8-2
「ホトケノザって、おやつにもなるしお粥にもなるし、賢い草やね。すーちゃん」
草むらに座り込んで、シロツメクサを編みつつ「野原のおやつ」を引っこ抜き、すーちゃんを見る。
「お粥?」
すーちゃんの編んでいるシロツメクサの冠は、真ん中にタンポポが編みこんであって綺麗だった。
「給食で食べた!七草粥!」
私は、あの呪文を言ってみせる。セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ。
「ああ、そのホトケノザとこのホトケノザは違うんよ。」
私は、びっくりして編んでいた手を止める。頭の中は、あの呪文が無限のループだ。
「待ってて」と言ってすーちゃんが草むらで何かを探す。しばらくそんなすーちゃんを眺めていたら、ちょっと離れたところから、おいでおいでをしてきた。
私は慌てて立ち上がり近づき、すーちゃんの指す地面を見つめる。地べたにべったりとくっつくようにひょろりとした草が円状に広がっていた。その真ん中、同じように地べたにくっつくようにして黄色の小さな花が咲いている。帯状の黄色い紙の端っこをざくざく切って花びらに見立てたようなのが九枚。
「これが、七草粥のホトケノザよ」
「なんであの紫の花と同じ名前なん?」
「わからん。」
物知りのすーちゃんが「わからん」と私たちにはどうしようもなくなる。
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