★実際に飲んでみよう
★この話は『深夜、コンビニ、探訪録』の第12話『★エールを探しに行く』からつながる話です。
★この次は『深夜、コンビニ、探訪録』の第13話『★そしてエールを探しに行く』へとつながります。
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「はぁ……やれやれ。寒すぎだわ、外」
そんなこんなでコンビニから帰ってきた。
買ってきたのは『プレミアムモルツ 香るエール』。そして、つまみの暴君。
エールの味を確かめるために買ってきたのに、つまみが暴君では味が分からなくなるだろう、と思われる方もいるかもしれない。
しかし濃厚な味わいと芳醇な香りが特徴と言われているエールであれば、その味わいは味の強いつまみにも負けないだろうし。強い味で一旦、舌を洗い流す事でリセットし、もう一度エールの味を改めて感じる事が出来て。暴君のカプサイシンが味蕾を刺激する事で舌の動きを活性化し、より深く味を感じる事が出来る。
たぶん。
要するに、何となく食べたくなったから衝動的に買ってきたのだ。
黒のロングコートを脱ぎ、部屋のドアに掛け、シングルソファーに体を預ける。
「さて、それではいただきますか」
缶を開け、エールを用意していた大きいグラスに注いでいく。
琥珀色の液体がトプトプとグラスに注がれ、泡がプクプクとたっぷり浮き上がる。
うん、相変わらずビール注ぐの下手だわ。
グラスをテーブルライトの下に持ってきて横から見てみる。
「色は普通のビールと同じ? 若干薄いぐらいかな?」
次にグラスを手に持ち、匂いを嗅いで見る。
「匂いは……んー……よく分からないな」
麦の香ばしさは分かる気がするが、特別コレと言えるモノは感じない。
少し口に含んでみる。
「おっ! これは凄い」
これは驚いた。よくあるラガービールと違って苦味が薄い。炭酸も少ない気がする。凄く飲みやすい。
「あー、これなら女性でも普通に飲めるかも」
と言ってもビールはビールなわけで、いくら飲みやすいと言ってもわざわざ色々な選択肢がある中でこれ選ぶか? と考えると……微妙かな。
女性は普通に甘い系を選ぶような気がする。
「さて、つまみの暴君を一つ……」
袋を開けて一つ目をつまむ。
うん、美味い。
やはり暴君は酒のつまみに合う。
それからエールを一口、流し込む。
そしてまた暴君を一口。
この丁度良い辛さがたまらない。昔は暴君が本当に辛くてたまらなかったが、今は慣れてしまって丁度良くなってきた。デスソースとか辛味ソースを常用してたせいか、辛さに耐性が付いてきたのかもしれない。
エールを一口、グビリと飲む。
うん、いいね。ベストマッチだ。このまま暴君のレビューがしたいぐらい。
暴君を一つ食べる。
そうして夜が更けていくのであった。
「ヤベェ……やっぱり暴君でエールの味なんてわかんねぇよ……」
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