文を書いたり読んだりするのが苦手なわたしでものめり込んだ たった2話 のお話。魔法だったり森だったり、非日常要素はあっても、この先何も変わらない、何も無いようで何かある、そんな情景が日常なのだと気付く。読了後、達成感や気持ちよさがあるわけではない。ただひたすら心にじんわりと響き渡るなにか。愛情とそれに伴う苦しさと、日々生活している中で抱える感情がなんとなく大切になるような、そんなお話。
暖かくも冷たく、優しくも狂おしい──森の湿った土の香りと木陰のざわめきのような物語だ。魔法の使えない『魔女』と魔法が使える『少年』の、これからもきっと変わることの無い日常の話。決して長くはない物語の中に、2人の幸福が詰まっているのだろう──そう思うと、言葉の一つ一つが愛おしく感じる。これは、そんな物語だ。