太陽の王子と星の騎士

作者 犬井たつみ

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★★★ Excellent!!!

主人公は、ある事件をきっかけにリビングアーマーと化してしまった少年。
目覚めた彼アステルは、記憶を失うとともに鋼のがらんどうへと化してしまう。
彼は自身のことは二の次とし、泣き声に誘われるまま赤ん坊ソアレを拾い、その子を助けんとするさなかラミアの女性ラミナに救われ生活を共にするようになる。
そして様々な出来事を通し家族の絆を強め、成長し、そして真実へと向かい進んでいく。

この作品の魅力は、なんといってもその温かい家庭だ。
魔物にも関わらず人間以上に温かい心を持った家族や、周囲を取り巻く仲間たち。
厳しい出来事もあるが、愛をもって支えあい、乗り越えていく。
人間としての生き方にとらわれない魔物だからこその、彼らの関係かもしれない。でもそこには現代を生きる人間の我々だからこそ見習うべき、優しさや愛情が満ちあふれている。

個人的に驚いたのは、赤ん坊の育児の描写の細やかさだ。作品によっては不自然な描きかたも多い難しいシーンだが、確かなリアリティと文章力で、言葉では表しきれないその大変さをありありと描いている。


暖色のパステルカラーに彩られた、優しい物語。
ぜひ夜布団に入ったとき、この物語を開いてほしい。暖かく優しい彼らの生き生きとした姿が、あなたを素敵な夢へといざなってくれるはずだ。
そして目覚めたとき、隣の家族に、離れ暮らす両親に、将来の連れ合いに、優しい言葉をかけたくなるだろう。

★★★ Excellent!!!

 残酷で、愚かな人々が住む世界。
 そんな世界の片隅に、とても優しい家族が生まれます。

 死して生ける鎧(リビングアーマー)となった少年。
 そんな彼が、大きな宿命を背負った赤子を拾う。
 だが、リビングアーマーに赤子を育てる能力は無く、このままでは死んでしまう。
 途方に暮れる彼らを優しく受け入れてくれたのは、母性溢れるラミアの美女だった。

 血のつながりは無いけれど、優しさに溢れた小さな家族のほのぼの生活が始まります。

 けれど、この世界は甘くなく、やがて彼らの背後にも厳しい運命が迫りくるのでしょう……。

どこか切なくも優しさに満ちたこの物語を、あなたにも是非。