敵ではなかったのかもしれない。それでも、ヴァーサ公の内心には、熾火が、ほんのりとでも残っていたのかもしれません、意地悪心というには幼いような、薄い、ちょとした負の贔屓目のような。
往々にしてそういうものの積み重ねは人を殺す。
作者からの返信
小さな負い目の積み重ねは、本当に恐ろしいと、私も思います。ヴァーサ公の場合は、ゾフィー大公妃への気持ちが、未だ冷めきっておらず、それがいろいろ問題となってきます。この二人の話、まだ、終わってないんです……。
特に、ライヒシュタット公とゾフィー大公妃の恋物語は有名ですので、期待をひしひしと感じます(誇大妄想かも……)。ですが、研究者は否定しがちで、私は、難しい選択を迫られました。そこで、ヴァーサ公の登場となったのですが……(肖像画が大変、イケメンでしたので)。
間接的にナポレオンに国を奪われた廃太子と、彼が愛するゾフィーが、なにくれとなく世話を焼くライヒシュタット公。問題が発生しないわけがないです。しかも、ヴァーサ公の新妻は、ライヒシュタット公の「姪」ですから……。
いろいろ楽しく、捻っていきたいと思います。
これが事実とは😊
では何故フランソワへ飛び立たなかったのか?
作者からの返信
実際は、ヴァーサ公の報告書に書かれた内容を元に、場面を構成しています(なんだか小説としての興を殺ぎそうな告白ですが)。ヴァーサ公にしてみれば、ライヒシュタット公を持ち上げ、評価を高める為の「健康」の強調だったと思うのですが、実際には彼は相当具合が悪かったわけで、もし、この時点で病気がわかっていれば……と悔しいです。どのみちマルファッティ医師は結核を認めなかったでしょうし、ヴァーサ公がどう出ようと、彼が救われる道はなかったわけですが。
ただわからないのは、本当にヴァーサ公は彼を健康だったと思ったのか、という点です。咳もひどく、医師が彼の宿舎まで往診に訪れていたというのに。
いつも本当にありがとうございます!