つくりかけのファンタジーに、意見がほしいです。パート2


 もらった応援コメントをもとに、続きを膨らましてみました。

 戦争のような差し迫った危機を描くことで、「主人公の切実な願い」や「主人公が持つ世界に対する問題意識」みたいなのを書き易くなるのでは、と考えて設定を深めました。


 ただし、具体的な主人公像や、ストーリー展開、ほとんど決まっていません。

 自分好みの設定を加えながら、手癖で書いています。

 アドバイス下さい!

 ──────────────────

 温かい光を灯して、灯炉舟ランタルアの船団は、夜の風に運ばれながら、次の係留地へと向かっている。


 僕は甲板から、巨大な灯炉ランタンを眺める。体がオレンジの光に照らされる。

 灯炉ランタンは、無口で実直な、魔法の利器。嫌でも愛着が沸く。

 朝も夜も欠かさずにこの中で、魔法の焔を絶やさず、浮力で船体を吊り上げてくれているから。


 たまに推進力も賄うこともあるが、基本的には漂油の節約のために、航路は風任せになる。


 船長は、高度を上げたり下げたりしながら、風を掴んで、エイジア船団についていく。


 僕は船体に降りていく。主機関、居住スペース、各種装備、サルベージ用の機械。生活をしながら航空を続ける為の全てがここに詰まっている。


 狭い寝室へ行き、ベッドの中に入る。

 広い空に漂っているのに、休息を取るスペースは各設備に押しやられて小さい。


 地上を奪われた人々は、慢性的に資源が不足している。油も、空間も、心の余裕も。


 僕は浅い眠りに落ちる。


 ■


 地上で暮らしていた時代とは、国という概念が違うと考えられる。国土も国境も、とうの大昔に奪われている。皆が皆、宙を漂い、動き回り、混じり合う選択肢しかないのだから、それぞれの国に土着していた文化も失われている。


 悪い魔女の「澁気しぶき」に地上を奪われ、世界はある意味ひとつになった。


 ──しかし、それでも争いの種は生まれる。


 風の経路、玄風帯ブラークンド・ベルト


 この星にいくつか存在する、世界を一周する気流の帯ベルトロゥム

 灯炉舟ランタルアの経路として使われ、たくさんの人々が営む空間である。


「エイジア国艦隊、各員がその義務を尽くすことを期待する! 必ず勝利せよ!」

 地理的に、とても重要になる経路のひとつ、玄風帯ブラークンド・ベルト

 その一画で、ついに大規模な空戦が行われた。


 ■


 ──数里先まで、この轟音が響いたという。


 八隻の灯炉戦列艦ランタルア・ロップが、同時に砲撃の火を吹いた。真夜中の開戦。灯炉ランタンの灯りに、砲撃の閃光が加わった。


 五基の最新鋭灯炉ランタンに吊られた一等艦をいくつも有する、エイジア国艦隊。

 一等艦のひとつが、敵艦に急速で接舷する。


 その衝撃で敵艦の一基の灯炉ランタンの軸が折れる。

 支えていた重量が突然消えたせいが、巨大な灯炉ランタンが高く高く舞い上がる。


「沈没させるな! 船員を無力化せよ! 操舵室を押さえるんだ!」

 地上を奪われた人々は、慢性的に資源が不足している。敵艦でさえも、自分達の資源に変えなければならない。


 何十人もの空兵が敵艦へ移乗する。白兵戦が始まる。


 ■

 俺も敵艦に飛び乗り、甲板に転がり込んだ。

「おりゃあっ!」

 どこかで弾薬が引火したのか、爆発音が鳴る。

 関係の無いことだ! まずは目の前の敵を斬れ!


 唐突に甲板が暗くなった。近くの灯炉ランタンの焔が消えた。甲板が軋む音、たった三基で戦艦を支えているのだ、舟が悲鳴を上げている。


 体がやや軽くなる。高度が下降していると直感した。目を凝らすと、少しずつ甲板がななめになるのが、分かる。転覆し始めていると気づいた。

 後ろを振り返る、自国の戦列艦は危険を察知し、離れ始めた。

「死ぬのか、俺は」

 甲板の角度が、どんどん険しくなる。甲板に剣を突き立て、踏ん張る。俺の横で、敵兵が甲板を滑ってゆく。

 彼等は欄干にぶつかり、船外に放り出される、自由落下する。

 地上の暗闇に落ちた彼等は、闇に溶け込むように音もなく消えた。

 ここは雲より高いんだと、改めて気づかされる、当たり前の事実。

 俺の顔は、青ざめていたと思う。


 ──甲板の上に、影が降ってきた。

「え?」


 俺は見上げる。視界に入ったのは、巨大な灯炉ランタンだった。


 ■


 私は目撃した。高く舞い上がったあとに落下した灯炉ランタンによって、敵戦艦が真っ二つに割られてたところを。

 玄風帯ブラークンド・ベルト下の平野に沈没したが、運悪く澁気の濃い地点に落ちた為に、サルベージが難航するだろう。


 戦果を逃しただけでなく、さらにサルベージ屋を雇わなければならない。

 勝利はしたものの、悔しい戦いになった。


 ──「ネルソン提督の手記」より。


 ───────────────────


 今日は、ここまで。

 率直に思うのは、ゴールを想定せずに描くのはとても楽しいということですね。

 人々が灯炉ランタン以外、魔法に頼っていないところを見ると「魔女」は超特別な存在なのかな、とか書いていくうちに世界が出来ていきます。

 あと、テキトーなコムローイ語がどんどん増えていく。


 世界設定に関する疑問や、主人公のアイデアがあったりすると、とても嬉しいので、コメントよろしくお願いします!



 

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