ストリートファイターシリーズの今後と問題点と予想(2022年)
まずは現状認識から語っていくけど。
2022年の今になって思うのは、格闘ゲーム界にとっては長期的にはコロナ禍がプラスに働いたんだろうな、ということなんですよ。
自分的にはコロナ前の格ゲー界(主にSF)には問題点が2つあったと思っていて。
それは、
①スポンサーがいないと実質、大会参加が出来なかった
②オフライン環境&人脈が整っている選手の圧倒的優位性
というモノ。
具体的に言うと、
①は大会のシステム的な問題点だったのだろうけど。
当時の大会は、選手は世界中で行われる公式大会に参加して上位入賞者に与えられるポイントを集め、そのポイント上位者が年末に行われるカプコンカップに参加出来て、その優勝者がその年最強の覇者、というシステムだったと。
その問題点は、世界中の大会をいくつも回る必要があるのでスポンサーに旅費を出してもらうことが必須だったところで。しかし新人はそのスポンサーにアピールするために大会に参加したいのに出来ないからスポンサーがつかないという矛盾した状況に置かれていたと思われること。
勿論、日本大会もあったわけだから比較的参加しやすい大会もあったのだけど、それにしたって日程は2日間だったし、周辺地域の人以外は宿泊必須。海外大会よりはマシにしても金銭的にも負担が大きいし、なにより未成年者だとかなり難しい感はあった。
が、それがコロナ禍でオンライン大会に切り替わったことで誰でも大会に参加可能になって別にスポンサーがなくても実力が証明出来るようになったと。
②に関しては。
どうやら格闘ゲームってプロレベルになってくると強い相手と試合しないと強くなりにくいらしいんですよね。
その理由としては、相手の『強い技』に対して『対策』を用意すると相手も『対策の対策』を用意してくるので、また『対策の対策の対策』を用意するみたいな。
そのやり取りの繰り返しが必須だから、詰将棋みたいに自分だけで両者の手順を考えていくには限界があって時間もかかるし、自分が強くなるには強い相手が必要なんだろうと自分は認識しているのだけど。だからこそ強いプロは別の強いプロをスパーリングパートナーとして求めるし、対戦する両者が基本的には(直近の試合での直接対戦が決まってない限り)WINWINの関係になると。
だからプロは横のつながりを大事にしているし、都内には強いプロが集まってくる対戦場がいくつかあって、それをプロゲーミングチームなんかが管理しているみたいで、そこに強いプロが比較的自由に集まってきて強い人同士で切磋琢磨していたと。
当然ながらそこはゲーセンじゃないんだから誰でも自由に出入り出来るわけじゃなく、誰かの招待が必要。
つまり上に行くにはそういったゲーミングコミュニティに所属していることが重要だったんだろうな、っていう雰囲気が凄くしていた。
実際、プロってほとんどが東京在住で。地方出身の人でも多くが早い段階で拠点を東京に移しているし。その昔、プロがなかった時代に強い人が多かったのも東京と、それ以外では大都市圏。
やっぱり対戦相手が強いことはかなり重要なんだと思うんです。
「でも今はオンライン対戦あるじゃん」
ってな話もあるけど、ストリートファイターの場合はCFNでオンライン対戦のリプレイが誰にでも見れてしまうので相手に研究されないようにオフラインでやるのは意味が大きいらしいし。やっぱり強い人がオフラインで集まって切磋琢磨し意見を出し合うというのは意味があると思うんですよ。
でもこれがコロナ禍で全てのプレイヤーがオフラインで集まることが困難になって比較的フラット化してきたと。
まぁ、強いプロ同士のコミュニティに入る必要は今でもあるのだろうし、そっちの問題は残っているのだろうけど。
◆◆◆
上記の問題が若手が上がっていくまでのハードルになっていたし、色々総合して当時の業界に閉塞感をもたらしていたのではないか?と想像している。
その辺り、運営側も認識してたんじゃないか、と思うふしがあって。
僕の記憶が確かならば、コロナ前の段階でもCPTで貰えるポイントのバランスが変更になって、より優勝に近い人の方が多くポイントを貰えるようになって、逆に低い順位の人のポイントが縮小されたはず。
恐らくその目的は『チリツモ作戦の阻止』だと思うのだけど。
つまりCPT運営側も①の問題を認識していて、大会皆勤賞で入賞を繰り返して小さなポイントを貯めるより、参加回数は少なくても1回でも上位に入った方がより大きなポイントを貰えてCCに近づくという方向にして、少ない参加回数でも上位を狙えるようにしたかったのだと想像するところ。
その大会もコロナの影響もあって今や地域ごとに代表者が選出されるオンライン大会がメインになっているのでチリツモ作戦は難しくなくなっているし、ある意味での地方巡業的なイベントのようなお祭り感がなくなってプロにとってのプライオリティも下がっている気がする。
で、これからの予想だけど。
おそらくだけど、運営側はプロ格ゲーマーの横のつながりを切るような方向性を選択するのではないか、と予想している。
(ちょっと悪意あってオーバーな言い方だけど)
というかSFLの存在で自動的にそういう方向性になるんじゃないか、という話がある。
今のSFL(ストリートファイターリーグ)は前回と同じようにスポンサーが運営するチームのリーグ大会みたいな形だけど、チームとして長い期間、他のチームと争うことになるので他のチームには強くなってもらいたくないわけで、どのチームも他のチームのメンバーと練習をすることにデメリットが増える可能性があると。
(実際、去年の大会でも大会前になると他のチームとの練習を避ける傾向にあったはず)
つまりこのSFLのレギュレーションは上記問題点の②を潰したいという意図があったんじゃないかと邪推している。
強いプロ同士が横のつながりを利用して練習を重ねて他との差を広げていってたのがこれまでのところ。これからはチーム外プロとの練習はデメリットもあるから避けた方がいいかもね? という流れにする意図が少なからずある気がする。
昔、某FPSゲームで1チームだけ頭抜けて強いプロチームがあって、他のチームはどこもそのチームを倒すことに苦労していて、苦肉の策として限定的な同盟を組み、その強い1チームとは大会まで一切練習試合をしないことを全員が約束することで抜けた1チームが練習出来ないようにして潰した、という話を某プロゲーマーが話しているのを聞いたことがあるけど、ちょっと違うけどそんな感じに練習を制限する流れが出来てくるのかなと。
現在の段階でも一部のプロがSFL参加チームに自分を『専属スパーリングパートナー』として雇わないかと打診しているらしいし。
つまりそれは『強い練習相手』というモノにそれだけ価値があるからそうなっているわけで、このあたりを本気で考えるチームが出てきたらメンバーに別のチームとの練習を禁じるようなチームも出てくる可能性があると思うのだけど。現時点ではそうやって自ら制限してしまって横のつながりを切ってしまってコミュニティからはじき出されてしまうことデメリットの方が選手にはかなり大きいんだろうな、ってな感じがする。
◆◆◆
で、今後のプロ界隈の話とかSF6の話をしていくと。
まず大会のスタイルがコロナ前に戻ることはないと思う。
理由に関しては最初に書いた話なんだけど、やっぱりあれは新規参入が難しい構造で、将来性を考えるとと良くなかったと思うから。
スト6のゲーム性に関して思うのは。
某プロ格ゲーマー神の話によると、格闘ゲームには『知識で勝つゲーム』と『判断の速さで勝つゲーム』の2種類あるらしいと。
知識で勝つタイプのゲームはSFで言うと4とか5らしく。判断の速さで勝つタイプは3とかそれ以前のゲームだとか。
自分はSF3の知識がほぼないので正確な話は出来ないけど、某プロの話からすると今のSF5とかは相手の攻撃をガード出来れば基本的に有利になる構造なので、相手の攻撃をガードすると自分のターンに変わってそこから自分が振る技を選択する、所謂ターン制バトル的な構造になっているので。例えば『どの技をガードすれば、その時にどの技が入るのか』みたいな知識を入れておかないと勝てないけど、その反面ターン制バトル的な形なのでゲームのスピードが遅いため、判断が遅いプレイヤーでも知識があれば勝てるし、攻撃した側が有利になるとは限らないゲーム性、という感じらしい。
そのシステムだと知識をしっかり詰め込められる真面目系プレイヤーが強くなるわけで、それは逆に言うと、某プロ曰く「昔強かったNさんがスト4や5で弱いのは彼が不真面目で怠惰な人間だから」という言葉が象徴するように、とにかく真面目に全ての情報を覚えられることが強くなるための最低条件みたいになってしまっているため、感覚派のプレイヤーが排除されてしまっていると。
それの一番の問題点としては、恐らく初心者が遊ぶ時のハードルになってしまっているのではないか、と感じる。
つまり、ビギナーって最初は感覚でゲームを遊ぶと思うんですよね。どんなゲームでも。
感覚でやる内にゲームに慣れてきたり知識やテクニックを覚えていったりして強くなっていき、段階的にレベルアップしていくモノだけど、現時点のスト5とかは知識で負けてると勝てない構造になっているため、ビギナーが感覚で楽しみながら成長する余地が小さいというか、まず分厚い説明書と攻略本を隅々まで読み込んでからがスタートラインみたいな感じの性格があるから、初心者がとにかく遊んでみて段階的にステップアップしていけるような環境にないのではないか?と想像している。
逆にこの知識で勝つタイプのゲームの利点を考えてみると。
恐らくこのゲーム性だと単純に頭が良いプレイヤーが有利という構造になっていて、それはつまり頭が良ければ年齢とか関係なく強くいられるわけで、現在のようなアラフォー世代のレジェンドプレイヤーが現役トップとして活躍出来る下地になっていたのではないか、という気がしている。
早い判断が求められるゲーム、というとFPSとかLOLなんかが思いつくけど、LOLとかだと20歳前後が選手としてのピークという話があったりするし、FPSやMOBAのプロの平均年齢も20代前半ぐらいらしいので、明らか若い方が有利な環境ではあると思う。
恐らく知識で勝つ、頭の良さで勝つ系のゲームは年齢の制限をある程度は取っ払える構造になるのではないか、という予想がある。
それこそ将棋とかのボードゲームのプロ年齢がそこそこ高いことと同じでね。
で、ここまでの話はCAPCOMさんも想像してるんだろうな、ということをスト6のデモとかを見て思っていて。
恐らくだけどスト6のゲーム性は『知識で勝つゲーム』と『判断の速さで勝つゲーム』の中間を狙ってくるのではないかと想像している。
最終的にどうなるかは分からないけど、狙いは中間だと思う。
というのも、これまで書いてきた僕の上記の想像が当たっているのだとすると、『知識で勝つゲーム』だったなら、これまでのレジェンドプレイヤーがまだまだ通用するゲームになると思うし、それは年齢関係なく多くの人が参加出来る環境とも言えるし、既存の長く格ゲーを愛するファンをそのまま引き継げるというメリットになると思う。
普通に考えてそのメリットをゲーム会社が捨て去ることは出来ないはず。
もし完全に『判断の速さで勝つゲーム』に振ってしまうと、恐らく若いプレイヤーが有利なゲーム性になってしまうような気がしているし。そうなると既存のレジェンドプレイヤーは引退に追い込まれる可能性が高いと考える。
そうなってしまうと既存の格ゲーコミュニティも激変してしまってデメリットも大きいと。
しかし逆に、完全に『知識で勝つゲーム』に振ってしまうと上記のような問題点がある。
となると狙うは中間、という気がしている。
知識も必要だし判断の速さも必要な位置付けと。
スト5だと行動した後にフレームが有利か不利かで攻守が入れ替わるようなシステムになっていたけど、スト6のドライブシステムはその辺りのフレームの有利不利をゲージ消費で覆せるようなシステムになっているっぽいので、その瞬間、その瞬間の状況に合わせて動かないといけないので判断の速さが求められるようになるはず。
しかしそれにはゲージを消費するので回数制限があるため、基本は知識で勝つゲームであると。
開発側の狙いはそんな感じなんだろうと想像している。
で、なんだけど。結果的には出てきてみると上手く調整出来てなくて『判断の速さで勝つゲーム』に、少なくとも初期は完全になってしまって既存の『知識で勝つゲーム』系に寄りすぎているプロが勝てなくなって淘汰されてる未来を想像しちゃうんですよね。
こういうバランスってどんなゲーム会社でも結局、上手く調整出来ないのが常なのでね。
まぁそれでも、恐らく既存の5とかよりもビギナーが遊びやすいゲーム性になるような気は、現時点ではしてるんですよね。
というのが現時点での予想になります。
完全に個人的な見解です。
当たっているかどうかは来年、楽しみにしていましょう!
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