傘に対する意味や価値はどのようなものか
意味や価値は実在として「ある」わけではなく、認識として「ある」と考えれば、それらを手のひらにのせて眺めることができない理由はうまく説明できる。それは僕らの頭の中だけに存在している心的な現象と言うわけだ。となると、意味や価値の絶対性は明確に否定されることになる。
――どういうことか。
頭の中で認識されるものとは、人それぞれと言う仕方を原理的に孕んでいる。つまり、意味や価値は、それらを認識する人の置かれた状況や価値観、あるいは嗜好性、といった要因に大きな影響を受けるということだ。例えば、傘に対する意味や価値はどのようなものかについて考えてみたらいい。
今日の天気予報で降水確率が80%だったとしよう。どうしても外出しなければいけない用事があったとして、君にとって傘にはどんな価値や意味があるだろうか。そして、その価値は降水確率が0%の場合とまったく同じだろうか。
ボールは絶対的にボールとして存在する。公式なサッカーボールはグラウンドにあろうが、廊下に転がっていようが、水に浮かんでいようが、降水確率が何%であってもサッカーボールだ。しかし、意味や価値は状況によって大きく変わってしまう。
――意味や価値は文脈依存性という性質を潜在的に有している。
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