XI; Justice


<正位置: 法律 均衡 正義が行われる>



「始まってしまった物語は、すぐには終わらない」と、リオンがとても悲しそうな声で言う。


 リオンがわたしの部屋にやってくる時、部屋は暗く、わたしはいつも金縛りにあっていて視線を動かすこともできないから、直接にリオンの姿を見ることはできない。ただ、わたしの視界の外に立っているリオンの声だけが聞こえるだけだ。でも、そこにリオンがいるという確かな存在感があって、あまり心霊現象という感じはしない。


 もちろん、リオンがもう死んでしまっているということを、わたしはちゃんと理解している。だから、現実的に解釈をするのならば、これは疲れたわたしが見ているただの夢だ。


「こんな物語なら、早く終わってしまえばいいのに」と、わたしは言うけれど、リオンは視界の外で首を振る。姿は見れないけれど、首を振っているのは分かる。


「打ち切っただけではダメなの。ちゃんと過程を経て、適切な時に適切な方法で幕を引かないと、結局のところ物語は終わらない。それはただ観測されなくなるだけで、永遠に続いてしまう。帰路につくためには物語を終わらせるしかないし、物語を終わらせるためには、いましばらくの展開がどうしても必要なの」


 いったい、どうすればこのバカみたいな物語を終わらせることができるのだろう?


「混沌を殺すためには、まず目鼻を開けなければならない」と、リオンは厳かに告げる。

 次にわたしが目を開いた時には窓の外はすっかり明るくて、眠ったはずなのに身体の疲れがまったくとれていない。七月二十日の木曜日の朝になった。


 頭のおかしい通り魔にグチャグチャにされて殺されたリオンの死体をリヒトが農道の脇で発見してから一週間が過ぎて、その間、学校はずっと臨時休校で期末考査も歯抜けのまま終わってしまっていたのだけれど、修了式は予定通りに行うという連絡がきて、わたしは今日、久しぶりに登校する。


 制服に着替えて準備をしていたら、お母さんが「睦深、学校に行くの?」と、驚き半分、不安半分みたいな表情で訊いてきて、わたしは「うん、まあ。行かないといけないみたいだから」と答える。


「もうどうせ夏休みに入るんだし、なにもこんな状況で無理して学校に行くこともないと思うけれど」と、お母さんはなにかが腑に落ちなさそうに言ったけれど、別にわたしが学校に行こうとするのを強く引き留めるということはない。基本的には、学校に行こうとするのは良いことのはずだから、それを止めようとするのは、親の立場からするとなにかが混乱するのだろう。


「リオンちゃんを殺した犯人も、まだ捕まってないっていうのに」


 リオンを殺したのは別に超常的な存在でも超自然的な現象でもなく、とても現実的で具体的な頭のおかしい通り魔という実在の人間で、警察はもちろん徹底的な捜査をしているし、証拠もボコボコと見つかっている。自宅から連れ去るまでの手際があまりにも良すぎるように思えるだけで、犯行じたいはとても杜撰で、ありふれた強姦殺人なのだ。現場にもリオンの身体にも、大量の物証が残されている。そう遠からず逮捕されることになるだろう。


「警察官もたくさんきてるみたいだし、大丈夫だと思うよ。頭のおかしい通り魔はリオンが殺されるその前からずっとこの町のどこかには居て、そいつが襲ってくる潜在的な確率はこれまでも常にあったわけだから、それが顕在化して可視化されている今は、逆に、以前よりも安全になったくらいなんじゃないかな」

「そういう理屈は、まあ分からなくもないけれど」


 心配なのよ、と、お母さんが言う。

 まあ、そうだろうなとは思う。いくら、普段は仕事ばっかりでほとんどほったらかしにされているとはいえ、わたしがお母さんの実の娘であることは間違いないのだ。そりゃあ、心配くらいはするだろう。心配するだけならタダだし、なんの労力もかからない。


 とはいえ、わたしだって怖いのは怖い。確率だのなんだのと、変な理屈をつけてまで自分を納得させているのは、もちろん怖いからだ。人は分からないものを恐れる。自分の制御とは無関係に襲ってくる恐怖という感情は、自分でコントロール可能な思考と理屈で乗り越えるしかない。でも、理屈と膏薬はどこにでもくっつくわけで、実際のところ、理屈には膏薬程度の効用しかないのだ。塗っておけばなんとなく安心できるという程度の代物に過ぎない。


 でも、わたしは家にいて自分の部屋にひとりきりで、いろんな情報や状況からシャットアウトされてしまうことのほうがもっと怖いことのように思えて嫌で、学校に行けばまたリヒトやキミヤにも会えるかもしれないし、リヒトのことが心配だからっていうのもあるけれど、それ以上に、わたしはできるだけ色んな情報を知っていたいのだ。


 だから、こんな状況ではあるけれど、学校には行こう。

 学校に行って、いろんなことを見て、聞いて、情報を把握しておこうと思う。


「睦深はたったひとりの家族なんだから」

 お母さんはわたしにそんなことを言う。わたしは「もう、分かったってば」と、返事をする。


 わたしはお母さんとふたり暮らしで、父親はいない。死別したんじゃなくて、わたしがまだずっと小さかった頃に、お母さん以外の女の人とどこかに行ってしまったらしい。わたしの物心がつく以前のことだから、わたしはお母さんからの伝聞でしか父親のことを知らないし、父親がいないことを寂しいと思ったこともない。あったものを失ったのなら、それを恋しがることもあるのかもしれないけれど、最初からないのならどうということもないものだ。


 お母さんはわたしたちを捨てたということで父親のことをボロカスに言うのだけれど、でも、わたしはお母さんからの一方的な言い分だけで見も知らぬ父親の評価を確定してしまうのもフェアじゃないような気がして、それについても保留している。


 ひょっとしたら、父親は事故で頭を打って記憶を失い、どこか遠くの病院で今も療養しているのかもしれないし、どこかの武装テロリストに捕まって閉じ込められたまま、わたしたちに連絡もできずにいるのかもしれないし、もしかしたらトラックに轢かれた拍子に異世界に飛ばされて、まだ世界を救う旅の真っ最中なのかもしれない。


 記憶にも残っていないような人を恋しがることはないのと同じように、全然知りもしない人のことをハナから憎んだり恨んだりするのだって難しい。


 けど、わたしはそんなことをお母さんに向かって言い返したりせずに、お母さんの言い分を適当に聞き流して、うなずく。それが彼女の物語なのだから、物語は物語のままにしておいて、その解釈をわたしのほうで勝手にしていればいいのだ。わたしは真実を追求したいわけじゃないし、そのほうがお母さんの機嫌もいい。


 準備を済ませて玄関を出ると、家の前の通りでキミヤが待ってくれていた。


「おはよう」と、わたしが挨拶すると、キミヤもなんでもない風に「おはよう」と挨拶をかえしてくる。

 わたしが歩きはじめると、特になんの断りもなくキミヤも隣に並んで歩き出す。


 わたしだってキミヤがわたしのことを心配してくれているのは分かるし、身体が大きくて力も強いキミヤが隣を歩いてくれているのはそれだけで心強いのだけれど、たぶん、キミヤから「一緒に登校しようか?」ってわざわざ気遣われてしまうと反射的に「いや、いいよ」とか言って遠慮してしまいそうな気がするし、キミヤはわたしのそういうところまで見越して特に事前になにも言うことなく黙って家の前で待ってくれていて、そのうえ、そのことを恩に着せてきたりするところもまったくなくて、そういうところが本当にキミヤだなぁって思う。


「ありがとう」

 キミヤと並んで歩きながら、わたしがただそう言うと、キミヤもただ「ん」とだけ返事をする。


 謎の突然死だとか、交通事故だとか、そういう曖昧な不審死が連続しているうちはなにを警戒をすればいいのかが分からないから対応が難しいけれど、頭のおかしい通り魔というのはひどく現実的で具体的な脅威だから、大人たちも現実的で具体的な対応を取り始めていて、通学路にも警察官がたくさん立っている。


 この状況では、頭のおかしい通り魔が突然襲ってくるという展開はさすがにもうないだろう。いくらなんでも、そんなことが二度も続くのは筋書きとして無理がある。


 でも、今日は木曜日で、木曜日にまず警戒するべきは謎の心不全による突然死のほうで、いくら警察官が物理的に警戒したところで、そちらのほうは防ぎようがない。


「大丈夫だ」と、不意にキミヤが言う。わたしは黙って、キミヤの顔を見上げる。身長差があるから、並んで歩きながらキミヤの表情を伺おうとすると、自然と見上げることになってしまう。ずっと昔は、わたしのほうがちょっと背が高かったはずなのに、いつの間にこんなに大きく立派になっていたのだろうか。


 キミヤはそれ以上、なにも言わない。ただ決然とした表情で、まっすぐ前を見ていて、なんだか頼もしい。


 悪いように考えることが悪いことを実際に呼び込んでしまっているのかもしれないけれど、かといって、ただ楽観的であるだけでは、なにかが起こったときに被害をより拡大させてしまいかねない。だから、わたしたちはただ悲観的だったり楽観的だったりするだけではなく、とれるだけの現実的で具体的な対策をとったうえで、きっと大丈夫だと確信している必要があるのだろうと思う。


 だから、わたしもキミヤに、ただ「うん」とだけ返事をする。きっと大丈夫だ。


 全体の半分くらいの生徒しか学校には来てなくて、教室がとてもスカスカとしているけれど、わたしとしては、むしろ「半分も来てるのか」という感慨のほうが大きい。きっとみんな、わたしと同じように知っていたくて来ているのだろう。自分を状況から切り離してひとりでいるより、状況に自分からコミットしていこうと、自分自身で決意したのだろう。そういう人が全体の半分もいたというのは、とてもすごい。


 意外なことに、リヒトも学校には来ていた。キミヤが「大丈夫か?」と声を掛けて「うん、まあなんとかね」なんて、普通に会話もしていて、そういう様子を見ている限りではわりと普通っぽいように見える。リヒトの家で話をして以来、リヒトとは顔を合わせていなかったのだけれど、あの時よりは顔つきも少しマシになっているように見える。


 頭の後ろでグルグルと渦巻く黒い影みたいなのも、今はいない。


 わたしは遠目にリヒトの様子を確認してちょっと安心するけれど、直接に声を掛けるのはなんだか躊躇われてしまって、遠くから見て安心するだけにしてしまう。


 朝のホームルームで、先生は教室に集まった生徒を見回して「今日きてるのはこれだけか」と呟いたけれど、それ以上は特になにも言うことはなく、わたしたちは修了式のために体育館に移動する。クラスごとに整列して体育座りで待機していたら、トンッという軽い音がして、なんだろうと思ってそちらを見たら唐突に更埴真衣の肩の後ろに棒が生えていて驚く。


 矢だ。棒のおしりに羽根みたいなのがついているから、たぶん矢なんだと思う。


 一瞬遅れて、更埴真衣の「いったああああああああ!!!!!」という悲鳴が響いて、体育館中の視線が集まって、更埴真衣の肩に矢が刺さっているのを見て、みんなが次々と悲鳴を上げる。


 誰かがどこかから矢を射ってきたのだということを把握したわたしは、後ろを振り返る。更埴真衣の肩の後ろに矢が刺さっているのだから、矢を射ってきたやつは後ろにいる。そしてすぐにそいつの姿を見つける。


 体育館の入り口には藤崎五郎がいて、構えた黒い大きなクロスボウに次の矢を装填しようとしている。


 一瞬にして悲鳴と怒号に包まれた体育館で、九割以上の子は後方の入り口付近にいる藤崎五郎とは距離をとる方向に、つまり、前方に逃げる。藤崎五郎が「全員動くなぁ!!」と、叫んだけれど、襲撃している側のはずなのに声になぜか怯えが含まれていて、そんな覇気のない声ではこれだけの人数を掌握することはできないし、制圧するにはクロスボウの威力と連射性能が足りないから、誰も立ち止まらないし、わたしも止まらない。わたしは更埴真衣に駆け寄って「大丈夫!? しっかりして!」と声を掛ける。更埴真衣は涙を流しながら俯いてブルブルと頭を振っている。


 気が付くとすぐ横にリヒトがいて、更埴真衣に「大丈夫だ。致命傷じゃない。ちゃんと治る。だから立って。逃げるんだ」と、声を掛けている。リヒトがわたしを見る。その顔は、表情は、完全な正気のように見える。「むっちゃん、頼む」と、言い残して、リヒトは立ち上がって後方に移動する。


 同級生がいきなりクロスボウを携えて襲撃してくるという事態にも、リヒトはすでに適応して対応しようとしている。わたしはなぜだか、そのことにすこし安心している。リヒトがヤバいかもしれないというのはただのわたしの杞憂で、リヒトは全然マトモなんじゃないかって気分になる。わたしは更埴真衣をなんとか立たせて前方に移動する。


 体育館のちょうど真ん中あたりに立って、リヒトが「藤崎!!!! なんのつもりだ!!!!」と、怒鳴り声をあげる。体育館の壁がビリビリと震えそうなほど大きな声で、藤崎五郎が叫んだときよりもみんなが驚いて一瞬首を縮める。


「やられる前にやるしかないだろぉっ!!!」と、藤崎五郎が意味の分からないことを叫んで、クロスボウを構える。たぶん、リヒトに狙いをつけて、藤崎五郎がクロスボウから矢を発射する。リヒトは身じろぎもせずに体育館の真ん中で立ったままだけれど、矢はリヒトに当たらない。そのかわりに、別の誰かに矢が当たったようで、また悲鳴が上がる。藤崎五郎の射撃の腕はあまりよくないようだ。


 体育館の前方に向かって逃げる大勢の生徒たちの流れに逆らって、キミヤが藤崎五郎のほうに動き出していて、その途中で遠藤正孝の肩を叩く。肩を叩かれた遠藤正孝は、キミヤとなにか短い会話をかわすと、頷いて左のほうにゆっくりと移動する。キミヤは逆に右にいく。


「なんの話だ!? 誰がお前をやるっていうんだ!?」

「ムルムクスだ! ムルムクスが俺を選んだ! 次に死ぬのは俺だ!! このままなにもしなきゃ次に死ぬのは俺なんだ!! 死にたくないなら! やられる前に誰か別のやつを殺すしかない!!!!」

「お前はいったい何を言っているんだ!? 頭がおかしいんじゃないか!?」


 藤崎五郎はリヒトとの会話に気を取られていて、左右の壁伝いにキミヤと遠藤正孝が近づいてきていることに気付いていない。いや、そもそも、極度の興奮状態で周囲の状況があまり見えていないのかもしれない。遠目で見ても明らかに、なにか目つきがおかしいし、クロスボウに矢を装填しようとする手元もおぼついていない。


 頭がおかしいんじゃないのか? じゃなくて、たぶん普通に、藤崎五郎は頭がおかしくなっている。次は自分が死ぬのかもしれないという恐怖に怯えて、頭の中になにか変なものを作り出してしまっている。


「ムルムクスは強欲だ! 誰かが犠牲にならなきゃ満足しない! それなら、俺じゃない誰かに犠牲になってもらうしかないだろぉっ!!!」

「なにを言ってるのかまったく分からない! たんにお前がいきなりクロスボウを乱射してるだけだろう!」

「俺だって好きでやってるわけじゃない! でも!! こうなったら!! やるしかないだろぉっ!!!!」


 そんな風に、リヒトと藤崎五郎が喧々諤々している隙にキミヤが右から藤崎五郎に近づいていて、一気に駆けだす。藤崎五郎もダッシュで近づいてくるキミヤに気付いてクロスボウを向けて、射る。キミヤは移動の途中で調達していた折り畳みのパイプ椅子を盾みたいに掲げて、そこに矢が突き刺さる。矢は折り畳み椅子を貫通して、わずかにキミヤの顔を傷付けるけれど、威力が足りずにそこで止まる。藤崎五郎は次の矢を装填しようとするけれど、背後から走り込んできた遠藤正孝が「おっらあああああ!!!!!」と、勢いそのままに全力で藤崎五郎にドロップキックをするほうが早くて、藤崎五郎が吹っ飛ぶ。「おおおお~!!!!」と、前のほうに逃げていた生徒たちから歓声があがる。


 藤崎五郎は立ち上がってまたクロスボウに矢を装填しようとするけれど、今度はキミヤに折り畳み椅子で思いっきり頭を殴られて、立ったままピヨピヨとしてしまう。直接手の届く間合いに入ってしまえばクロスボウなんかもうあってもなくても同じようなもので、キミヤと遠藤正孝という我が校の腕力二強みたいなふたりに挟み撃ちにされた藤崎五郎にはもう勝ち目がない。


 また遠藤正孝が藤崎五郎に飛び蹴りを入れて、藤崎五郎の手からクロスボウが落ちる。キミヤがそれを素早く遠くに蹴り飛ばす。体育館全体に「うおー! やったー!」みたいな、安堵のムードが広がる。


 遠藤正孝が床に倒れた藤崎五郎に馬乗りになって、顔面にパンチする。顔面にパンチする。顔面にパンチする。顔面にパンチする。顔面にパンチする。顔面にパンチする。


 もう、藤崎五郎は身動きひとつしない。


「は……ははっ……は、ははは……!!!」


 藤崎五郎の顔面をむちゃくちゃに殴りまわしながら、遠藤正孝が笑っている。


 なんだか、遠藤正孝の頭の後ろで、例のあの黒い影がクルクルと渦を巻いているような気がする。でも、周囲が明るくてよく見えない。ひょっとしたら、ただのわたしの見間違いか、気のせいかもしれない。


 まわりのみんなも、あれ? なんかおかしくない? これ、藤崎五郎だけじゃなくて遠藤正孝も遠藤正孝でなにかがおかしいんじゃない? みたいなムードになりかけたところで、キミヤが遠藤正孝の肩に手をかけて「もういいだろ」って言う。


「気絶してる。動かない。もう、大丈夫だ」


 キミヤに言われて、遠藤正孝はやっと正気に戻ったみたいに「あ、ああ……おう。そうだな」と答えて、動かない藤崎五郎の身体の上から退く。改めてよく見てみても、もう遠藤正孝の頭の後ろにはなにもない。最初から、別になにもなかったのかもしれない。頭のおかしい通り魔を警戒して増員されていたせいか、驚くほどすぐに警察官が駆けつけて、しこたま顔面を殴られて鼻血を流しながら気絶している藤崎五郎も、藤崎五郎にクロスボウで撃たれた更埴真衣も救急車で運ばれる。


 襲撃から収束まで、五分もなかったと思う。藤崎五郎がクロスボウで射た矢は三本だけで、誰かに当たったのは二本。肩を撃たれた更埴真衣が一番の重傷だけれど、それも命に別状はないようだ。


 今週の木曜日も、またとんでもないことが起こってはしまったけれど、わたしたちはそれを、かなりベストに近い方法でうまく乗り切ったのだと思う。クロスボウで襲撃されても、ひとりの死者も出すことなく収束させたのだから。



 けれど、翌朝には警察に拘束されていた藤崎五郎が留置所の中で死んでいるのが発見されて、結局、木曜日のジンクスは覆らないまま、わたしたちは夏休みに入る。

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