処分の詔
奈良麻呂の謀反が発覚してから一ヶ月後、取り調べが終わったことを受けて、孝謙天皇は公卿百官と畿内の
照りつける太陽に体が焼かれるが、朝堂院中庭に整列した人々は一言も発することなく立っていた。奈良麻呂の謀反は都だけではなく、畿内にも知れ渡っている。多くの人間が捕らえられて拷問を受けていることも噂になっていて、集められた人々、特に普段は呼びつけられることがない村長は戦々恐々としていた。
仲麻呂は孝謙天皇を先導して、大極殿の門に立った。
中庭の全ての人々が、仲麻呂の前に跪いて頭を下げる。
仲麻呂は抱え持っていた詔書を
福信は詔書を掲げて受け取ると大声を上げた。
「
福信の太い声が中庭に響き渡る。
「悪逆な
奈良麻呂たちの陰謀を国法に照らせば死罪に当たるが、慈悲の心をもって刑を一等軽くし、姓名を変えて
皇室と国家に尽くす者には惜しみなく褒賞を与えるが、人々を害し惑わし、国家をないがしろにする者には裁きを下す。公卿百官から民に至るまで、悪い企ては必ず罰せられることを知り、今後も清く明るい心をもって朝廷に仕えよ」
福信の朗読が終わると中庭の人々は平伏した。天皇は百官の反応を見ることなく、大極殿に入ってしまった。あわてて仲麻呂も孝謙天皇に続く。
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