★世界設定を作中で書く時は大変で、プロの小説家漫画家は化け物ばかりだぞ、という話
『極スタ』の192話193話辺りを書いている時の話。
この辺りは作中で登場する『アーティファクト』『魔法武具』『属性武具』というアイテム類に関する話を書いてる。
これらの設定については連載開始前の段階で決めてあったし、その後で詳細についてもエレム編の鍛冶屋でのシーン辺りを書いた時にカッチリと決めたはずだった。
しかしながら実際に書いていると――
「あれ? こうなったら……どうなるんだろ?」
といった感じで新しい疑問点が浮かんで来るのだ。
完璧に作ったと思っていた設定が、実際に世界の中に流し込んでみたら生きて動き始めて新しい問題を連れてくる。
なのでそれらに対して合理的に説明がつく理由を考えつつ設定資料にもう一度目を通し、矛盾点がないか洗い出し、WEB版と小説版で内容が変わっているので両方で矛盾がないように設定を考える。
その時点で作品に書いてしまってもいいのだけど、ここでもう1つ考えたいことが出来る。
果たして『その設定が本当に面白いのか』だ。
そういう設定を作って、それで主人公のストーリーが面白く広がるか。
その設定を入れることで世界がどういうモノになるのか。
読者がその設定でワクワクするのか。
『実は僕の頭では考え付けないだけで、もっと面白くなる素晴らしい可能性がどこかにあるのでは?』
そう考えると筆が止まってしまう。
なので設定資料を最初から読み直し、頭の中に最初からその世界を構築し直して再検証していく。
もし、一度その設定を世に出してしまえば変更は難しい。
1つの設定がその世界観の様々な領域にまで広がって影響を与える事を考えると作中の一文を削除すれば済む問題ではなくなるからだ。
世界観に影響を与える設定はそこが難しい。
◆◆◆
しかし恐らく、この辺りの作業をプロの小説家や漫画家は必要としていないのではないか。
そう思う。
特に週刊連載が可能な漫画家は最初からこの辺りの矛盾点がない状態を初期の段階から完全に作り上げられているのでは?と思う。
でなければ週刊連載なんて無理だろう。
そんな設定の再検証なんてしてる時間的余裕はないはずだ。
同じくプロになっている多くの小説家も、自分が観測出来る限りではそうだと思う。
上記のような作業がなくても頭の中で組み上がっているのだろう。
以前、石田衣良先生が、新作小説がまったく書けなくて締切日前日のギリギリになりやっと良いアイディアを思いついて1日で小説を書き上げて提出したというような話をYoutubeでしていた。
(少しうろ覚え。この動画が気になる人がいるならTwitterとか質問箱にでも投げといてくれたら探してきてURLを上げとく)
これは、はっきり言って自分基準ではありえない話。
どうやってそういう事が起こるのかまったく理解出来ない現象。超能力と変わらない。
つまり石田衣良先生は書き始める前の段階で、『一冊の本の内容の全てを細部まで細かくどう書くか頭の中で構築出来ていた』という事になる。
後はただキーボードでデータとして出力するだけなので、10万字程度であると推測される小説を1日で書く事が出来た、と。
僕が小説を書こうとした場合、プロットを最初から決めていたとしても書いている内に疑問点や問題点が出てきたり、設定や世界観やキャラが勝手に動き、再考を余儀なくされる。
それに文章と文章の繋げ方やスムーズな読み味の文章も自然には上手く書けないので何度か言葉を変えたり文章を入れ替えたり調整を重ねることになる。
1日に5000文字を書ければ良い方だろう。
考えてみれば昔の小説家は原稿用紙にペンで執筆していたわけで、何度も書いたり消したりなんて出来るわけもなく。つまり大体は一発でキッチリした文章を書けたのだろう。
恐らく今の時代にプロになれる小説家の多くもスムーズに書けているのだろうと思う。
まぁ、はっきり言って頭の出来が違うのだろうな、というのは感じるところ。
バカはバカなりに工夫しながら足りない部分を時間で補って書くしかない。それを痛感して凹むけど、地道にやっていくしか自分にはないのだ。
◆◆◆
まぁ要するに、設定がガンガン出てくるパートは時間かかってしまうのだ!
っていう言い訳です。ええ。
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