歌番号1495の読み方

歌番号1495の読み方について考えてみます.

ただし上代特殊仮名遣は間違いであると仮定しています.


引用しますと、

1495 足引乃 許乃間立 八十一 霍公 鳥 如此聞始而後 将 恋可 聞

引用を終わります.


前回お話しましたように『足引乃』は『飛鳥』でありますが、ここでは『飛んできた鳥』と解釈してみたいと思います.


『八十一』と『霍公』は、その鳥の鳴き声だと思います.『八十一』は『クックゥ』の戯れ書きで、『霍公』は『カッコウ』の音を当てたのだと思います.


何度も音声を繰り返し聞いていると、前後が引っくり返ることがあると思いますが、この文章はその引っくり返りを述べたものだと思います.

カッコウ、カッコウ、カッコウ、カッコウ、・・・、コウカッ、コウカッ、コウカッ・・・


同じ鳴き声を何度も聞いているうちに、『カッコウ』が『コウカッ』に引っくり返り、そして『コウカッ』は『こふかっ』であり、『こふかっ』に漢字を当てると『恋可』、つまり、鳥の鳴き声が『恋するべし』と聞こえるようになったと云う事だと推測します.


私訳ですが、現代語で示せば、

1495 飛ぶ鳥が、木の間に立ち、クックゥ、カッコウと、このように聞こえ始めた後は、まさに恋可(こふかっ)と聞こえる

と云う感じでしょうか.


歌番号1495で鳴いているのは郭公なのかどうか分かりませんが、鳴き声がそのように聞こえる鳥だと思います.例えば、クークーと鳴く鳩かも知れません.

(了)


―― あとがき ――

万葉集は、秀歌を集めた歌集などと云うことではなく、文字を使って日常語(大和言葉)を書き留めるための様々な漢字の用法を集めた実用的例文集だと思っております.


一旦、連載は今回で終了します.駄文にお付き合いいただき有り難うございました.

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文芸エッセイ『万葉集について』 茜町春彦 @akanemachi

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