第15話 森の王


 

 華麗なる開き直りを見せた私に、周囲の向ける視線は生暖かく。

 いっそ殺せなんて呟きが喉元まで込み上げてくるような甘酸っぱい死地が続いたのは、詰め所の地下に降りるまでの短い間のことだった。

 

 ―――砦の地下、罪人を閉じ込めておくための牢は、今や地獄絵図と化していた。


「やめ、ッ、やめて”ぐれ”ッ……、もうやめ、……ぁ、ひ……!!」

「あ、あ”あ”あ”ッ!!」

「ゆるして……ゆるしてゆるしてゆるしでえ”……!!」

「全部話す、全部話すからぁ”ッ!!」


 響くのは濁った悲鳴と苦痛の呻き。

 男たちは全身を赤黒く己自身の血に染めながら、狂ったように床の上でのたうち回っていた。

 何か他に気を・・・・・・取られることが・・・・・・・あるのか・・・・振り回した手足が壁や仲間にぶつかることを気にしている様子もない。

 同士打ちめいた惨状に、私は顔を顰める。

 地下に降りるにつれ濃くなる血の香りに覚悟していたとはいえ、想像していたよりも酷い有様だ。

 

「魔女殿、大丈夫ですか」

「ええ、大丈夫よ」


 気丈な言葉を返しつつも、きっと私の顔色はよろしくないだろう。

 魔女になる以前より森に暮らし、先代の養母を手伝ってきた私は同じ年代の他の女性たちと比べればまだこういった場にも耐性があるとはいえるが……それでも、これほど酷いのは稀だ。

 何より、得体が知れなさすぎる。


「全員、この状態なの?」

「ああ、ほぼ同時に全員が暴れだしてこの有様だ……俺たちにも何がなんだか」

「…………」


 顎先を指で撫でる。

 男たちは、四、五人ずつにわけて牢に捕らえられていた。

 例外はジオドール・テセラと魔術師の男だ。

 

 ジオドール・テセラは腐っても貴族ということもあり、さすがに牢に閉じ込めるわけにもいかなかった。

 結果、詰め所の一室にて軟禁という形になっていたらしい。

 聞いた話によると、ジオドール・テセラも下で騒ぎが起こったのとほぼ同時刻に暴れ始め、見張りの騎士に取り押さえられたとのこと。

 

 一方魔術師の方はといえば、現状この男は一連の事件の責任を負わされている立場だ。

 連中と一緒にしておけば口封じに殺されるのは目に見えていたため、牢を分けて個別に監禁していたらしい。

 普通に考えれば、罪を着せられた魔術師が反撃に出た、というところなのだが――…その魔術師もまた、牢の中で血まみれになって呻き、倒れているあたりその線はなさそうだ。男は、石造りの床の上でまるで胎児のように身を丸め、ぶつぶつと謝罪の言葉ばかりを繰り返し続けている。


「あ、あんた………っ」


 牢の中の男の一人が私に気付いたようだった。

 ずる、と身体を引きずり、這いずって男は牢の格子へと身を寄せる。


「魔女、だろう、助けて、もう、やめさせ……ッ、ぁああああ!」


 格子の隙間から助けを求めるように伸ばされた腕。

 その腕の輪郭が、ぞぶ、といびつに歪んだ。

 肉が、ぶつりとと弾けてそこから鮮血が噴き出す。

 男の苦悶の声が一層酷くなる。

 びくり、びくりとだらりと伸びた腕が痙攣するように跳ねる。

 その度に、ぶつりぶつりと男の肌は内側からはじけるように裂けていく。

 一段と凄惨さを増していく光景に私は眉根を寄せる。


「貴方たちは、何か見た?」

「いや、何も」


 見張りの騎士たちが、困ったように顔を見合わせる。

 その言葉に反応したのは、檻の奥で息も絶え絶えに悶えていた男の一人だった。


「なんでだよ、こいつらをなんとかしてくれよ、見えないなんて嘘をつくのはやめてくれよお!!」


 それはもはや悲鳴だった。

 血でぬかるんだ石床の上をのたうち、まるで見えない何かがいるかのように自らの身体をばたばたと叩き、身悶えている。

 何か、幻覚を見ているのだろうか。

 食事に何か変なものが混入でもされたのか。

 そんなことを一瞬考えて、すぐに否定する。

 これは幻覚ではありえない。

 幻覚であるのなら、実際に彼らが怪我を負うことなどあるはずがないのだ。

 私も見たはずだ。

 まるで内側から爆ぜるように彼らの皮膚が破れる光景を。

 私にはそれが、内側からの圧に負けて皮膚が弾けたように見えたけれども。

 もしかしたら。

 それは、何か私の眼には見えないモノが男の皮膚を喰い破った瞬間だったのではないだろうか。

 そう思ったとたん、ぞわぞわと背筋に冷たいものが走った。 

 

「何が、何が見えているの! 言いなさい!」


 声を荒げる。

 私の剣幕に、男たちもまた、自らを襲う何かが私たちには本当に見えていないのだと悟ったのだろう。

 その双眸に絶望が滲んだようだった。

 彼らは、私が何かしたのだと思っていたのだ。

 罪を認めようとしない彼らに焦れた魔女が、何か悪しき術を使ったのだと。

 だから彼らは許しを乞い、罪を認め、何でも話すと訴えた。

 けれどそれが私の仕業ではないというのなら、彼らにもたらされる苦痛は何を目的にしたものだというのか。

 誰に、何をしたらその苦痛から解放してもらえるのか。

 ゴールの見えない苦痛ほど恐ろしいものはない。


「く、……ッ、くろい、ねずみが!」

「ネズミだ! ネズミが!!」

「もうやめ”て”ぐれ”え”……ッ、食べないで、食べない、でえ!」


 大の男たちが床を転がりながら子どものように泣きじゃくる。

 私たちには見えない『黒いネズミ』に食い破られた肌からだらだらぶしゅぶしゅと鮮血を垂れ流しながら、誰に届くともしれない謝罪の言葉を繰り返し続ける。

 

「魔女殿」

「……ええ」


 呼ぶ声に、頷く。

 この状況を起こしうるもの。

 男たちが許しを乞わねばならない相手。

 黒いネズミ。

 黒い獣。

 そんな心当たりは一つしかない。



 ―――森の、王。

 

 

 私自身考えたはずだ。

 人が人の罪を裁かないのであれば、森が裁きを下すことになる、と。

 これが、これこそが、森の王の下した裁きではないのか。

 静かな森に土足で踏み込み、平和に暮らす森の獣を脅かし、その罪から逃れようとしている密猟者どもを、森の王が自ら罰しにきたのではないのか。

 だとしたならば、もう、私たちに出来ることなどない。

 私は、哀れみの籠った眼差しでのたうつ男たちを見下ろす。

 人の世界で裁かれ、人として罰を受けていたのなら、こんな目には合わずに済んだことだろう。

 下手に罪を逃れようとしたがために、彼らは筆舌に尽くしがたいおぞましい目にあっている。生きたまま、小さな獣に肉を食い破られる苦痛を味わっている。


「た、たすけ、で」

「ごめんなさい。私たちにはもう、どうすることもできないわ」


 彼らは、もはや罪人であると同時に贄でもある。

 彼らは罪を償わなければいけない。

 森の王に対し、その命でもって、味わう苦痛でもって罪を贖わなければいけない。

 私たちに出来るのはその贖いが「ひと」という種全体に及ばないことを祈ることぐらいだ。だから、彼らは贄でもある。森の王の怒りを宥めるための贄だ。

 私は私を抱いたままの騎士や、その背後に控えていた見張りの騎士たちに向かって緩く首を振って見せた。

 ここで、私たちに出来ることはもはや何もない。

 

 あ、あ、と絶望に呑まれ、次第に小さくなる悲鳴を背後に聞きながら、私たちは地下を後にした。

 明日の朝、彼らがどうなっているのかなんて、今はあまり考えたくなかった。

 

 

 

 



























 何か、夜の闇自体が生きているかのような夜だった。

 森の影や物陰に生き物のひそやかな気配が染みついているような。

 自分が巨大な生き物の身の内に呑まれてしまったかのような。

 そんな錯覚を起こすほど、闇の色と気配の濃い夜だった。


 アデリードはあれから言葉少なに自室に戻ると、ごめんなさい、と一つ呟いてベッドに潜り込んだ。


 もはや甘やかな言葉を交わすムードではなく、またエリオット自身もそれを望むことはなかったため、静かに魔女の部屋を後にした。

 気丈に振舞ってはいたが、地下で目にした光景が堪えているのだろう。


 彼女は、責任感がとても強い。


 エリオットにしてみれば森のルールを侵した男たちが森によって裁かれるのは仕方のないことだと思える。

 人の手の及ばぬことに先に手出しをしたのは彼らだ。

 しっぺ返しを受けたとしても、それは彼らの選択だ。

 だが、アデリードはそうは思わない。

 

 否、そう思ってはいるのだろう。


 けれどその一方で、自分が魔女としての役割をきちんと果たしていたのならばこんな問題は起きなかったのではないか、と自責の念に捕らわれている。

 自分に至らぬ点があったからこそ、こんなことになってしまったのではないか、と。

 それが、彼女の特殊な生い立ちによるものだということをエリオットは知っている。

 美しい白雪のような真白の髪や、紅玉のように煌めく美しい双眸も、彼女にしてみれば親に捨てられた理由でしかなく。

 だから彼女は、「魔女である」ということに己のすべてを賭けているような節がある。

 ただのアデリードには価値がなく、「魔女」としての役割を果たすことでようやく存在を認められている、とでも言うような。

 少し前にしたのだという彼女の酷い失恋もまた、きっとそんな思い込みに拍車をかけてしまったのだろう。


 少し外の空気が吸いたくて出てきた先で、エリオットは小さく息を吐く。

 じゃり、とわざとらしい足音が響いたのはそんなタイミングのことだった。

 闇の淵よりぬるりと出る人影が一つ。

 先ほどの足音は先触れのようなものだ。

 ここにいるのだとエリオットに知らせるために、聞かせるためにわざと鳴らされた。

 闇の中から現れた褐色の肌を持つ男は、懐こく双眸を細めて笑って見せた。


「ごめんねえ、邪魔をするつもりはなかったんだけど」

「……白々しい。こうなることはわかっていたのでは?」

「まあね」


 はは、と男は笑う。

 アデリードや、村の人々が『狩人』と呼ぶ男だ。

 ひょろりとした長躯に、褐色の肌に黒い髪。

 そんな男に向かって、エリオットは一度小さく息を吐いてから、再び呼びかけた。


「ですが―――助力、感謝致します。森の王・・・よ」


 はは、と軽やかに男がまた笑う。


「やっぱり騎士さんにはわかってたのか」

「幻術の類の影響を受けぬ身ですので」


 森で初めて会った時に、気圧された。

 遠くで誰か人の声がして、振り返った先にいた男はどう見ても異形だった。

 いや、人としての形は確かに成していた。

 ひょろりとした手足の長い細身の軽装を纏った男の形は、していた。

 けれどその纏う色合いはアルビノであるアデリードの真逆といっても相応しいほどに闇の形質を色濃く表しており、何よりもその双眸だけが爛々と燃える獣めいた金の色をしていた。

 ゆらり、ゆらりと。

 男の背後で影が揺れる。

 のっぺりと昏く、ただその双眸だけが明るく燃える獣の影が、男の背後で揺れる。

 思わず剣に手をかけたものの、例え本気で挑んだとしてもおそらく勝てないだろうと思わされてしまうほどに悍ましい力を滲ませた獣が。

 この獣に比べれば、これまでエリオットが相手取ってきた魔獣なんていうのは子猫のようなものだ。

 「騎士様?」と訝し気に呼ばれて、ようやく我に返った。

 エリオットと、と呼び名を修正しつつも、男から目を離すことはできない。

 驚かせちゃったならごめんね、なんて懐こく話しかけてくる男の姿は明らかに仮初のもので、その本性は背後に背負う影の獣の方だということが厭でもわかってしまった。

 恐ろしいほどの力を持った魔獣が、人の姿を模して人の中に混じっている。

 そんな獣の傍らで、エリオットが守ろうと決めた主人たる少女は、そんな男の正体など何も知らないといった風に穏やかに笑っていた。

 男の脇腹を小突き、笑い合う所作には長年積み重ねたのであろう信頼があった。

 少女はエリオットに、彼を狩人だと言って紹介した。

 長年世話になり、義母の代からの仲なのだと語りながら、その名前すら知らないことになんの違和感も覚えてはいないようだった。


「あの者たちを、どうなさるつもりなのです?」

「多少懲らしめるだけで殺すつもりはないよ。明日には正直になんでも話してくれるようになっているんじゃないかな」

「そうですか」

「本当はね、あんまりひとのことには関わらないようにしてるんだけどね」


 ひょいと肩を竦めて、男が言う。

 そんな男がこうして自ら手を下しに現れたのは、やはりアデリードのためなのだろう。

 あの密猟者たちを獲り逃すようなことがあれば、誰よりも気を病み、自らを責めるのはアデリードだ。


「……アデリードには、随分と干渉なさっているようですが」

「あ、騎士さんお嬢のこと名前で呼ぶようになったの? それともそれ、俺に対する牽制?」

「牽制です」

「堂々と認めるのな」


 くっくっく、と男の笑う声が愉しげに響く。

 何でもない日常会話のように、二人のやり取りは続く。


「お嬢はね、俺が拾った子だから。というか、あれは俺への生贄のつもりだったのかな。俺、人なんか滅多に食べないんだけど。お嬢から、森の泉の話は聞いた?」

「ええ」


 森の騎士が、森を去る際の儀式が行われる泉だ。

 森の深くにある美しい泉で、森においては聖域の一つとされている。

 年に何度か、その泉に森の王への捧げものを沈めるのだという儀式についても、いつかの夜に聞いたことがあった。


「お嬢は、そこに浮いてたんだよ。粗末な草で編んだ小舟に乗せられてさ」


 草の船はじわじわと水を吸って、男が見つけた時にはもうすでに沈みかけていた。

 そのまま見ていれば、きっとすぐに赤子は水中に沈み、命を落としていたことだろう。


「どうしようか、迷った。人間なんてすぐに死んじゃうからね。助けたところで、瞬きをする間に老いて、しわくちゃのおばあちゃんになって、俺を置いて逝ってしまう。俺はさ。結構人間、好きなんだよ。あ、好物って意味じゃないからね」

「わかっています」


 そうでなければ、魔女を森に置いたりはしないだろう。

 森の王たる獣は、人との共生を望む程度には人がすきなのだ。


「でも、好きだからこそ、肩入れするのがちょっとしんどくなっちゃってさ。その頃はちょっと人間から距離を置いてたんだ。何度も何度も置いて逝かれちゃあさすがに俺だって学ぶ」

「でも、あなたは助けた」

「うん」


 やあ参った、と小さく零して、男は頭をかいた。

 心底困った、というようなその所作は、嫌になるほど人間らしいものだった。


「俺と目があってさ。お嬢が笑ったんだよ。いやもう本当すっごく可愛かった。駄目だね。動物の赤ちゃんのあの保護欲に訴えてくる感じ……俺はもうわりとイキモノとしては規格外の自覚はあるんだけど、アレは良くなかった。父性本能みたいなのが超くすぐられたもん。だから、助けた」

「それで、先代の魔女に?」

「俺が育てちゃうと完全にこっち側のモノになっちゃうからね。お嬢は親にこそ捨てられたけれど、人として生まれ落ちた子だ。だから――人としての生を与えたかった」

「あなたが、寛大な王で良かった」

「でしょ。でもお嬢、騎士さんに失恋したら俺のお嫁さんになる道も考えてくれるらしいよ」

「ご安心ください、そのようなことは起こりえませんので」

「なんだろうねえ、この安心していいのかがっかりしたようなこの気持ち」


 はっはっは、と笑って見せる男の顔はやはり穏やかだ。

 もしも。

 もしも、アデリードが望んだのなら。

 この男と生きる道を選んだのなら。

 きっとこの男は、アデリードを人としての生から解き放っていたのだろうと思う。

 男自身、何度も人として生きるものと交わり、幾人もの友を、もしかしたらそれ以上の関係の者を見送ってきたのだと言っていた。

 だからきっと今度はもう見送らずに済むように。

 ともに永劫を歩めるように、アデリードを人ではないものの道に引きずりこむつもりでいたのではないだえろうか。

 そんな風に思ってちらりと視線を向けた先で、男は何か面白いことを思いついた、というように口角を持ち上げた。


「俺さ」

「はあ」

「騎士さんならわりと俺といい勝負ができると思ってるんだけど」

「それは、光栄ですが」


 実際、やりあったらどうなるだろうか。

 エリオットは魔力による影響を受けにくい体質だ。

 魔獣を狩るための素質をもって生まれてきたものだ。

 世が世であったのなら。

 今エリオットの目の前にいる男が魔獣の王として、人との対立の道を選んで君臨していたのなら、きっとエリオットは勇者としてその身に挑む側に立っていただろう。

 魔獣に対する人間側の切り札として世界が用意した才能を背負って生まれてきたのが、エリオット・スターレットという男だ。

 だが魔獣の王は人間との対立を望まなかった。

 人との共生を望んだ。

 だから、エリオットと魔獣の王が戦う理由なんていうものはない。

 命を賭して剣を交える必要なんていうものはない。

 ない、はずだ。

 そのはず、なのに。

 男は愉しげに言う。


「騎士さんがお嬢にプロポーズする時には、父親代わりとして俺より弱い奴にお嬢はやれん、っていくのやってもいい?」

「ご遠慮ください」


 即答でお断りした。

 半眼で訴えて、男の方を向いた時にはもうそこに男の姿はなかった。

 くっくっく、と悪戯ぽく笑う気配だけを残して、その身はもう闇に蕩けている。

 周囲には、ざわざわとイキモノの気配を多分に含んだ闇だけが広がっている。


「――、」


 小さく、エリオットは息を吐く。

 全身に張りつめていた緊張が、少しずつ解けていく。

 それに合わせて、リーリー、と思い出したように虫の声が響いた。

 ああ、と思う。

 イキモノの気配を濃厚に宿していながら、先ほどまでは虫の声すら響かぬほどに、ただひたすらに静かだった。

 王の気配に、虫たちもただただ嵐が過ぎるのを待つように口を噤んでいたのだろう。

 未だピリピリと肌の表面を漂うような殺気にも似た緊張が完全に解けるの待って、それからエリオットはゆっくりと館へと戻っていった。 




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魔女の騎士と騎士の魔女 山田まる @maru_yamada

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