寄り道・五月の某日曜日(序)
えっと、『この次はミッション組み付け♡』なんて書きましたが……体力が回復しなくて作業にかかる気分になれませんでした。ごめんなさい、寄り道です。
今回の寄り道は『ジャイロXのタイヤ交換』と『カブ九〇遠心クラッチ』です。
「天気が良い日はミニバイクで通勤しています」
我が家にある荷物が積める通勤用ミニバイクと言えばジャイロXです。スーパーカブもあると言えばありますが、登録していないので今回は除外します。
「さてこのジャイロX、昔ながらのチューブ入りタイヤです」
チューブタイヤは釘などの異物が刺さると一気に空気が抜けるのが欠点です。
「現代の四輪車はパンクに強いチューブレスタイヤが装着されています」
※トラックなどの一部車種を除く
長年作られ続けているホンダジャイロシリーズはエンジンが四工程エンジンになった時にチューブレスタイヤが採用されました。
「
毎回思うけど、『4ストエンジン』とかって駄目なの?『四スト』だとOKなの?
以上、雨の日の寄り道でした。……そんな簡単に終わると思う? もちろん終わらない。
「四工程原動機になったジャイロシリーズは二工程原動機時代とタイヤサイズが違います。フロントタイヤは同じですが、リヤタイヤは八インチホイールが採用されました」
私のジャイロXは後輪が六インチです。現行型ジャイロシリーズの八インチホイールに交換すればチューブレス化が出来ると思っていました。ところが現行ジャイロシリーズの後輪は『ブレーキドラム一体型アルミホイール』なのです。我が家のジャイロXにはどうやっても取り付け出来そうにありません。
「本当ならホイールも三穴ですが、幸いな事に中期型ハブに交換して六穴ホイールが使えるように改善してあります」
ハブ交換の件はこちらを参照
『プロジェクトX⑧君に新しい靴を』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885318490/episodes/1177354054885811224
そして、『古いジャイロシリーズに取り付け出来るチューブレスタイヤ対応ホイール純正サイズ』が社外パーツメーカーから発売されています。
「某ネットオークションで私のジャイロXに取り付け出来るチューブレスタイヤセットを落とそうとしたのですが、競り負けました」
悔しかったので新品ホイールを買いました。ただし買えたのはホイールのみです。
「先立つものが無かったのです。今ならリワードを換金してお小遣いに追加すれば何とか買えますねぇ」
そのうちタイヤも買って装着しようと思いつつ数か月が経ちました。そんなある日、ふと某オークションを見ていたら『ジャイロ用チューブレスタイヤ・山あり』の出物が有りました。中古と考えても値段はかなりのお手頃価格でした。開始価格まま競る事も無く落札。出品者はよほど邪魔だったのか入金当日に発送連絡があり、翌日仕事から帰ってきたら届いていました。
「良く考えればプライベートでチューブレスタイヤを組み付けしたことが有りません。整備士時代はタイヤチェンジャーを使っていましたから」
少し不安なので自動車整備工場を経営する先輩に相談しました。「ウチにある(タイヤ)チェンジャーが(八インチに)対応してるかなぁ? やってみてもエエけど……」と反応はイマイチ。だったらダメもとで自分でやってみようとなりました。
「さっそく明日(日曜日)作業をします。道具は揃っていたはずです」
問題は道具を片付けた場所です。二十年ほど前に一度だけタイヤ交換をして、それ以来の作業です。夕ご飯を食べてから「どこやったかなぁ?」と言いながら工具箱や部品棚を探しました。向かいのホームや路地裏の窓は探してないです。そんな所に有るはずがないですから。
「タイヤレバーとビードワックスが見つかりました。コンプレッサーは有りますから、組めさえすればビードを上げることは可能でしょう」
専門用語を解説しますね。『ビードを上げる』とはホイールに嵌めたタイヤがリムに嵌まり込む状態です。勢いよくタイヤに空気を入れて行います。嵌まり込んでいない状態のタイヤとホイールの隙間から漏れる空気以上に空気を送り込まなければいけないので自転車の空気入れみたいな手押しポンプでは流量が足りないのです。
「ビードワックスは整備士時代に工場から分けてもらった二十年物です。タイヤレバーも同じころに買ったはず。久しぶりの『手組み』です」
ビードワックスはタイヤがホイールにはまりやすくするワックスです。ゴムにダメージを与えない様に滑りやすくします。
◆ ◆ ◆
翌朝、専門学校時代の作業服に着替えて作業開始です。タイヤ交換の方法はYoutubeを観て予習しました。さぁ、タイヤチェンジャーを使わずに作業が出来るでしょうか?
「最初にタイヤとホイールにビードワックスを塗ります」
ビードワックスを塗るのはタイヤのビード部(内側のホイールに接するところ)とホイールのリム部分です。しっかり潤滑してから挿れるのは自然の摂理です。
「片側は『えいやっ!』と押し込めばOKです」
今回は『ふんっ!』と押し込みました。『えいっ♡』でも大丈夫です。
「片側は思ったより簡単に入りました。問題はもう片側のビードです」
タイヤウォールを膝で押さえてビードをホイールの凹部分に押し付けます。もちろんそのまま『スポン』とはまる訳がありません。ここでタイヤレバーの登場です。
「タイヤレバーを使ってビードを『よっこらせっ〇す』と乗り越えさせます。一気にするのではなくて端から徐々にです」
リムを乗り越えた部分を膝で押さえつつ、ビードをリムの内側へ乗り越えさせを繰り返せばタイヤがリムを乗り越えて内側へ入ります。
「無事にタイヤがはまりました。続いて『ビード上げ』の作業です」
少し長くなったので一旦ここまで。次回は『ビード上げ~試運転』です。
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