第38話 盗撮犯

ノキアのスキルでオリジンが水泳部にいることはわかった。恐らく相手は部活中だろう。そこで君に質問だ。部活中の水泳部にどうやって近づけばいいと思う?


解決法1

そのまま水泳部にお邪魔する。


解答

邪魔扱いされ追い出される。


そもそも部外者もいるしね。


解決法2

こっそり部室に入りスティアを探す。部活中なら手に持ってはいないだろう。


解答

下着ドロと間違われ捕まる。


リスクが高すぎる。


解決法3

部活が終わるまで待つ。


解答

水泳部全員が疑わしくなるので誰がオリジン使いかわからない。


というかそうなったらスティアの電源も切るでしょ。


え?積んでね?


「えーっと、どうしましょうか?この先はプールがあって今は部活中なんすよ。つまりオリジン使いは水泳部ってことになるんすけど。今向かったところで部活の邪魔扱いされると思うっすよ。」


俺たちは学校の玄関先で話し合っている。今は放課後だから人も少ないけど、あんまりここに長居はしたくない。


「うーんそうかなぁ?僕の予想だと、相手は君みたいな帰宅部だと思うよ。」


え?何でそんな風に思うんだ?俺の不思議そうな顔を見てリクさんは説明してくれた。


「ほら。さっきアスカが言ったみたいに、今は部活の時間だろ?そんな時間にスティアを起動するとは思わない。そんな中でオリジンの反応があったってことは、相手はオリジンを使って何かをしているということだ。そんな時間があるのは、恐らく帰宅部だけだと思う。」


あっそうか。何もプールの方角だからといって水泳部が疑わしいと思うのは間違いだってことか。となると…


「もしかして、盗撮?」


「…サイテー。」


「漢の風上にも置けんな。」


俺の言葉にミッコとカズマも頷いてくれた。


「まぁ相手が男とは限んないけどね。とりあえず、ノキアの指示通りに動いてみようか。」


【こっちだ。】


ノキアの示すとおりに動くと、確かにプールに向かっていたが、指示した場所はプールの外にあるフェンスだった。


「誰かいるね。」


ミッコの言葉どおり、フェンスにはスティアをかざしている男がいた。


「ほら、やっぱ男じゃん。」


ミッコさんの言葉が聞こえたのか、男はびくっとなりながら


「だ、誰だ!」


とこちらに叫んできた。


「あーちょっといいかな?実は僕達ここの水泳部の子に頼まれてね。なんだか最近誰かに撮影されてる気配を感じるから調べて欲しいって。もしかして、君?」


すげぇ。こんな笑顔で根拠のないでっち上げを言うなんて。


「やっぱこういう時は頼りになるよね、リクの笑顔。」


「…敵には回したくないな。」


2人も小声でそう言っていた。


「な、な、な、何をい言っているるんだ!ぼ、僕がそんなこととするわけが…」


「話はその手に持っている機械を見せてもらえるかな?」


「い、いいですよ。ほら!確認してください。」


そう言って男は手に持っていたスティアをリクさんに渡した。いったいどうするんだ?確かに男からスティアを渡されたけど、スティアじゃ撮影や録音はできない。このまま返しても意味がないんじゃ…


「ふむ、画面にはフードをかぶった男しかいないね。」


「そ、そうですよ。それはスティアといってただのゲーム機です。僕はたまたまここでゲームをしていただけで、盗撮なんてするわけがない!」


「まぁそれはそれとして、ノキアどう?」


【間違いない。それだ。】


「えっ?スティアから声が…も、もしかして、君たち…」


「オッケー。そぅれ。」


「んな!?」


リクさんは男のスティアをプールに向かって放り投げた。って、えっ!?


バッチャンっと音が鳴り、プールからは悲鳴が聞こえた。


【反応が消えた。】


「よし。走るぞ。」


そう言ってリクさんは全力でここから逃げ出した。えっ?ちょ、待っ!


「ほら、急いで。」


「…」


ミッコさんとカズマも走っていた。あーもう!


「どういうことだよ!」


俺はわけもわからず、とりあえずリクさん達についていった。

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リセマラした結果好きな娘がこなかったが妥協した 零宮 @zeromiya

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