執筆中の話

YouTubeが衰退するとしたらこれが原因。そしてYouTubeの次はこれ

いつも作業をしているPCの横に温度計を置いていて、たまに確認してたんだけど、ここ数日で一気に部屋の平均温度が5度ぐらい下がった。

そりゃ寒いわけで、部屋の奥から着る毛布を引っ張り出してきて、なんとか作業が出来るようになった。

そんな季節になりました。




さて、本題に入りますが。

最近、前によく見ていた釣り系ユーチューバーが言っていた話を思い出したんですよ。


『一般的なエンタメ系ユーチューバーは短い時間で動画を作れるけど、我々はめっちゃ時間がかかってしまう。1日がかり』


と、

細かい言葉までは覚えていないけど、大体こんな感じのニュアンスの話をしていて、それを聞いて「あぁ、なるほどな」と思ったわけです。

実際のところ釣りのYouTube動画を作るとなると、釣りをする工程だけで最低でも数時間。それも海の近くに住んでいた場合だし。それでもずっと同じ場所で釣りをするのもつまらないから時には車で様々な場所に遠征する必要はあるし、そうなれば移動だけで数時間とか泊まりとかになるし。

時間にしても、場合によっては朝から晩までやってるかもしれないし、夜釣りもあるし、それでも釣れなければ全てボツだし。なにが釣れるかは魚次第だし。そこから動画に編集したりなんやらと考えたらかなり大変。

恐らく1本の動画を作るために1日以上かかっているんじゃないかと。

しかし、そうやって時間をかけた動画もYouTubeでは他の動画と同じ基準で評価されてしまう。

それは当然だろ、と言われてしまえばそれまでだし、確かにそれは当然ではある。


が、これは別に釣り系ユーチューバーの話をしたいわけではなくて、もっと別の視点で考えていただきたい。

例えば、ドラマでもアニメでもいいけど、なにか映像作品を作りたいと考えているクリエイターがいたとして、その人がYouTubeを作品公開の場に選んだ場合どうなるかと。

ドラマやアニメを作るとなるとそれなりに人が必要になるだろうし、機材や撮影場所とか製作日数もそれなりにかかって、それなりに何十万円とか、クオリティをテレビレベルに上げれば何百万円とかのお金もかかってくるはず。

そして、仮に素晴らしい作品が出来てYouTubeでも大好評だったとしよう。

今の日本のYouTubeで『バズった』といわれるのは大体100万回再生ぐらいだけど、この際、日本ではほとんどない1000万回再生のモンスター作品が生まれたと仮定しよう。

ではその作品でクリエイターが得られる利益はどれぐらいか。

最近、ヒカキンさんやはじめしゃちょーさんが所属しているUUUMが公表した決算書から割り出されたYouTubeでの利益は平均1再生/0.265円らしい。ユーチューバーの平均では0.1円とか、ビジネス系ユーチューバーなら0.5円とかいわれているけど、そういう数字から計算してみると、1000万回再生で得られる利益は100万円から500万円ぐらいの間だと推定される。

で、この金額で元が取れるのか?というと、ぶっちゃけかなり節約した低予算作品でも微妙ではないかと思う。

仮にこれで利益が出たとしても、次の作品を作れる体力は残らないだろうと予想出来る。

上の話はYouTubeでかなり成功した場合の話で、実際に今現在YouTube公開されているドラマ(公式作品)を見ると数万再生から数十万再生ぐらいだし、つまり1話で数千円から数万、頑張って数十万ぐらいの収入しかないはずで、これでは採算は合わないだろう。


結局なにが言いたいかというと、釣り系ユーチューバーにしろドラマ作品にしろ、一本のコンテンツ作りに多くの時間をかければかけるほどYouTubeでは利益率がかなり悪くなってしまい、採算がとりにくくなってしまうということ。

仮に多大な労力を使って何百万何千万のモンスター再生数を稼ぐ作品を作れたとしてもだ。

現在、人気ユーチューバーのほとんどが1日/1本のペースで動画のアップをノルマにしているが、このペースで制作出来ない内容を動画の主軸にしたいユーチューバーは基本的に(長く続けるには)採算が合わない。

なので今、多くのユーチューバーは短時間(1日内)で完成する企画をやる方向に進んでいる。

これは当然と言っていい。

手間や時間がかかる動画はどう考えてもYouTubeでは効率が悪すぎるからだ。


恐らく今、クリエイターがYouTubeに対して潜在的に一番不満が溜まっているはずなのはこの部分で、しかしながら今の広告収益還元モデルでは作品の再生回数が物を言うのでコンテンツ量産型のスタイルが一番合っているのはどうしようもない問題で、現時点ではその解決策を恐らく世界中の誰も提示出来ておらず、この不満はもしかするとクリエイター本人達にさえ気付かれず表面化していない可能性が高い。が、恐らく数年以内にこの問題は表面化してくるだろう。

というのも今の2020年2月時点で(日本の)ユーチューバーを見ている感じ、少し停滞傾向が見えるからだ。

例えば、メントスコーラとか古くはハイポーションのような動画投稿サイトが出始めた頃に流行った『ちょっと面倒だったり少しコストがかかるから個人ではやらないけど、面白そう』な比較的低めのハードルがある企画はこれまで散々やり尽くされてしまっているし。その後に稼げてきたユーチューバーがよくやっていた『(高級品を)買ってみた』系など、かなりお金がかかる企画も大体やられた気がする。そして最近は芸能界からYouTubeに参戦する人も増えてきて、ありきたりな企画では再生回数を稼げなくなってくるだろう。

となると次はもっとお金か時間と人をかけた大掛かりな企画をやらざるを得なくなるのが当然の流れ。

しかしこれまで話してきたように、コストをかけた大掛かりな企画はYouTubeでは利益が出にくい。

こうなってやっとこさ今のYouTubeの問題点をユーチューバーが認識して不満が大きくなって問題が表面化してくるはずで、そうなった時にどうなるかで決まると予想する。


現時点ではプロが映像作品を公開するNetflixやAbemaTVなどと、誰でも映像作品を公開出来るYouTubeやニコニコ動画などの二極化状態になっていて、その中間部分がない。

つまりYouTubeの次は、クリエイターの参入障壁が低く、動画の質が評価される環境というか。視聴者の作品に対する愛、好きという強い気持ちが『再生回数1』という単純化された数字で終わらず、何らかの形でクリエイターへのリターンに繋がる環境。ファンの深い『好き』という気持ちがリターンに繋がる環境を実現出来たサービスが来ると思う。

もしくはYouTubeがそこを自力でなんとか改善するかもしれないが。


そう考えるとニコニコ動画のクリエイター奨励プログラムはこの部分をちゃんと考えたシステムなんだろうな、とは感じる。

動画の再生回数だけではなく『いいね』の数とかリスナーが配信者に送った有料アイテムのポイント数がクリエイターへのリターンを決める指標として用いられるので、広い視聴者数だけではなく少人数でも深いファンが活きてきやすいシステムだと思う。


ニコニコ動画は今のままでは厳しいかもしれないが、何か1つキッカケとなるコンテンツやシステムがヒットしたなら、上記のYouTubeの問題点が表面化するタイミングが合えば、また大復活してくるかもしれない。

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