星伐記
星伐記:第一節
星伐記 第一節
1.
空の天使が殆ど降り去った時、エルシエルは眠っていた。ガイアラキとハルマーレの二柱の嘆願により《父》がエルシエルを起こすと、彼女は事の次第を理解した。
二柱が困り果てているのを見てエルシエルは大声を上げて笑った。これが二柱の怒りを買い、《父》もエルシエルに罰を下すことに同意した。
エルシエルに挙げられた罪は大きく二つであった。
一つ、自身の生み出したモノが地上を荒らしていた間に眠ったまま、何もしていなかったこと。
二つ、二柱を嘲笑ったこと。
エルシエルに下されることとなった罰は以下の二つである。
一つ、エルシエル自身が地上に降り、人として堕天使を征伐すること。
二つ、堕天使を征伐した後、星の運行を地上の生き物に任せること。
エルシエルは二つ目の罰に対し、堕天使を征伐した後にそのまま天に帰れば済む話と考えたが、その魂胆を《父》に見抜かれたため、もう一つの罰が下されることとなった。
三つ、エルシエルは神としての人格・記憶を失い、人として地上に降りること。
エルシエルは罰を全て承諾した。二柱は堕天使の征伐のため、いくつかの準備を進めた。
まず、エルシエルが星の運行に用いていた「動かない星」を地上に降ろすことが始まった。ハルマーレはこのために「空へ続く海の果て」から全ての生き物を退去させた。ガイアラキは陸のうちから硬い部分を集め鎖とし、「空へ続く海の果て」と「動かない星」を繋いだ。
次に、エルシエルは盟約に従い、全ての天使を珠に還した。作業が思いのほか早く終わったことに、彼女は自分のしたことを自覚した。
次に三柱は、エルシエルが地上のどこへ降りるかを相談した。行き先が決まると、ガイアラキが「動かない星」を「空へ続く海の果て」へ落とすのと共に、エルシエルはとある女の胎に宿された。
こうして空から「動かない星」は落ち、これは後に天の星を動かす元となることから、原動天と名付けられた。
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