とりあえず完成。
錆止め処理をしたホイールにタイヤを組み付け、空気を充填してから一晩様子を見ます。タイヤ組み付けは潤滑が大事、ビードワックスやシリコンスプレーをビードとリムに塗るのを忘れずに。
「知らない間にチューブをタイヤレバーやタイヤのビードに噛み込んでいたらアウトです。チューブが破れてしまって空気が漏れます」
チューブタイヤの交換はコツが要ります。チューブタイヤに慣れない私ですから、確認しながら慎重に作業します。一晩おいて空気圧が下がっていなければタイヤ組み付けは成功です。パンクに気付かず車体に取り付けてしまったらまた外して直さなきゃいけませんからね。
「では、タイヤを組んだホイールを車体に組み付けます。ブレーキパネルと車体の接続を解いておきましょう」
ブレーキロッドとトルクロッドをブレーキパネルから外します。
「続いて転がし用のホイールを外します」
リヤホイールは前輪を外して車体を前に傾けると外しやすくなります。今回は足でホイールが倒れないようにして車体を持ち上げます。
「このホイールに付いてるブレーキドラムが減っていなければ使えたのですが……」
改めて見てもブレーキドラムは摩耗していました。摩耗の具合はブレーキシューの当たり面と当らないところにどれだけ段差があるかを見れば判断出来ます。
「シフト時の衝撃を吸収するハブダンパーを新品に換えて、車体を持ち上げてホイールをリヤフェンダーの内側に納めます」
私は面倒くさがりです。分解したついでに出来る整備をしてしまう癖があります。ハブダンパーを交換は車体が完成してからでは面倒なのでやってしまいます。
「スーパーカブはタイヤ交換時にチェーンを外さず作業できる構造になっています」
ホイールを取り付けてアクスルシャフトを入れて、ブレーキロッドやトルクロッドを接続します。
「アジャストナットを回してシューの隙間を調整します」
修理開始前はアジャストナットをかなり締めこまないとペダルを踏み込んでもリヤブレーキは利きませんでした。
「新品ホイールではありませんが、アジャストナットの締め込み量は減りました」
ホイールはブレーキドラムの摩耗が少ないとはいえ中古品を使いました。もしも新品だったら更に良かっただろうと思いますが、今回は妥協します。
「前後のタイヤの交換が終わりました。あとはガソリンを入れてバッテリーを取り付ければプレスカブ改は走り出せるでしょう。ですが今の私はそんな状況ではありません」
カブで通勤すれば楽しいだろうと思って、自分なりに考えて改良してプレスカブの修理を続けてきました。ところが私は会社を去ることになり、完成したプレスカブは活躍の場を失ってしまいました。
「バイク弄りにはお金がかかります。仕事を失った私に収入源は有りません。カブに乗って通う職場もありません」
残念ですが就職活動が最優先、しばらくバイク弄りはお休みです。またバイク弄りを始める時まで、さようなら。
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