第3話
「おいお前…今のって…」
坂木蒼さかきそうにダンジョンへの入口に入ろうとした瞬間をちょうど目撃された。
この瞬間僕の脳内はすごいことに慌てふためいていた。
(やばい!やばいんじゃないか?この状況は!てか、バレたらどうなるんだ?もしかして僕消えるとか!?それとももっと酷いことが…)
なんて考えていると蒼くんがまた口を開いた
「おい、答えろ…今のはなんだと聞いている」
「そ…蒼くん、今のって?なんのこ、ことかな?」
僕は突然の自体に戸惑い滑舌がうまく回らない、
これじゃ、何か隠してるってモロバレじゃないか…
「何のこともないだろう!お前今何を隠した!」
………へ?
「え……隠したって、何を?」
僕はよくわからない状況に更に戸惑った
すると蒼くんが僕に向かってズイズイと近ずいたきた。
「な、何?蒼くん…」
ニヤ…
蒼くんは変な笑みを浮かべて僕の後ろにある押入れに飛び込んだ。
「お前が隠したそれ!これ探してたんだ!」
探してた…?
僕は慌てて後ろを向いて蒼くんが左手に握っているものを見た。
「フィギュア……?」
蒼くんが手に持っていたのは昔、お母さんが僕の誕生日にお金がないのにコツコツ頑張って貯めたお金で買ってくれた、大人気アニメのフィギュアだった。今はもうそのアニメは連載が終わり
見ることがなくなっていたけどその当時は僕が最も夢中になれるものだった。
だからそれは僕の本当に大切なもの。
「そ、蒼くん?探してたって…それ、僕の大事なものだから…それだけはあげれないよ…そ、それにもし仮にそれを蒼くんが持ってたら僕のお母さんがきずくとおもうよ。だから、ね?返してくれないかな、蒼くん。」
僕がそういうと蒼くんは僕を睨みこういった
「そんなの知らねぇよ、これは数本限定の超激レアフィギュアじゃねぇか、まさかお前みたいなやつが持っているとは思わなかったが、、これは今日から俺のだ。このフィギュアは俺も持っていてお前のは偶然失くした。って言えばどうにかなるだろ、ま、そゆことだからじゃあな〜、あ、あと、お前から親に俺が取ったって告げ口したらどうなるか分かってんだろうなぁ」
そう言って立ち去ろうとしている蒼くんの右の手を逃がすまいと掴んだ。
いつもの何でもないものだったらこんなことはしなかったと思う。でも、ものがモノで大事なものだから咄嗟に手が出た。
正直自分でもびっくりしている。
やはりと言うべきか、当然と言うべきか
蒼くんはこちらをみて気持ち悪そうな顔をして僕の腹に思いっきり蹴りを入れてきた。
「ぐほ……ぐ……」
勢いよく腹のみぞおちを蹴られたことによって吐き気が襲いかかる。
とてつもなく具合が悪くなり、とてもじゃないけど起き上がれも、言葉を発するのもきつい。
「お前まじきめぇんだよ、奴隷がご主人様の許可無しに触ってんじゃねぇよ」
(あ…僕、ペットじゃなくて奴隷になったんだ…なんだろう、蒼くんってすぐコロコロ変わるよね…)
そんなことを思いながらお腹を抱えながら蒼くんを見た。
「チッ……キモいやつに触れてしまったせいで僕の足と手が汚れてしまった…お風呂にでも入って全ての汚れを取ってくるとするか、あ、お前僕が帰ってきたら覚えとけよ?面白いゲームをしよう」
そう言って絶対に面白くもないゲームの約束をさせられニヤリと気持ち悪く笑いながお風呂場へ行く後ろ姿を見て、殺意と大切なものを奪われたという悲しみが湧いた。
「また…何も出来なかった…それどころか大切なものまで取られて…僕に力があればな…今の僕じゃ力なんて程遠くて逆だもんな…治癒魔法。か。使えるのはいいと思うけど…やっぱりあいつを……力が欲しいな……」
僕は自分の弱さに悔やみながらそんなことを思っていると、それに反応したのか突然閉まっていたはずの押し入れが勢いよく開き光に包み込まれた。
バンッ──────シュゥゥゥゥウ─────
「え…!?な、なに!?いきなり!?」
突然のことがありすぎてびっくりしながら光に包まれながら奇声をあげてしまった。
もう二回目だ、実質三回目らしいが僕の記憶上二回目だけど、これはなれないな。と思いながら吸い込まれていった。
そして吸い込まれた先は当然のように洞窟の中。異世界のダンジョン。
そして僕の目の前にいたのもまた、異世界のモンスターだった。
僕の部屋の押入れは異世界ダンジョンへの通路。能力を獲得し、復讐を。 蘭能圭斗 @1124113
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