終電

Cace 1 今までこんなに人に優しくしてもらったことなんて無かった

　僕は冷静に考えると大罪を犯してしまった。何十人もの人を殺したのだから。

　でも許せなかったのだ。あいつらは僕が賢明に生活をかけて創作したものをパクり、発表し、多大な評価を得ている。あいつらがいなければそんなことはなかった、だからやったんだ。

迷いはあった、けれどももうやるしかなかったんだ。

　僕自身も大けがをした、正直死ぬと思っていた、助かっても死刑になることは確実だった。

けれども僕は今生きている、生かされているといった方が正しいだろうか。僕を助けた人たちはどんな気持ちでいたのだろうか、事件原因究明に対する正義感か、僕に対する憎しみか。

それでも僕は生きている、舌をかみ切れば死ねるのかもしれないが、今は自ら死ぬ気は無い。

端から見たら重大犯罪人の僕を懸命に生かし、今も面倒を見てくれる人が沢山いる。

今までこんなに人に優しくしてもらったことなんてあったかな。

　あれをする前にもっと人に優しくしてもらえればあんなことしなかったのかな。