映画『南極料理人』

@muuko

第1話

 この映画はエンディング曲が最高。何が良いって、ストーリーが終わり、ラストシーンからエンディング曲に切り替わる瞬間です。


 この映画は、南極の観測隊員に選ばれた料理人が主人公の話です。舞台は南極の昭和基地から遠く離れたドームふじ観測拠点という所。標高が富士山より高い観測拠点には、アザラシなどの動物はおろかウイルスさえいない。

 拠点に行くのは8人の隊員。プライベートもプライバシーもなく、日本への連絡も簡単にはできない過酷な環境。


 主人公は海上自衛隊の料理担当。別の仲間が南極に行く予定がバイクの事故で行けなくなり、代わりに白羽の矢が立ったのが主人公です。

 当然行きたくありません。家族に相談させろと上司に返答の猶予をもらいます。妻と娘は嫌がってくれるかと思いきや、ゲラゲラ笑って送り出されるのです。


 ストーリーにはアクションとか、物凄い苦難を乗り越えてとか山あり谷ありっていうのは無いです。

 個性溢れる観測隊員それぞれの、過酷な南極での日常が描かれていきます。仕事をサボって怒られる隊員、日本にいる彼女と遠距離恋愛になって振られる大学生、研究命で家族ほっぽって、奥さんに拗ねられてる偉い人。

 笑えて、ちょっぴり泣けるところもある、料理人目線の、非日常の中の日常。


 料理人が主人公ですから、ご飯のシーンがたくさん出てきます。だけどもご飯・食材に無頓着な男達のリクエストがちょっと笑えます。伊勢海老でエビフライ食べたいとか、誕生日は肉でしょなんか分厚いの。とか。ここ南極だよ!? あと伊勢海老は刺身! 醤油にわさびでしょ!?

 そこはやっぱり料理人。リクエストにはしっかり応えます。

 そうして、観測チーム全員の楽しみが、料理人のつくる「ごはん」になっていきます。


「おいしいもの食べると、元気が出るでしょ」

 映画のあるシーンで出てくるこのセリフがとても好きです。

 誰かが作ってくれるごはんが、私には特別なものに思えるのです。


 非日常の中の日常。その日々はゆるゆると過ぎ、やがて終わります。

 エンディングに流れる曲は、ユニコーン の「サラウンド」。この曲がすごく良いです。

 全てが終わってイントロがかかる瞬間。

 終わるんだなという寂しさと、じんわりくるあたたかさ。8人の男たちの日々が、懐かしさに似た気持ちで心に響きます。


 もう一回言っとこ、この映画は全てが終わってラストシーンからエンディングに切り替わる瞬間。エンディングのイントロが流れる瞬間が最高に良いです。奥田民生さんの曲は素敵です!

 私はこのエンディングの瞬間を味わう為に、何度も何度もこの映画を観るのです。

 よかったら、観てみてくださいね。

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