散歩生活の終わり
少し思うところがあって、散歩生活を閉じることにした。
最後のスタート地点、というのもおかしな表現だが、ともかく私は北千住駅で下車し、そこから歩き始めた。
東口を出て、活気のある商店街を抜けると、もう何度通ったかも分からない、汐入公園にすぐ辿り着いた。思えば此処を舞台に『東京の桜』という題で書き、散歩を題材にしたら面白いかもしれない、と考えたのが散歩生活を始める切っ掛けであった。その話自体は散歩生活でなく、『雑文集』の方にあるので興味があれば読んでほしい。
隅田川沿いをどんどん下っていくと、今度は東白鬚公園である。この要塞の様な景色が私は好きで、何枚か写真に撮って残している。嫌なことがあった時など、よく訪れたものである。
汐入、東白鬚と来て、忘れてならないのは隅田公園だ。スカイツリー、屋形船、そして桜と、時期が来たら素晴らしい眺めになるのだが、今は少し物寂しい雰囲気が漂っている。
序なので、上野恩賜公園にも足を運んだ。此処は本当に何度もお世話になった。良いことがあった時も、そうでないときも、酒に酔っているときも、他人といる時も、桜の季節も、銀杏の季節も。
そして唐突に散歩生活は終わる。とは言ったものの、これからも散歩は続ける。そんな宣言など無くとも、生きていることそれ自体が散歩の様なものである。
散歩生活 石嶺 経 @ishiminekei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
不文集/石嶺 経
★127 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1,123話
泥酔文学/石嶺 経
★20 エッセイ・ノンフィクション 連載中 40話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます