やっぱり『やらせ』企画はクソつまらないけど、問題点はそこじゃない、という話
少し前に某ユーチューバーがやらせ動画で炎上した頃からテレビやYouTubeの『やらせ』についてちょこちょこ考えていたのだけど、色々と考察してみても『やっぱりやらせ企画はクソつまらないな』という結論に落ち着いてしまった。
しかし、世間で言われているように『やらせ』だからつまらないんだ、ダメなんだだ、という話をしたいのではなくて。
問題点は、それが『やらせ』かどうかの話ではなく、つまらないのはそこが原因ではないんだよ! と思ってこれを書いている。
◆◆◆
今から10年から15年ぐらい前だったか。お昼の情報番組だったと思うけど、それに出ていた某芸能リポーターが番組内で語った『なぜテレビのドッキリでやらせをやるようになったのか』という話に衝撃を受けた。
本当かどうかは知らないけど、その話によれば、ある時、当時の大人気男性アイドルを偽の番組の収録で温泉宿に連れ出し、部屋に隠しカメラを設置してガチのドッキリを仕掛ける、という企画があったそうな。
企画は順調に進み、男性アイドルを温泉宿の部屋に入れ、あとはタイミングを見てドッキリをかける、という状況になった時、男性アイドルがおもむろに財布の中から100円玉を取り出し、にチャリーンとテレビに投入した。
当然、その様子は隠しカメラで録画されていると同時にスタッフにも監視されている。
そして彼はチャンネルをカチャカチャと変え、ズボンをカチャカチャと脱いだ。
後はお察し。
ペイチャンネルでアダルティーな自家発電事業をカメラが捉えることになり、慌てて収録が中止され、映像はお蔵入り。
その後、エラい人の間で色々とあって、それからはドッキリは事前に本人に通告するしかなくなった。
という話。
当時はそれを見て「なるほどなぁ…」という感じに腑に落ちたというか、納得した。
だっていくら芸能人とはいえ、カメラの回ってない収録前の段階から常にドッキリに備えてマズい行動はしないようにするなんて無理だしね。
だからバラエティ番組等でやらせがあるのは仕方がないと思ってる。
それにだ。ぶっちゃけ『やらせ』があったとしても、それが発覚する前はその『やらせ』を見てみんな楽しんでいたんじゃないのか?と。
つまり、『やらせ企画』がつまらないのは『やらせだから』ではなく、『やらせがやらせだとバレたから』なのだ。
それはつまり、『その企画がやらせであるかどうかは極論、問題ではない』ということ。
これを分かっていない人が多い気がする。
仮にやらせ臭い企画があったとしても、それが何らかの理由で『やらせ』であると判明するまでは「ガチなのかも!」という期待を持って楽しめる。
しかしそれが最初から100%やらせだと分かっているとしたら、ドッキリなんて見る価値がない。
ここの差が非常に大きいのだ。
◆◆◆
で、何故こんな話をしているかと言うと。
以前、某ユーチューバーが視聴者からの意見に答える形で「あんなもの、全部やらせに決まってるだろ! 俺の動画をずっと見てる視聴者なら分かっているはず」と言い放ったことがあったのだ。
まぁ確かに、やらせ臭い内容ではあったし、その出演者のそれまでの関係性を考えると違和感のある内容。99%やらせ臭い。
しかし本人が断言するまでは100%ではない。
そこまで頭にあったうえで、それまでそのユーチューバーの動画を楽しんでいたのに、本人が『やらせ』だと断言した瞬間、急速に彼らの動画がつまらなく感じるようになった。
その感覚の変化が一体どういうモノなのか、ずっと考えていて、やっと言葉に出来そうなところまでまとまってきたのでこれを書いた。
◆◆◆
少し前に某芸人がテレビで語った大物芸人の裏話。
その大物芸人が一般の素人を上手く使って笑いを取っていた方法。
収録前、素人に番組内で喋ってほしいセリフを事前に練習させておき、しかし収録の直前のその瞬間に突然別のセリフを吹き込み、すぐに「はい!」とマイクを向ける。すると素人は混乱しておかしなことを口走ってしまい、面白い映像が撮れると。
この話を聞いた時、恐ろしさと嫌悪感でなんとも言えない気分になったのだけど、ある意味これも一種の『やらせ』であり、こうやって種明かしをされてしまうと、それまで楽しく見ていたその大物芸人を楽しく見れなくなってしまった。
つまり『やらせ』というモノは、それをやるなら最後まで視聴者に『それがガチなんだ』と思わせる必要があるのだと思う。
たとえそれが限りなく怪しくて嘘くさいモノだとしても、やらせだと断言してはいけない。
仮にそのことで視聴者に責められたとしても、そこは明かしてはいけない。
引き続き『やらせ』をやるならばだ。
特に視聴者に「やらせに決まってるだろ」と言ってしまうのは、それすなわち『お前はそんなことも分からないのか?』とバカにするような意味合いが含まれてしまうので下の下。
それを言われると、見てる側は全てがバカらしくなってしまう。
今まで楽しんできたそのモノ。その感覚を全否定するようなものだからだ。
と、僕の中では結論が出たのだけど、やらせだと分かっているのに引き続き『やらせ動画』を見る人がまだまだ多いことを考えると、この感覚、この結論は一般的ではないのかもしれない。
いや、もしかすると、そういう人は『やらせ』と『コント』を同一視しているのかもしれない。
などと考えていくと、どんどん思考の沼にはまっていくので、今日はこのあたりで。
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