case2
なかなか素直になれない私は、
小さい頃から謝るのが苦手だった。
ごめん
その一言が言えずに、何度苦しんだか。
そしてまた苦しむのだろうか。
彼氏と、喧嘩した。
きっかけは些細なことだった。
靴下の裏返しがなおっていなかった、
ただそれだけできつく言ってしまった。
そしたら逆ギレされた。私は頭にきて、
家から飛び出してきてしまった。
なんとなく立ち寄ったスーパーで、
不思議な飴を見つけた。
「言葉キャンディ…?」
舐め終わるとパッケージに書かれた
言葉を言ってしまうらしい。
ごめんって書かれたキャンディを舐めれば
私も、ごめん、って口に出せるのかな。
私が妙に惹かれたそれを買い、
ごめんと書かれたパッケージに入った飴を
舐めながら、5分ほどかけて家に帰った。
部屋に入ると、彼はテレビを見ていた。
とても気まずくなって逃げ出そうとした時、
彼が寄ってきて、私を抱きしめた。
彼は何も言わなかった。
いや、言えなかったのかもしれない。
「ごめん。」
私の口から、溢れるようにして出た
謝罪の言葉。
先ほど食べていたはずの飴は
もう口の中にはなかった。
言葉キャンディ 有栖川 @Alice_Wonder_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。言葉キャンディの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます