伝説の種泥棒に関する考察
もはや『種泥棒』という蔑称だけで通じる男、ドラクエ7のキーファ。
彼は多くのプレイヤーの種を盗んでいく泥棒としてヘイトを買い、その無責任な態度とかでもヘイトを買い、ドラクエシリーズの仲間キャラの中ではトップクラスの嫌われキャラになっている。
(嫌われ1位はピサロか?)
なのだけど、僕自身のドラクエ7プレイを思い返してみた時、確かに彼の離脱の流れとかには思うところはあったけど、ぶっちゃけ僕は彼に種を盗まれた記憶がなかったのだ。
なので、果たしてキーファは本当に種泥棒だったのか? をベースにキーファについて考察していこうと思う。
◆◆◆
まずキーファそのものについてだけど。
キーファってドラクエシリーズの中でも屈指の、かなり色々なところで考察されてるキャラなんですよね。
というのも、このキーファの離脱のタイミングが凄くおかしいというか。
確か発売前に雑誌に掲載されていたゲーム画像だと、もっと先のイベントにもキーファが存在していた――みたいな話もあったし。
そして堀井雄二氏が、ドラクエ7の情報がリークされすぎてキレてシナリオを修正した的な発言をしていた、的な話もあると。
戦闘バランスは明らかにキーファが離脱した後に火力不足になるおかしなバランスで、転職可能になるダーマ神殿イベント前だからキャラ強化の幅が狭くて誤魔化しが効かないんですよね。
キーファへのヘイトの大部分は実はこっちの問題の方が大きいと個人的には思ってるんだけど。
とにかく、こういった諸々の話を総合して考察して『キーファ=オルゴ・デミーラ』説を唱える人もいるし、実際そういうストーリーだったけど途中で修正したんじゃないか、と考えた方がしっくり来る要素が多かったりすると。
要するにリークがあって急遽キーファ周りの設定やストーリーを変えたから色々と狂ったんじゃないかという説。
キーファ離脱のタイミングがおかしかったり。キーファの子孫であるアイラ(小説版ではメインヒロインになってるらしい)の登場が後半で他のキャラが育ってきた後という微妙なタイミングで、しかも唐突に登場して空気化してたり。
使い道のないラーの鏡がラストダンジョンに無駄に置いてあったり。キーファの手紙がエンディングで出てきたり。
とかね。
◆◆◆
で、問題の種泥棒の話になるけど。
ぶっちゃけた話、そんなにドラクエ7でキーファに種使うか? という話なんですよね。
もっと前段階から説明していくと。
ドラクエ1と2は固定PTだから除外して。
まずドラクエ3って仲間キャラに固有キャラがいなくて、全て入替え可能な汎用キャラだし。転職したらレベルが1からになってステータス半分になるシステムだし、ドラクエ3では主人公以外に種を使うという選択肢が基本ない。
(もう転職しない段階までいったら使うかもしれないけど)
ドラクエ4は仲間の一時離脱も永久離脱もある。
仲間の人数も多く、群像劇形式のストーリーで主人公の前に主人公以外のキャラを操作するからパーティ人数が多いことも最初に分かりやすいし、誰に種を使うか最初から慎重になるゲームシステムであると。
最終的に誰がメインになって誰が馬車要員になるか分からないし。
なので主人公に種が集中しやすくはあると思う。
ドラクエ5は仲間の一時離脱・永久離脱がよくある。
仲間モンスターの種類も多く成長限界もあるからパーティの入れ替わりも激しく、仲間モンスターに賢さ以外の種を使うと失敗しやすい。
(はぐメタに命の種とかの例外は除いて)
最後までパーティにいる人間キャラはほとんど後半に入ってから仲間になるので特に初プレイでは『種誰が使う問題』の選択肢に主人公以外の人間キャラは入りにくい。
主人公は僧侶と戦士の良いとこ取りハイスペ性能で、攻撃力が上がると恩恵が大きい全体攻撃ブーメラン系も装備可能であり、前衛も出来て回復役にもなれる。ステータスを上げておくメリットが大きいキャラ。
システム的に『賢さの種』は仲間モンスター用になるけど、他の種は必然的に主人公に使うようになりやすい。
総合的に見て主人公に種を集中させやすい状況が整ってる作品。
ドラクエ6は仲間の一時離脱だけ。
最終的にはマダンテが有効になるため『魔力の種』を魔法系のキャラのバーバラとかに使ったり、引き続きモンスターに賢さの種を使う場合も多い。
物理キャラのハッサンかドランゴに力と守りの種を集中させる戦略もアリ。
種の運用についてはここまでで一番選択肢の幅が広いけど、やっぱり最初からいて離脱しない主人公に種を集中させるメリットは大きい。特に序盤のダーマ神殿までは戦術の幅が狭いので主人公の総合力に救われる場面が多いし。
というところで何が言いたいか、というと。
ぶっちゃけ、それまでのドラクエシリーズを遊んできた人間なら主人公以外に種使うリスクとデメリットを分かってるのでは? と思うんですよね。
まず種を使うキャラが永久離脱するなら種を使う意味はゼロになるが。
仮に一時離脱して後で戻って来るにしても離脱している間の機会損失があるし、それに大体こういうゲームって離脱している間に他のメンバーとの能力差が開いてしまい戻ってきても二軍落ちする場合も少なくないわけで。永久離脱は論外だけど一時離脱でも致命的だったりするじゃないですか。
7だとマリベル離脱の前にしっかりレベル上げをしていて、アイラのレベル上げをしなくても残りのメンバーだけでも普通にイベントを進められる場合はアイラが育たなくてアイラが最終的に外れるメンバーになりやすいが(ドラクエ7は最終仲間キャラ5人でPT4人なので1人だけが留守番になる)アイラを入れた後にレベル上げしてるとマリベルより育ってくるから、逆にマリベルの方が外れやすくなる。
初プレイだとMPが多いマリベルに回復職とか魔法系を任せっきりになる場合がよくあって、なのにいきなりマリベルが離脱するから回復役がいなくなってしまい急遽パーティのリバランスをする必要が出てくるんですよね。
なので急遽ガボかアイラに回復スキルを覚えさせたり、その時の職業の成熟度によってはPT全体の職業を見直したり。その結果、アイラ加入後にレベル上げ(熟練度上げ)をやらなきゃいけなくなる人って結構いて、最終的にマリベルが戻ってきた時には熟練度不足で外れやすくなる場合が多いんじゃないかと。
ドラクエ5のビアンカとかも二度目の離脱が痛すぎて、その間にまったく同じタイプの娘の方が強くなっちゃうからビアンカが復帰しても戦力としては娘の次の扱いになっちゃうしね。
ちなみに、クロノ・トリガーみたいに主人公の方が一時離脱するパターンもあるし、FF6みたいに事実上の主人公が前半と後半で入れ替わるパターンもある。なので主人公だから絶対安泰というわけでもないんだけど……。
ちょっと話が逸れたけど。
つまり、過去作でも仲間キャラが永久離脱する作品はあったし、一時離脱でも致命的になる可能性はあったわけで。メインキャラでもヒロインでも一時離脱する可能性があることは過去作に例がある以上、やっぱり警戒してた人が多いんじゃないの? という話なんですよね。
というか、うろ覚えだけど僕が当時、種を主人公にしか使わなかったのもそれを警戒してたからだと思うんですよね。
勿論ここまで理論立てて考えてたわけじゃなく「種を使ったキャラが後に一軍では使わなくなったら種がもったいないな」ぐらいの感覚だけど。
だから主人公だけに種を使ってたみたいな。
勿論、ドラクエは7が最初って人もいるわけで、そういう人は警戒してなかったかもしれない。6から7までに5年あったから、そういう人も多かったとは思うけど。
でも、騒がれてるよりは種泥棒の被害者は少ないんじゃないの? というのが僕の印象。
◆◆◆
じゃあなんでキーファがこんなに『種泥棒』呼ばわりされ、嫌われまくってるのか、というと。
まずこのドラクエ7というタイトル自体がドラクエシリーズの中では比較的賛否両論ある作品で嫌ってる人も多く。嫌いとまで言わなくてもドラクエで順位付けるならワースト争いをすると答える人も少なくないタイトルで。
やっぱストーリーも救いがない残酷なモノが多いのもあるし。
取り逃したら後で超絶面倒になる石版システムも不評で、常にマップの隅々まで調べ尽くさないといけなくて超面倒で。実際、当時は攻略サイトもなかったんで取り逃したら数時間かけて過去行った街とかダンジョンとか最初から調べ直しとかザラだったし。
職業システムも熟練度上げが大変すぎて時間かかりすぎるし。
とにかく不満を持つ人が多くなっちゃう作品、という前提がまずあると思っていて。
まず作品自体がネガティブに語られやすいというのがあるわけ。
そして、やっぱり最初に言ったようにキーファが抜けた後の戦闘が厳しすぎてゲームバランス崩壊する問題と、無責任に全部投げ出して抜けてしまう態度とか。キーファの妹に兄が帰ってこないことを伝えなきゃいけない嫌なイベントをやらされるとか、そういうのが積み重なって嫌われキャラになってしまっているってのがあって。
そのうえで誰かが言った『種泥棒』というワードがキャッチーすぎて変に広まってしまって、ネタキャラ化してしまっているのではないかと思う。
つまり、キーファって7の中では叩きやすいというかネタにしやすい存在でドラクエ7そのもののネガティブなイメージまで全部乗せて叩かれちゃってるだけなんじゃないかと。
そんな感じに思ってるんですけど、どうでしょうか。
余談ですけど、漫画版ではちゃっかりマリベルに手を出してるのにも関わらずユバールであっさり出ていくというゲーム以上にクソなキャラに描かれているので、より一部これは嫌われてもしゃーないなというキャラになっていたりしますが。
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