カクテルグラス




君の真新しいパンプスが

くたびれて見えた

今 はじめて


君と 僕の間にある丸いテーブルに

静寂とグラスだけがあって

僕らが話し始めるのをずっと待っている

昨日の話なら いつだってできるのにね


そっとグラスを持ち上げて あまりに甘い


酒はただ 酒であるだけ

君の唇にも

僕の指先にもなりえない


僕が飲み 君が飲む

ただひとつ 錠剤薬のように

共に飲まねばならないものがあるだけ


グラスと静寂と

僕らの間にあるものが

僕らが話し始めるのをずっと待っている



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