不老不死~僕とあの子~

桜船 みかん

~僕とあの子~

 痛くても、苦しくても死ぬことのできない体。

ー不老不死ー

僕は、不意にこんなことを思った。

ー僕を愛してくれる人などいるのだろうかー

 窓から外を覗きこむと、小学生たちが、列になって、登校していた。もしも、あの子たちに、「僕は、不老不死なんだ。」と言ったら、信じてくれるだろうか…。「一緒に不老不死になろう」と言ったら、なってくれるだろうか。僕は、自分の考えた事に、嫌気がを感じた。僕は、自分の頬を叩いた。じょじょに痛みが、伝わってくる。一人の子と、目があった。その子は、ニッコリとして、手をふってきた。僕も、手をふりかえした。この子は、行ってしまった。あの子たちに、僕みたいには、なってほしくない。今まで僕は、どれだけ最低だったのだろうか。仲間が増える?…。僕と同じような人生を、おくらせてしまうだけだ。

 次の日も、窓から外をながめた。また、昨日の子が、手をふってきた。僕もまたふりかえした。次の日も…次の日も…目があっては、手をふるようになっていた。僕は、毎朝、毎朝窓から外をながめていた。あの子に向けて、手をふるのが、僕には、一つの楽しみになっていた。けど、もう終わってしまった。

 ふいに、誰かと目があった。相手の子は、目を丸くしていた。

「いつも手をふってくれたお兄さんですよね?」

と、僕に届く声で、聞いてきた。

「そうですよ」と、僕が答えると、

「六年くらいたっているのに…なにも変わりませんね」

あの子とは、あの日から小学六年生になるまで、手をふりあっていた。けど、あの子が、中学生になったときから、会うことはなくなりました。そして今あの子が、目の前にいる。あの幼かった頃には、想像できなかった、姿だった。綺麗になっていた。

「僕は、不老不死なので」

僕は、冗談のように笑って見せた。

「そうなんですね。」引くこともなく、ただただ僕を見つめていた。その瞳にすべて見透かされてしまいそうな気がした。僕は、目をそらした。そして、「冗談だよ」と言って、窓を閉めた。僕は、それから外を見ることは、なくなった。『ピンポーン』僕の家のインターホンがなった。ドアの向こうをのぞくと、あの子がいた。僕が、開けようかと迷っていると、またインターホンが家のなかに鳴り響いた。僕は、いをけっして、ドアをあけた。

「こんにちは…突然すみません。あの…この前の…」

「ここは寒いので、中に入りませんか?」

僕が言うと、「お…お言葉に甘えさせてもらいます。」と、家の中に入ってきた。残り少ない、紅茶のストックを使い、

「どうぞ」と、あのこの前においた。

ペコリと、おじぎしたあとあの子は、先程の言葉を、続けた。

「お兄さんはこの前自分を、不老不死といってましたよね?最後に付け足すように、冗談と言っていましたが、私には、本当の事を言ってる気がしました。本当のことですよね?」

あの子が追い詰めてきた。またあの目だ。すべてを見透かされてる気がする。今そらせば、本当だとバレてしまう。数分にらみあったあと、あの子は、

「私は、この町を出ていきます。ほど、お兄さんの事を、忘れません。こんな約束は、小さな事かもしれません。けど…大事なものだと、私は、思います。なので、つらいことがあっても、この約束を、覚えといてください。失礼します。」

そう言って、さっていった。"約束"なんかいしたことか…でも、"約束"した人は、全員どこかにていた。

 もしかしたら、あの時の彼女だったのかもしれない。不老不死になっても、愛し続けれないといっていたあの子かもしれない。僕は、"約束"というものを、大切にしようと、決意した。

☆☆☆

リクエストがあったので、書かせてもらいました。長編と言っても1000文字以上と書いたことがまだないので…長編というほどでもありませんが、不老不死。その言葉の意味を考えてみてください。

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