〔夢の足音《Game the call's》〕
明るい。今日も白に満たされた、一日の始まり。
白い雀に朝の言葉を掛けて、階下へと降りる。
既に
こちらに気付いのは母が先だった。
「
「
「
「ぼちぼち、かな」
トーストを齧り、
父は宮殿。母は医務室。自分の
「リア、今日は?」
「イラとユキと
「勉強ね。あまり遅くならないようにね」
「
朝食を終え、長い髪を水色の紐で括り、カバンに道具を詰めて玄関に行く。
「
「
母の見送りと共に外に出る。
蒼、赤、黒、茶、水色、黄、橙、緑。
流石にまだ
リアが住む街は下町・通称『
第四城下町の東に位置する、
しばらく歩けば街一番の『
完全予約制の書物庫であり、ほぼ年中開いている。
予約の合言葉『
少し奥まで行くと真面目な待ち人の一人が本を読んでそこに居た。
水色から毛先にかけてゆっくり蒼色に染まる、
ユキの隣に座り、本を覗きながら声をかける。
「
「…………リ、ァ?」
「
その言葉でユキは閉じていた
ユキは生まれつき
だからユキは瞳を
細かい周波数の違いから人が誰なのか、男か女か、どこの出自なのかをほぼ的確に認知していた。今、リアを
「早いね、今日は? 何かあった?」
「
「そう? リアは気まぐれ屋だね」
そう言ってユキが笑う。
ユキは瞳の事で少し
リアも幾つか本を持ってきて、ユキと並んで読み始める。
あとは遅い──と言っても彼は時間きっちりに来るだろうが──もう一人の待ち人の到着を待つだけだ。
リアが本を読みだして時間にして約三十分経って、彼は来た。
珍しく待ち合わせ時刻の十分前だ。何かあったのだろうか?
「
「
「イラ? 走って来たの?」
「
「多少遅れたってイラの
「それが
「それが、嫌なんじゃないの?」
「はは、ハモったな」
イラも来た所で、勉強を始める。
二人とも頭は良い方で、イラは考え方さえ理解出来れば間違えないし、ユキは意味を図式に起こせるようになれば難無く解ける。
長い間勉強しても集中は続かない。なら短時間で必要な部分を学べばいい。
だから、いつも僕らが勉強するのは二〜三時間だけだ。
この日も次にやる日までの課題を二人は解いていた。
ユキが途中の問題を訊いてくる。
「リア、これどう解けばいい?」
「んん? どれ?」
ユキが引っかかっていたのは方程式だった。上手く式に起こせないらしく、頭の上に大量に
読んでいた本を閉じてユキの向かい合わせから隣へ移動し、解き方を持ってきていた白紙に図式を起こして
リアの説明にやっと解き方が分かったのか、ユキは引っかかっていた方程式の問いをあっという間に解いてしまった。
「リアのお陰で分かったよ!
「
「……」
イラに訊いた疑問に返ってきた答えは無言だった。
つまり、問題ない、という事。
だから、リア《ぼく》もユキもそれ以上何も言わず自分の事に戻った。
誰かが鳴らした、『
ただその日も、変わらない、平凡とも平和とも言える日常が過ぎていった。
そして、これからもそれが…続くと信じて、疑わなかった。
蒼い深く染まる蒼空に
にぃッと愉しげに口元を歪めて、謡うように言葉を漏らした。
「さぁ……平穏に捧ぐ、『
まだその誰かを知らず、『
因果の裏 壱闇 噤 @Mikuni_Arisuin
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