人間と、元殺し屋。

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第1話









「 おい、ちゃんと目的のブツは買ったんだろうな? 」



「 うん、ちゃんと買ったよ。 」



「 早く車に来い。 」












手に持った無線機から

若いのに、とても渋くて

どこか皺の重なった声がする。


少年は、黒い小型車の前まで

その袋を持っていく。

中へと入り。

言葉を交わす。












「 はい、どうぞ。 」














男は無言で静かに

少年の持っているその袋の中から

一つ紙袋を取り出すと

中を物色し始め、そして。




















「 ・・・これが、新作のバーガーか。 」


「 うん!

  ガーリックソースとチーズ二枚、熟成パティ二枚

  新鮮なトマトの切り身一枚を挟んだバーガーらしいよ。 」


「 名付けて、”テキサスダブルチーズバーガー”! 」


「 シンプルなネーミングだな。 」


「 まぁ、ジャンクフードだしね。 」


「 だが、ガーリックソースとフレッシュトマトとレタスを

  ”テキサス”という単語に纏めたのは

  素晴らしい。 」












男は、少年に外傷はないか確認していた。

怪我はない。

絡まれた痕跡等も無さそうだ。


少年から出された食品の数々を

小言の様にしゃべりながら、四方から

目新しく、バーガーを終始真顔で観察する男。


ある事に気付き、眉が歪む。














「 ・・・デカくないか? 」


「 ・・・うん、デカい。 」






とても横にして食らいつくとは思えないその料理の大きさ

・・・というよりも高さに

あんまり口を動かさなかった為、表情筋に自身がない男と

そもそも小柄な為、無理してあんまり大きく口を開きすぎると

アゴが外れそうになる少年は

驚愕と共に圧倒されていた。








「 ・・・過去の仕事以外で

  こうしたジャンクフードを食べるのは初めてだが

  ハンバーガーというものは・・・

  こんなに大きいものなのか・・・? 」



「 いや、一応、その

  普通のバーガーも買ってきてはいるんだけど。


  ・・・ほら 」




少年は、フロントに

双方を比べやすい様に横に並べてそれを置く。





「 ほう・・・、これは

  肉が美味しそうだな・・・ 」


「 コショウも一応振りかけられてるはずだけど・・・

  なんだったら、パティにかけてみてね。 」





足元の小物入れから小さなコショウ瓶を取り出すと

それも並べ。

興味津々な男の様子に頬を緩ませては

袋の中身を漁って自分が食べる様のものを幾つか取り出して。






「 それじゃあ 」


「 うむ 」






「「 いただきます! 」

  

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DARK HERO 下園 悠莉 @Yuri_Simozono_2017

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