猫と美少女に振り回される件

ねお

第1話 非現実的で頭がおかしくなった件



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キーンコーンカーンコーン


入学してはや3ヶ月。期待と希望を膨らませてこの桜田高校の入学式に望んだ。中学生の時はクラスの陰キャラで友達も少なかったから高校では!と思っていたのだが...。失敗した。ずっとクラスの人としゃべれずみんなに「空気」と認識されてしまった。今日だって教室で

「もお舞ってばーw」

ドンッ

「あ、ごめんなさい...えっと違うクラスの人かな?ほんとごめんなさい!」

と言われてしまった。3ヶ月もたってクラスの人に覚えてもらってないってやばくねえか?すげえショックだった。

俺は、別にオタクでもないし変人でもない(と思う)。普通にアニメやドラマも見てゲームもする。今何が流行っているのかも大体は知っている。勉強も運動も人並みにはできる。ただただ初対面の人と話すのが苦手なだけなんだ。


友達もできないまま一人で家に帰るこの日常。

「あー。やりなおしてー。友達ほしー」

今何が欲しい?と聞かれたら俺は友達と秒速で答えるだろう。例え表面だけの友達でもいい。友達が欲しい。ってそこの君、あんまり哀れな目で見ないでくれ。

いつものように(むなしく)帰っていると

「みゃぁみゃぁ」

と声が聞こえた。辺りを見渡すと電柱の前に子猫が段ボールの中でごぞごぞと動いていた。

「捨て猫か?」

段ボールには

『うちでは飼えなくなりました。心優しいかた拾ってください』

と子供の字のような字でマッキーで書かれていた。これはきっと拾ったけどお母さんに反対されたな。もしくは引っ越しで飼えなくなったとかかな。と一人で推理をしてみた。


「みゃぁみゃぁ」

それにしてもなんちゅー可愛さだ 。白い毛並みにくりくりおめめ。

「可愛いなあ」

少し撫でてみたらゴロゴロと音を出している。体は少し温かく生きてるんだなとしみじみ思う。

「でもな、ごめん。俺のアパートペット禁止なんだ。」

くっそ上目遣いやめろよ。心が痛むだろうが。無理なんだ、ごめん!

俺は進行方向に体を向けここにいたいという体に逆らって家に帰ろうとした。そのとき後ろから風がビュッと一瞬だけ吹いた。すぐに後ろを振り返ると白いワンピースを着た美少女が立っていた。あまりの美しさに言葉を失った。

「猫拾ってくれないの?」

「え?」

突然に聞かれたため意味を理解するのに数秒かかった。

「俺の家ペット禁止だから」

声がめちゃくちゃ小さくなった。無理もない。クラスの人と普通にしゃべれないのにこんな美少女となんて。ちゃんと言葉を言えたことに自分を誉めてやりたい。

「そっかー」

「うん」

弱々しい声でそういった後、心のなかでこの女の子と子猫にめちゃくちゃ謝った。同時にこの猫飼うって言って好感度上げたかったなと思った。仕方ない。ペット禁止なんだから。

「そ、それじゃあ」

この場にいても罪悪感でおしつぶされそうだからまじではやく帰りたい。

「じゃあ私を拾ってくれない?」

ん?この言葉はいくら時間があっても理解できない。

「ど、どういうこと?」

たぶん今一番大きな声だったなと思った。声がでかくなるのもあたりまえだろう。いきなり美少女が私を拾ってって言うんだぞ。心臓のドキドキが止まらない。

「私、さっき段ボールの中にいた猫だよ」

「は?」

さっと電柱の前を見る。段ボールの中に子猫が...いない!?いやいやいや段ボールの中で寝転がってんだろ。この距離でこの角度からはそう見えるのだろう。俺は電柱の前まで小走りで行って段ボールの中を確認する。いない...。

「どっかに逃げたんだろっ。冗談キツいな、はは」

「冗談じゃないって。ほらっ」

そういった瞬間彼女はあの可愛らしい子猫になった。

「ええええええええ?なんで?こんな非現実的な、夢か?これはきっと夢なんだな!うんうん」

「みーーーーーーー」

いきなり叫んだ子猫はさっきの美少女になった。

「夢じゃないの!現実!」

「うわ、まじかよ...」

「よし君の家にいこー」

「はああああ?」


彼女は強引に話を進めてとうとう俺の部屋の前まで来た。

「鍵」

「ちょっとまって」

ほんとちょっとまって。部屋片付いてるよな。ちらかってないよな。エロ本...ないないない。大丈夫...。あ、洗濯物!俺のパンツ、ベランダに干しちゃってるわ。うわ...えっとあれもこれも...

「なに、鍵ないの?」

ちょっとイライラしてきている彼女は俺をにらんでいた。その顔も可愛いけど。

「いや、あるんだけど。部屋片付いてるかなーとか思ってて」

「なに、エロ本とかあるの?別にいいって!私気にしないよ!」

「ないって!あーもう開けるよ」

ガチャ

「おじゃましまーす」

初めて他人が俺の部屋に入った。男友達も呼んだことがないのに。(まず呼ぶ友達がいないけど)初めてが女子?しかもめちゃくちゃ可愛い?

「おお以外と綺麗」

「それほどでもないよ」

「ここが私の家になるのかー」

「まじで住むの!?」

彼女はにたーっと笑って

「一回拾って捨てるってそんな残酷なことしないよね?」

俺ははまってしまった。彼女の罠に。


これから俺どうなってしまうんだ!!!??

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猫と美少女に振り回される件 ねお @Kubonao0106

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