糖質オフ、カロリーオフ、セリフオフの小説

ちびまるフォイ

この小説は特定保険用小説(トクホ)の認定を受けています

「      」



「       」




「         」



「   」

「    」




「      」



「        !!」



「……     ?」


「    。」




「        」


「 !!」






(心の声は話せるみたいだ……)



(いやはや、開幕早々に自分の声がミュートされてるなんて思わなかった)


(さすがに心の声まで     )



(     !?)



(           !!)


(     ~~~!   ~~~~!!!)



(……    ?    ……   ……)



(       !!      !!)



――パラッ。



『 拝啓、主人公様。


 この度は再三行っておりました声優費の未納について

 こちらとしては、あなたの声優を差し押さえとなりました。


 若本様を再度ご登用されたい場合につきましては

 これまでの未納分を払ったのち、再度ご契約ください  』



(  !?)



(………)



(   !    !!)



――カタカタ。



『ヨカッタ、パソコンノオンセイナラシャベレル』


『オレノセイユウヲサシオサエルトハ、ヒドイコトヲスル』


『ソレニパソコンオンセイダト、シャベリニクイッタラナイゾ』


『ソウタ゛! セリフイガイデシャベレバインダ!!』



おお、これなら大丈夫そうだ。一人称でなら普通にしゃべれる。


とはいえ、これじゃ自分だけの心理戦ならまだしも

相手とのコミュニケーションというものができないぞ。


かといって、若本さんを再度雇うにはとてもお金が足りない。


背に腹は変えられない。

新しい安い声優をオーディションで雇うことにしよう。



「はい! カクヨムプロモーションから来ました! アイドルです!

 みんなの瞳を~~爆発にゃん♪ よろしくお願いしまーーす」


はい、よろしくお願いします。


「なんか……無口な人だね」


あ、しまった。俺の声聞こえてなかった。

身振り手振りで表現するしかないか。


……というか、そもそも!! 俺男なんだけど!?


「不採用ですか? 今この子は売り出し中なんですよ。

 たしかに年齢的には50歳超えかもしれませんが、心はまだまだアイドル。

 このご年齢ならではの酒ヤケボイスで、男キャラの声優もできますって」


却下!!!


くそぅ、事務所のごり押ししてくるとは俺の声優を甘く見るな。

売り出し中のアイドルも、若手俳優もダメだ!

俺を出世の踏み台にするんじゃない!!


ちゃんとした声優を雇う!!!


といっても、お金なんてないんだけどね……。



しょうがない、一番安い男性声優を雇うか。


オーディションなんかやったらごり押し声優が集まるだけだ。



「……よよよよし、声が戻ったぞ。声優やややや雇って、よか、よかった」



「おいおい、なんだこの声優はははっ(すみません!)。

 ぜんぜんしゃべれてないじゃないか」



「声優学校あがりで、はじめての現場に緊張するのもわかるけど

 俺、おれおれれれの声優なんだからしっかりしてもらわないと」



「これから通貨の代わりに猫を賭けて戦う息詰まるギャンブル展開と

 読んだ人をあっと言わせるドラマチックな大オチの大どんでん返しがあるんだから」



「お、おい!! 待てって! プレッシャーかけたわけじゃない!! 逃げ    !!」




「      ……」



「……      。……    」




「     !?       !!」



――カチカチ。



『あーーあーーーあーー。おお、しゃべれる!!

 最新の人口音声ってこんなになめらかなんだ!! 買ってよかった!!』



『やれやれ、安い声優を雇うんじゃなかった。

 キツく言ったらすぐに逃げちゃうし、こっちが悪いみたいじゃん』


『ま、今となってはどうでもいいや。

 この人口音声さえあれば、セリフも噛まないし早口だって完璧!!』



『いろいろと準備には手間取ったけど、これでやっと本編が進められるぜ!!!』




『あれ? なんだこれ? なにか注意書きが書いてある』



―――――――――――――――――


※この小説は赤ちゃんの言語教材として読まれます。

 不適切な表現は避けるようお願いします。


―――――――――――――――――



俺はそっと人口音声の電源を切った。




赤ちゃん「なんやこのオチ」

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