紙と電子書籍、どちらが作家に還元されどちらが嬉しいのかと、それより大切な話
この話、たまに聞かれることがあって、Twitterの方には書いたんだけど、こちらにも残しておいた方がいい気がするので今現在の自分の考えをまとめておきたいと思います。
で、結論を先に言うと。
『ぶっちゃけ、総合的にはどちらとも言えない』
ってのが現時点の正直なところなんです。
具体的な話をしていくけど、その前にまず細かい数字とかの話については諸々の事情で言わないので一般論とかを交えながらの話になります。
そして下の一覧は『作家にとって』のそれぞれのメリットです。
・紙で買ってもらうメリット
増販されるとまとまった金額が入る。
評価につながりやすい。
書店に並びやすくなる。
書店ランキングに載る。
・電子で買ってもらうメリット
一冊から印税が入る。
一般的に紙より割合が高いらしい。
ECサイトのランキングに載る。
発売されてから時間が経った本が再評価される可能性。
詳しく解説していくと。
紙で買ってもらうメリットは。
仮にイメージとして、初版1000部で増販200部で、実売1001冊だとしても1200部分の印税が入ってくるので作者としては実売数より必ず多い金額を貰えるので増販出来れば嬉しかったりする。
次に紙の本が売れ続けると発行部数が増えるので書店に並びやすくなる。一定以上の発行部数がない本は全国の書店に並べるだけの数が足りなくなるので一部の店舗にしか並ばなくなり、必然的に人の目に触れる機会が少なくなり機会損失がある。
現時点においても『ネット(つまり電子書籍)で売れた』より『紙で発行部数◯万部』の方が様々な方面にウケる数字っぽい印象がある。例えば宣伝の煽り文句に『累計発行部数◯◯万部』みたいなのはあっても『累計ダウンロード数◯◯回』みたいなのはあんまりないよね的な感じ。あくまでも印象だけど、売れてる本の指標は今も紙の本ベースな感じはする。
これは個人的な現時点での印象だけど、色々とひっくるめて今でも紙の本が売れているということの方が、その作品の、その作家の評価に繋がっているような感覚はあるので、紙の方が嬉しいような感覚はある。
それに紙の本のランキングは注目度も高いので、そこに載るのはメリットも多い。
電子書籍で買ってもらうメリットは。
一番大きいのは印税(厳密には印税という名前じゃなかった気がするが)が一冊ごとに入ってくるし、一般論として金額的にはそっちの方が割が良いらしいこと。
そして本が再評価される可能性が凄くあること。ほんの数年前まで大体の本の評価は発売日から1週間程度でほぼ決まるというのが定説で。これは、本は常に新しいモノが売り出されていくから1週間~1ヶ月程度で並べても売れない本は棚を空けるためにどんどん返本されてしまうため、そこで売れない本は完全に市場から消えてしまって物理的に買えないわけだから売上が上がるはずもなく、必然的にそこで打ち切りが決まって終わっていたわけで。逆に売れる本は売れるから棚に残り続けてもっとチャンスが与えられ続け売れ続けるから、初速が良い本はどんどん売上を伸ばし続け、差がどんどん開く仕組みになっていた。しかし電子書籍は基本的にWEBに陳列され続けるからずっと買える。なので細く長く売れ続けたり、数年経ってからいきなり売上が増えたりすることがある。そうやって電子で地道に売上を伸ばしていって地味に評価を積み上げて延命出来てる作品はこの数年増えてきてると思うし『極スタ』もそっちのタイプだと思う。
今だから言うけど、極スタ1巻の最初の1週間の売れ方は各種ランキングを見る感じではそこまで悪くはなかったけどヒットと呼べるような勢いではなかったから、その時代のセオリーから推測するとそんなに良い状況ではないと感じて少し落ち込んだのを覚えている。
それがこの1巻が出た頃には実は業界の流れが少し変わってきていて『電子では継続的に売れ続けるのでは?』というモノが認識され始め『もう少し長いスパンで様子を見よう』という空気が出版業界に出てきていた。そういう意味で僕は運が良かったのだと思うところはあるのだけど。
まとめると。
客観的に総合的に見ると、どちらが作家にメリットがあるかというと『甲乙つけがたい』というのが、この僕の目から見た『現時点』の本音。
ただ作家さんによっては「紙の本で売れる方がめちゃ嬉しい」という人もいるだろうし「金になるから電子」という人もいると思うので、そこは人によりけりだとは感じる。
それとは違うベクトルの話として、ランキングとかそんなモノをまったく意識しないぐらい売れてる人気作家さんからしたらもっと感覚が違うんだろうなとも思う。
なので、個人的には、本を買っていただけるならどの形式でも、それぞれが読みやすい形のモノを買っていただければいいのではないかと思います。
◆◆◆
という話が前提としてあって。
個人的にはそれよりも重要な話があると思うんですよ。
こういうところを気にかけてくれる人は、つまり『好きな作品や、それを書いてる作家さんに、どうせなら少しでもプラスになるようにしたい』と考えてくれているから気になったんだと思うんですよね。
だとすると、個人的にはですけど『紙か電子か』というところの差で変わるモノより、その作家さんの宣伝ツイートとかに『いいね』押したりリツイートしたり、小説投稿サイトやECサイトでレビューを書いたりすることで変わるモノの方が全体としては大きいと思うんですよね。
レビューを書いたりするのがハードル高いのだとしても、SNSでリツイートしてくれるだけでも物凄くありがたいので、その好きな作品に関連するツイートだけでもRTしてくれたら作家さんは喜ぶと思うので、やってあげてほしいです。
ちなみに、僕もTwitterでいつも小説をリツイートしてくれるフォロワーさん方には感謝してます!
ありがたいです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます