ドラゴンクエストシリーズの呪文と特技の仕様に関する考察

最近、スマホでテリーのワンダーランドSPっていう昔のテリワンのリメイクやってるんですけど、昔よりシステムが断然ブラッシュアップされてて面白いんですよね。

昔のテリワンってトラウマになるんじゃないかってレベルで合成難易度が高かったような記憶があるんだが、リメイクは難易度が激減していて、体感で1/50以下の作業量でサクサク進んでる感じがあるんです。

あと、全キャラが3D化してて感動するし、ブオーンがマップに出てきた時の怖さは本家本元の5以上で良かった。でも幼ミレーヌちゃんもしっかり3D化されてて動くし可愛くていいけど、数年後に誘拐されて奴隷として好色王に売り飛ばされる未来があることを思い出すと余計に鬱度が上がりそうで嫌なんですよねぇ……。


まぁそれは置いといて。

このテリワンSPをやってて思ったんですけど、魔法と特技まわりのシステムが過去のテリワンと比べても過去のナンバリングタイトルと比べてもしっかり出来てて、ぶっちゃけドラクエは8までしかやってない自分的にはちょっと感動してしまったんです。


◆◆◆


どうしてそう思うのか、という話をすると。

昔のドラクエって『特技』という存在そのものを持て余してた感があったんですよね。

その立ち位置があまり計算されていない感じがあった。


自分の記憶では最初に『特技』が登場したのはドラクエ5からだったと思うけど。ドラクエ5においての特技ってMP消費のない高コスパの戦闘手段だったんですよね。

つまり、魔法だとMP消費があるのでMPを節約したりとか管理が必要になるけど、特技の、例えばブレス系とかだとイオ系の上位互換に近い感じになっていて、ぶっちゃけ魔法使い系のキャラを攻撃役として使うメリットが薄れてたと。まぁ、メラ系とか単体攻撃魔法はそれなりに有用だったし、山彦の帽子というチートアイテムで最終的な魔法の評価は変わるっちゃ変わるし、大体の魔法や特技より結局は『物理で殴れ』の方が強かったのもあって、その特技ですらあんまり使わなくてもよかったイメージ。

というより中盤辺りは特に、そのタイミングで戦闘に出せる(守備力やHPを持った)仲間モンスターが欲しい特技を覚えてくれない、みたいなところがあって使い勝手がそんなに良くなかったイメージがあったんです。

今のタイミングで『こごえるふぶき』が使えれば十分強いはずだけど、まだ『つめたいいき』しか使えない。そして『こごえるふぶき』を覚えた時には、それではダメージソースとしてはちょっと物足りなくなってる的な感じ。

コスパは良いけど実際にはそこまで使う機会はそこまで多くない。

だからこそ、特技のMP消費がない高コスパ仕様があまり問題視されることなかったように思う。


そして次のドラクエ6についても色々と基本設定は変わらず、しかしより強力な特技が多数登場してしまい、しかも転職システムで自由に特技を覚えられるようになったことで誰でも最強特技が使えるようになり。おかげで完全に特技無双状態になり、物理パラメータが高いキャラが単純に強くなって戦闘バランスが完全崩壊してしまった。

特にヤバかったのが、かの有名な『せいけんづき』で、MP消費ナシで2倍ダメージというぶっ壊れ性能だったため、TAでもやらない限りはハッサン加入後から最後の最後までメイン攻撃がこれになっていた人が大半だったはず。

あとはハッスルダンスもMP消費のないベホマラーみたいなものだからぶっ壊れてたと思う。

これに仲間モンスターシステムも合わせて初代SFC版6は全作品で一番バランスは崩壊していたと感じる。

ここにきてようやく『特技』というシステムの問題点が認識され始めた、ように思ったが……。


ドラクエ7になっても特技システムは大きくは変わらなかった。

その最大の理由は恐らく6の『せいけんづき』で、6ではこの技が強すぎて使われまくって目立ちまくったおかげで特技全体の強さが目立たず問題視されることがなかったように感じた。

なので7ではせいけんづきの弱体化が入ったものの他にもっと強い特技が登場してシステム自体は大きく変わらなかった。

なので特技はMP消費のない高コスパ攻撃手段として定着していたし、基本システム的には大きな変更はなかったが、6と違って仲間モンスターシステムがなくなって仲間もほぼ固定されてたから大体の場合はキャラクターの個性を活かした攻撃手段を用意する必要があったので魔法も使用する機会が多かった。

個人的には戦闘のバランスは悪くはなかったと思う。

(種泥棒がもっと後までパーティに存在する予定で敵の強さ決めてない? と感じる場面はあったけども……)


で、時系列的には6と7の間に出た無印テリーのワンダーランドなのだけど。これのシステムでは6の問題点が意識されたのか大きく方針が変わって、特技にMP消費が必要に変わったんですよね。

ちょっと調べた感じだとDQMシリーズは開発が別会社らしいので、それが影響してるんだと思うけど。

それのおかげで特技がMP消費のない高コスパの攻撃手段という5と6の問題点は改善されたんだが、そのかわりに感じるようになったのが「じゃあ特技である必要ないじゃん」っていうもの。ラリホーだろうが眠りの息だろうが同じようにMP消費して同じ効果ならどっちでもいいじゃんってこと。

マホカンタで跳ね返されるか追い風で跳ね返されるかの違いはあるけど、それぐらいだし。

ぶっちゃけ無印テリワンの配合のマゾさとか、連れて歩ける数が戦闘参加人数の3体までなので入れ替えがないとか、色々な問題があって敵の耐性だとか特性とかに合わせてパーティを入れ替える余裕なんてなかったとか、それに確か無印では(というか他のドラクエでもだけど)魔法とかブレスの威力を上げるステータスがなくて、誰が使ってもダメージが一緒だったんですよね。

だから単純に設定されているダメージが高いメラゾーマとか全体攻撃のイオナズンとかが誰が使っても最強の技になっちゃうところがあって、MP消費がないという特技の特性がなくなった段階で特技がほぼ魔法の一部みたいなモノになっちゃったから存在意義がほぼほぼなくなった感じなんです。

なので初代DQMのシステムは味気ないと感じたんだけど。


で、それがテリワンリメイクのテリワンSPになると、かなり魔法と特技のバランスがしっかり作り込まれてて驚いたんですよね。

具体的に言うと、それまでは『魔法』と『特技』と大きく分けられていたモノが『魔法』『体技』『ブレス』『斬撃』『踊り』という分類と『炎』『冷気』『メラ』『イオ』『ギラ』『ヒャド』『バギ』『デイン』『ドルマ』という攻撃属性と『毒』や『混乱』などの状態異常と、それらにキッチリと分類されていて、それらの属性の組み合わせで全ての技が定義出来るようになっていて、それぞれの属性ごとに対処方法が用意されていると。

一例を上げると『かえん斬り』なら『メラ』と『斬撃』の属性だからメラ系の耐性を上げるとか斬撃を跳ね返すアタックカンタで対処出来るみたいな感じ。

昔のドラクエってこういう属性の設定が上手く作られてなくて。例えばギラ系とヒャド系の存在意義とか。バギ系とデイン系以外の属性攻撃魔法は全て魔法使いが覚えるけど、最終的には全体攻撃が出来るイオ系と単体に最大ダメージを出せるメラ系しか使わなくなることが多いわけで。その理由はやっぱり属性の違いによる効果の違いを実感するほど多く感じれなかったからで、それなら単純に攻撃力と効果範囲が高い魔法が選ばれるよね、ってこと。

自分が知る限り5の段階でもちゃんと属性の概念はあったし、モンスターによって耐性値の違いはあったけど、それを意識して魔法を使い分けるメリットをそこまで感じなかったわけですよ。

耐性についても上げられる防具とかもあったけど、守備力を犠牲にしてまで属性耐性を上げるメリットがそこまで感じなかったし。

ところがテリワンSPだと属性を使い分ける意味が生まれていて、スキルを選別する意味がちゃんと生まれていて、これは面白いなと。


そう考えていくと昔のドラクエって戦闘面で言うとかなりバランス悪かったんだろうなと、こうやって考えていくとあらためて思うわけですよ。

特技周辺の設定もそうだけど、魔法のバランスとかも。

わりと7とかも今のテリワンSP系のシステムでリメイクしたらバランス良い感じのゲームになるんじゃないかと思ったりしますよね。

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