けたので、約二ヶ月ほどかかってキャラクター名を付けました。最初は、ファンタジーで書いていたのですが、途中で昔、『アンシーラー~封印を解く者~』という昔小説家になろうでその小説に使っていた、剣道の資料が出てきたので、それを参考にファンタジーから現代物の恋愛小説? に手直ししてようやくできあがりました。楽しんで貰えたのなら幸いです。次回作はまだ未定です。
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