蘇れジャンクエンジン②
さて、シフトドラムのニュートラルスイッチ問題が解決したので組み付けを続けていきます。今回使うトランスミッションはヤフオクで買った『カブ90用4速ミッション』です。このミッションは沖縄からやってきましたと言えばカブに詳しい方ならピンと来るでしょう。
カブ用4速ミッションはカスタム50と100EX(通称タイカブ)だけの設定でした。カブ90に組み込む場合、カスタム50用はクランクケースに使われるベアリングの違いから、取付けには4速メインギヤを交換する必要があります。
それさえすれば取り付けは可能ですが、1速が非力な50㏄で荷物を満載して急坂を走れるようにローギヤードになっています。少し走りにくいです。
100EX用ミッションはギヤ比こそ比較的走りやすいのですが、クラッチの違いから取り付けに工夫が必要です。販売台数が少ないのでミッションの部品取りエンジンを探すのやミッション自体を探すのが大変です。
カスタム50と100EXのミッションを快適にカブ90で使うにはどちらも工夫が必要です。それを解決したのが今回使うミッションです。1速はカブ50カスタムよりハイギヤード(スピードが伸びる)でカブ90と同じ。4速はカブ50カスタムと同じ。1速から4速までのギヤ比が近い『ショートなギヤ比』となっています。
さて、今回はカブ90に組むのに丁度良いミッションをカブ50に組みます。カブ50カスタムのミッションをカブ90に取り付ける為に改良したミッションをプレスカブのケースに組み込む。文章にすると何ともややこしいですが、簡単です。カブカスタム50のミッションをカブ90へ組んだ時に交換したカスタム50のメイン4速ギヤを今回のミッションのメイン4速と交換するだけです。
カブ50カスタムの凸付き4速ギヤと言えばカブ90を4速化した人なら「ああ、あれか」と思い浮かぶと思います。
クランクシャフト・オイルポンプスピンドル・オイルポンプギヤを組んだら新しいガスケットとノックピンを入れて右クランクケースを仮組みします。新しい部分の組み付けるたびに作動確認です。オイルポンプはカブ90用です。ジャンクから出て来ました。前回のエコノパワー改の時に見つけていたら使ったのに!
きちんと動くか確認しないで作業を進めると、あとで大変な事になります。作動確認と仮組みを繰り返しつつ作業を続けます。
微妙なところでギヤシフトアームが3速と4速で違います。これもジャンク部品から出てきました。業者・転売屋は金になる大まかな部品を転売するのでしょうが、細かな部品はまとめてジャンクとして出品するようです。ジャンクにはボルトが含まれている事が多々あるので買っておくのも良いでしょう。バイク用のボルトって特殊なボルトが多いんで新品を買うと高価です。ホームセンターのボルトだと強度不足の場合があるんで要注意ですっていうか使わない様に。鋲螺店で『〇〇に使いたい』って言って買うならOKだと思います。
ギヤチェンジが問題無く出来るのを確認したらボルトの本締めです。ここから先に進むとガスケットの交換が必要かも知れません。引き返すのにリスクが必要になります。
「組み忘れは有りませんか?」
自分に問いかけながら作業が続きます。
※追記(結構重要)
カブ90に無加工で組み込みできる4速ミッションですが、カブ50のケースで組む場合はカウンターシャフトが若干長い為、左側ケースカウンターシャフトの軸受け部にシャフトを逃がす穴開け加工が必要。仮組みでは気が付かず、組んだ後でもクランクケースによっては少し渋いが回る程度の物や、本締めした途端にロックしてしまう物などあるので注意。ケースに穴開け加工すると、切粉がベアリングに入るので掃除が大変。ついでなのでベアリングも交換してしまう方が良いです。
この辺りの失敗談は第三章にて。
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