SNSとTwitterの未来と、イーロン・マスクとジャック・ドーシーの話
イーロン・マスクがTwitterを買収してから様々な騒動があってメディアを賑わせてるわけだけど、イーロン・マスクの過去の発言とかこれまでの騒動とかを見ているとTwitterというかSNSが今後どうなっていくのかが大体見えてきたというか、予想出来てきたので現時点での僕の考えをまとめておこうかなと思いましたと。
まずこの話をするには、ちょっと政治的な話とかイデオロギーに関する話をしないと詳細を語れない部分があるけど、ぶっちゃけそういうヤバい部分に頭を突っ込みたくないのでそこをズラすというかモザイクかけてオブラートに包んで話さないといけないので少し分かりにくい文章になるかもしれない、ってところをご理解いただきたいのだけど。
そもそもTwitterをイーロン・マスクが買収しようとした理由(僕の予想)と、SNSの問題点は、SNSというメディアが影響力を持ちすぎた、というところが始まりなんだと思うわけですよ。
つまり、SNSで何らかの情報が拡散して社会に影響を与えてしまう量が大きくなりすぎたと。
それが猫の話とか旨い飯の話なら問題なかったけど、今は政治やイデオロギーに影響を与えるようになっている。
だからこそSNSは誰かがしっかり管理して間違った内容や偏った意見の発信を規制して制限していこう。それをするのは当然SNSの運営管理者で、彼らはそれぞれ所属している国のルールの中で自社独自の基準で規制ラインを設け、管理していく。ただの民間サービスなのだから運営企業が管理するのが当然。
というところまでが問題の前段階としてあったのだけど、SNSが巨大化しすぎたせいでSNSからはじき出されることが人によってはライフラインを断たれるぐらいの悪影響を与えたりするようになって、もはや民間の1サービスという枠の中に収まらなくなってきていて、もう実質的に公共のインフラになっていると言ってもいいのではないか、という考え方が出てきたと。
この概念は突飛なモノではなく、ジャック・ドーシーすら『Twitterは公共財産であるべき』というような発言をしているみたいなので、Twitter社自体もそういった方向性を過去には目指していたのだろうと。
で、そうなってくると、そもそもただの一社の運営企業がネット上の発言をアウトかセーフか独自のルールで判断してしまうのは公共インフラであるのに問題があるのではないか、という考え方が成り立つ。
分かりやすい話で言うと、国によって発言のアウトのラインは違うし、文化圏によってもアウトのラインは違うはずなのに、どこかの特定の文化圏と国に所属している運営企業がそこの価値観でアウトラインを決めてしまっても良いものなのか、みたいな話。
しかし企業である以上は所属している国のルールに従う必要があるし、その文化圏の基準で規制を考えてしまう。広告スポンサーもその文化圏の基準でアウトなモノが多いサイトには広告が出せないわけで、結局はそこの影響力が強い団体やらの影響でアウトかセーフが決められてしまうと。
イーロン・マスクの過去の発言から推察するに、彼はそこのところの状況に問題を感じていたのだろうと思う。
そういったポイントを踏まえつつイーロン・マスクがTwitterでやったことを考えていくと、どういうSNSを目指しているのかは大体ですけど推測出来てくるような感じがするわけですよ。
まずTwitterを非上場化したことは株主からの企業価値向上の圧力をなくすためだし。これはTwitter創業者で前CEOのジャック・ドーシーも賛成していた。
有料バッジ問題、というかTwitterの有料システムの話とかも、広告収益を収入源にしている今のビジネスモデルだと広告主の意向を無視出来ないため、ユーザーからの直接課金で利益を出すシステムに移行した方が自由な発言を容認しやすいと考えているのだろうと。
検閲などをあまり厳しくしなくていいのであれば、そこに割いている従業員は必要なくなるし、キュレーションをしないのであればそっちの人員も必要なくなる。じゃあ人員削減も当然と。
じゃあ後はどうするのか? となると、国などの法の圧力をどうやって排除していくのか、という話になってくる。
この辺りの問題についての解決策を上手く出しているのではないか、と素人ながら思うのはTwitter創業者ジャック・ドーシーが新しく開発しているSNS(どうも実際にはSNSではなく、SNSを組み立てるための土台であるプロトコルっぽいけど)のblueskyで、公開されている情報から僕が読み解いただけなので完全に合っているかは分からないけど、自分が理解している限りでは、
『そもそもSNSの運営企業がユーザーのIDやデータを管理していたのが間違いだった』
という理念っぽいモノがある感じで。
つまり、SNSがプラットフォームとしてユーザーのIDやデータを管理していたからユーザーが発信するコメントの内容を管理し、問題があるなら削除したりIDを凍結したりする『義務』が生じてしまっていたと。
勿論、これまでSNS側はそういったデータを用いて莫大な利益を得ていたのでプラットフォームとして管理することの旨味は大きかったのだろうけど、ユーザーが自由な発言を『自分の責任で』行うにはSNS側がそこの権利と義務を手放す必要がある。
じゃあどうすればいいのか?
『IDやデータをユーザーに管理させ、SNSはそこからデータを抜き出して表示するだけ』
こうすることにより、そのSNS上に問題のある発言があったとしてもSNS側にそれを管理・削除する権限も義務もなくなる。全てそれぞれのユーザーが自己責任で自由に発言して、問題があるならそれぞれの国の法の中で個別に対処すれば? という形。
そう書くとちょっと難しそうなシステムな感じがするけど、要するにブログとかと似たようなモノと考えれば良くて、ブログだって個人が管理していて他に管理者はいないし。
で、新しいSNSはそんなブログみたいに、書かれたコメントだけを抜き出してまとめて表示するだけのシステムにすると。
コメントの所有者も管理者もユーザー本人だからそのコメントをどうするのかも自由だし、コメントはオープンに開示されているからコメント収集SNSのアプリは別の人も作ってもいい。
で、これらの話を聞いてもほとんどの人は『自分には関係ない』ってな感じになってるかもしれないけど、この上記のblueskyって実はTwitterからの出資で作られていて従業員もTwitter幹部(今はクビになってるかも)っていう会社で、blueskyの開発に成功したらTwitterをそちらに移行する予定だったっぽいんですよね。ジャック・ドーシーもそういう発言をしていたし。
まぁ今となってはイーロン・マスクに買収されたので、その計画も白紙に戻っている可能性は高いのだけど。
ジャック・ドーシーとイーロン・マスクはSNSに対する理念的なところはかなり近いんじゃないかと思うんですよ。
『SNSは公共インフラであってどんな人でも自由に発言出来るべき』っていうところね。
ただ、その先が違っている可能性はあって、
ジャック・ドーシーは『発言は自由だけど、その責任は自分で取ってね』という解決策を提案しているのだけど、イーロン・マスクがどういうシステムを提案するのかがちょっと分からないところがあると。
イーロン・マスクが持っている資金力と技術力が高すぎてとんでもない選択肢でも可能になる可能性があるから。
以前ピーター・ティールが南国に人工島を作って新国家を設立する、なんてことを考えていたらしいけど今のイーロン・マスクならガチでそれぐらい出来てしまいそうな気がするし。
でも、イーロン・マスクが買収して作り直そうとしているということは、そこに将来的に金銭以上の大きなリターンがあるのだろうと感じている。
で、ドナルド・トランプのTwitterアカウントの凍結が解除されてニュースになったりしているけど、これから問題になってくるのが『自由な発言が認められたSNSになった後』の話で、これはこれで色々とあれやこれやとありそうなので、また別の機会にまとめたい。
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