たそがれの脱出譚




古ぼけた街灯は曇り空の夕陽ほどにも

やくにたたなかった

生きていくだけのことが

ただそれだけで解決不能だったから

夕暮れの彼方まで家出した

金色の光の中でなら

どちらでもないものたちが

どちらでもないそのままに

僕を夢遊病にしてくれた

歩き続ける骸ウォーキング・デッドになりたいだけ


ふらつきながら歩くのならばガードレールも

やくにはたたないだろう

どこまであるいて行けるのか

夜明けのさきしか価値がないような

行き止まりまでなら行けるだろうか

月の光はルナティック

狂いだすまえの万物も

狂ったあとの残骸も

太陽食って厳かに光る

正気に呑まれるくらいなら


日が暮れて古ぼけた街灯は

よく見りゃひび割れて掠れていくだけ



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