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フランソワが望むこととは何だったのでしょう、誤解を恐れずに言うのであれば様々な呪縛とは無関係な、望み……
父の、あるいは父の偶像の、またはその周囲による期待に応えようという意志と無関係に彼はなんらかの意欲を持っていたのでしょうか?
彼の物憂げさであったり深い孤独、悲しみ、虚無といった、環境は充実していながらその魅力的な人柄の奥底にちらつく薄暗い影は、実のところ、現代の若者に通じるような無意志、無気力に根差していたのではないかと、ここまで読んできて思いました。
自分の意志、などというものが程度問題の幻想であるにしても、自らが強く欲するものを持たない、持てないことが、彼をただ義務に、期待に応えようとすることに駆り立てたような気がします。
そしてそれが、彼の幸せと命を、削り取ってしまった……
作者からの返信
ありがとうございます!!
現代の若者に通じるような無意志、無気力……押し付けはいけないと思ったので、ずばりとは書いていません。ですが、私も全くその通りのことを思い、それが伝われば、と願って書いてきました。
普通の男の子なんです、彼は。その辺にいる子と、なんら変わるところのない、背の高い、(イタリア寄りの)フランスとドイツの混血の子に過ぎません。20歳かそこらで、先々のことや、世界情勢が読み取れるわけがありません(おとなだって無理です)。
自らが強く欲するものを持たない、持てないことが、義務と期待に応えようとさせた……これも、おっしゃる通りです。では、なぜ、ここまでの虚無に陥ってしまったか。
あるいは、同じ年齢の子の中で育たなかったのがまずかったのでは、とも思えます。家庭教師ではなく、学校のようなところに通えていたら、もしかしたら……。
なにより、彼に必要なことは、楽しみを見つけることだったと思います。同じ楽しみを共有できる友人がいれば、その楽しみは、倍増します。
でも、下手な友人を作ることは、危険なことだと見なされました。彼は、ナポレオンの血を引くからです。この血は、矯正されなければなりません……。
やっぱり、「犯人」は、いると思います。私のお話も、おおむね、間違ってはいないのではないか、と。
それぞれの心が
7月革命の余波が
この思いが紡がれ
フランス第二帝政に
繋がるのでしょう😊
作者からの返信
たまたまこの小説はディートリヒシュタインの手記を元にした評伝をメイン資料としているので、この兄弟の思いが伝わり……でも、もっともっと多くの人が、いろんなことを考えていたのだと思うと、気が遠くなりそうです。
ナポレオンへの憧憬は確かにあったと、それが甥を呼び出したと、ナポレオン嫌いの私でも認めざるをえない状況です。
返す返すも、なぜそれが息子ではなかったのか、と……。
応援、コメント、いつも本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。