水摩礫




駅前を駆ける肩がぶつかって

わたしはまた少し欠けました

左側がわずかに軽くなって

またぶつかって

今度は右側が欠けすぎました


手をついた柱の金属の

奇態にざらつく塗装と冷たさ

わたしの触れたところだけ

剥がれてきてしまったみたいで

わたしの手をずうっと冷やしています


取り残されてしまったのだと

思いたいような日もあります

わたしの肌を削るすすきの葉や

わたしに付いてくるおなもみの実から

わたしは見放されて

そのためにこの浜辺に打ち上げられたのだと

思いたいようである

それだけで暮れる日もあるのです


冷え続けている手のひらを

眺める気にもなれなくて

置き場をなくした右足に

じゃりりと私の欠片が軋む



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