ラストになるのかな?

 私がホンダスーパーカブのエンジンを同じくホンダゴリラに載せたのが六年以上前のお話、その頃はスーパーカブの人気もそれほど無くて安く買えました。


 細かな違いこそ有れ同系列のエンジン、排気量の大きな車種の部品を流用してエンジンをパワーアップさせたり排気量の大きなエンジンに積み替えてしまったり。今よりも中古部品の相場は低く、中古部品で程度の良いものが無ければ注文すれば新品の純正部品が買えました。


 時は過ぎて平成は令和になり、排気ガス規制の影響でカブ系エンジンはキャブレター制御から燃料噴射式になりました。この辺りからスーパーカブに希少価値が付き始めて『田舎のお年寄りが乗るバイク』から『お洒落なクラシックモーターサイクル』になり始めたのかなと。


 で、問題は生産終了後の純正部品です。生産終了したオートバイの部品は倉庫で保管されます。詳しいことは知りませんが、倉庫の部品は財産とみなされて税金がかかるそうです。倉庫にも固定資産税だっけ? 税金がかかるみたいです。


 部品自体に税金がかかり、部品を保管する倉庫にも税金がかかる。メーカーは慈善事業ではなく商売で部品を保管して販売しているのですから、税金の分を上乗せして販売しないと損してしまいます。その結果が純正部品の値上がりなわけです……多分。


 そして、古いオートバイの部品を保管したところで部品を欲しがるユーザーや部品が必要なオートバイ本体が無ければ意味がありません。生産終了後のオートバイは絶対数が減るばかり、しかも実用車として使われるスーパーカブです。お手軽ゆえにカスタムされて弄りつぶされた個体もあるでしょう。


 部品供給は確実に悪くなり、部品自体も値段が上がる。そうなると昔みたいにお手軽に遊べないのです。


 使い倒されたスーパーカブのエンジンをいじって遊ぼうと思ったら部品が出てこなくて何ともできない……そんな未来が確実に近づいています。


 さあ、ラストになるかもしれない元整備士のエンジンいじり。行ってみようか。

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