肌の露出が多すぎる!
ドナウの川べりに、人が、ぞくぞくと集まってきた。
そこは、崖下になっていて、見上げる崖の上には、水着姿の青年たちが、整列している。彼らはこれから、眼下に見える川へと、飛び込む練習をするのだ。
崖の高さは、7~8メートルほどもあろううか。下には、青々としたドナウの支流が、淵となっている。
最初の泳者は、飛び込みを、ためらった。淵を覗き込み、尻込みをした。教官に何か言われ、再び、崖の縁に立つ。目をつぶり、両手を上げ、再びためらった。
川べりの観客達から、失笑が漏れた。
崖上の少年は、目をつぶり、ほとんど落ちるようにして、足先から飛び込んだ。
観客達から、歓声と、ぱちぱちという、まだらな拍手が聞こえた。
次の泳者も、似たようなものだった。ただ、この子は、腹から落ち、大きな水音と盛大な水しぶきをあげ、観客の悲鳴と、笑い声を誘った。
3番めの子は、思慮深かった。
長いこと崖下を覗き込み、教官の叱責にも耳を貸さなかった。
彼はくるりと後ろを振り返り、二度と、崖縁へ戻っては来なかった。
少し離れたところで、この様子を見守っていたアシュラのそばに、モーリツ・エステルハージが寄ってきた。
「お前、一人でライヒシュタット公に会いに行ったんだって?」
恨みがましい目をしてすり寄ってくる。
「なぜ僕を誘ってくれなかった」
「あなたはまだ、フランスにいましたから」
「帰国するまで待っててくれたらよかったじゃないか!」
「待てませんね。こっちは仕事ですよ?」
横に並んだモーリツを、アシュラはしげしげと眺めた。目の詰まったしっかりとした生地のシャツを着用し、それどころか、この暑いのに、ウエストコート(ベスト)まで重ねている。遊び人ではあるが、彼は貴族だ。アシュラには想像もできないほどの伝手を持っていることだろう。
「実は、早急に調べたいことがあるんです」
「なんだ? ことと次第によっては協力してもいいぞ」
揶揄するような口調は、この際、目を瞑ることにする。
「去年三月時点でのホーフブルク城のスタッフと、今年の夏のグラーツ城のスタッフ。両者に共通している者を知りたいのです。特に、厨房回りの」
「去年の三月だって?」
「正確には、皇帝がご病気になられた晩の」
「なんだってそんなことを知りたいんだ?」
「皇帝のご病気は、毒を盛られたのかもしれない。しかもその毒は、ライヒシュタット公を狙ったものである可能性が高い」
……「その晩皇帝は、プリンスの残された肉料理を召し上がったんだそうだ」
ルカスはそう言った……。
「毒……?」
モーリツが目を丸くしている。その彼に、アシュラはさらに畳みかけた。
「数週間前のライヒシュタット公の不調の話は聞きましたか? 貴方が帰国される前のことです」
「聞いたよ。思春期特有の病、とかいうやつだろ」
フランツの友達になりたがっているだけあって、情報が早い。
「それも毒です。多分、一年半前と同じ手口で。恐らく、厨房スタッフの誰かが、手を貸したのだ」
「手を貸した?」
モーリツが聞き咎めた。その顔に、なにがしかの理解が浮かんだ。
「なるほど、あんな手紙をお前に言づけた僕の責任でもあるかもしれない。フランスの王太子妃を疑っているのだろう? だが、あれは僕の想像以外の何物でもない。実際、アングレーム公妃は、素晴らしい女性だ」
「その、なんとかいう王太子妃が指示したと思っているわけではありません。ですがプリンスは以前、ブルボン家の雇った馬丁によって、馬車の事故を仕込まれたことがあります」
アシュラは、摩耗した車軸と、急に羽振りの良くなった馬丁の話をした。彼が、百合の花の紋章の入った高価な葉巻入れを持っていたことも。
「百合の花……」
さすがに、モーリツは驚いたようだった。
「車軸の摩耗は経年劣化だと、報告されました。けれど、僕はそうは思っていない。心の師と仰ぐベートーヴェンも」
……「ライヒシュタット公を頼む」
遺言ともいうべき言葉が耳元に蘇る。
アシュラの剣幕に押され気味だったモーリツが、この時ようやく態勢を立て直した。
「百歩譲って、今回のライヒシュタット公の不調が、仕掛けられた毒のせいだとしても、だ。どうしてそれが、ブルボン家の仕業だと言い切れる?」
「ナポレオンの解毒剤が効いたからですよ」
「なんだって!」
ある意味これは、切り札だった。モーリツを味方に引き込むための。
アシュラは、パリの大使館に持ち込まれたナポレオンの遺品の箱から、丸薬を持ち帰った話をした。百日天下の折、ナポレオンがルイ十八世のテーブルから持ち帰った小箱に入っていた丸薬だ。
「解毒剤は、もとはルイ十八世が用意したものでした。自分達の身を、敵が仕掛けてくる毒から守る為に。ブルボン家では、毒の研究をしていた筈だ。だから、敵が仕掛けてくる毒に対する解毒剤は、同時に、彼ら自身が使う毒に対しても、効果を発揮するはずです」
「ああっ!」
不意にモーリツが飛び上がった。
「アングレーム公妃がおっしゃっていたのは、このことだったんだ!」
……「なにしろ、あの泥棒は、ルイ一八世(叔父上)のテーブルから……」
「小箱を盗んだのだ、と言いたかったわけですね、フランスの王太子妃は。もうこれで決まりじゃないですか。あの丸薬は、ブルボン家の解毒剤ですよ。それにしても、わざわざ従者に手紙を託して僕を追いかけさせておきながら、そんなに大事な情報を書き忘れるなんて!」
ウィーン間近で追いついてきたエステルハージ家の馬の汗を思い出し、アシュラは憤慨していた。王太子妃の漏らした言葉を知っていたら、もう少し早く、丸薬が解毒剤だと気づいたはずだ。フランツの苦痛もより短く済んだに違いない。
モーリツも負けてはいない。
「お前こそなんだ。
「貴方を待っていたら、彼を救えませんでした!」
負けじとアシュラも喚く。
「皇帝のご病気もライヒシュタット公の悪心も、毒が使われたのは明らかだ。それなのに、
モーリツが真顔になった。アシュラが彼と知り合ってから始めて見せる、真剣な表情だ。
「わかった。去年三月のホーフブルク城の厨房スタッフと、今年夏のグラーツ城のスタッフ、両方に共通する者を洗い出せばいいんだな?」
「両者に共通するのなら、食品納入業者や、水、燃料の調達係も」
「よし。この際だから、徹底的にやろう。エステルハージ家の伝手を使って」
「尋問するんだったら、俺も立ち会わせてください」
ここで引き下がる気はない。
「なら、一緒に調べよう」
モーリツが提案した。
「貴方とですか?」
「いやか?」
「いえ……」
名前を貸してくれるだけで充分なんだけどな、と、アシュラは思った。フランツに取り入る為なら、この遊び人の貴族は何でもやりそうだ。
「いいか。さきがけは許さないぞ」
「貴方こそ」
しばしの間、二人は睨み合った。やがて、モーリツが笑い出した。アシュラの口元も緩む。思った通り、エステルハージの若君は、フランツの味方になってくれそうだ。彼を放蕩の道へと誘い込みさえしなければ。
モーリツが言う。
「実は、そんなことより、ライヒシュタット公に悪い噂が立ちかけてるんだ。早くなんとかしないと、大変なことになるぞ。一刻も早く、彼と近づきにならなければ。僕なら、悪い噂を消せるから」
「貴方とつるんで遊び歩く姿を見られる方が、よっぽどダメージが大きいと思いますが」
モーリツ・エステルハージは、ウィーンの悪所なら、大抵制覇したと囁かれている。
「何を言う。俺は、彼の社会教育の為に、ウィーンの各所に連れ回すつもりであって、決して……、」
「何なんです?」
モーリツの言葉の途中でアシュラが割り込んだ。
「は?」
「だから、悪い噂ですよ。ゴシップの気配でも、あるんですか?」
ひどく気になった。薄ら笑いをモーリツは引っ込めた。
「F・カール大公の妃だ。ゾフィー大公妃だよ」
「ゾフィー大公妃?」
三年前に輿入れてきた、フランツの叔父の妃である。
「ライヒシュタット公と二人で連れ立って、劇場や音楽会に通っている姿が、あちこちで目撃されているんだ。僕たちも、二人に会ったことがある」
「僕たち?」
「連れがいたんだ。おツムはちょっとアレだけど、なかなかかわいい子で……、いずれ彼に紹介したいと思っている」
とんでもないことを口走っている。アシュラは呆れた。
「貴方、プリンスと面識があるじゃないですか」
「一度会って、挨拶しただけだよ。僕は彼と、きちんと付き合いたいからね。親にも認めてもらいたいし」
「……相手は女の子じゃない。貴公子ですよ?」
「貴公子だからだよ! ゾフィー大公妃とプリンスは、夜遅くまで遊び歩いている。こんなんじゃ、悪意ある噂が流れるのも、時間の問題だ」
アシュラは鼻で笑って一蹴した。
「何を馬鹿な。ゾフィー大公妃は、プリンスの叔父君の奥さんでしょ? 彼の叔母君だ。年齢だって、六つも年上だし。プリンスは、母上……じゃなくて、姉君に付き添うような気持ちで、エスコートして差し上げているのでは?」
「そりゃ、プリンスの方は、そうかもしれない。でも、大公妃の方は、どうだろう」
アシュラは目をむいてみせた。
「ゾフィー大公妃は、母上が遠くにいるライヒシュタット公を、思いやって下さっているだけでしょう。それこそ、母君のような気持ちで、なにくれとなく、世話を焼いて下さっているのだと思います」
「だが、人の噂というものは恐ろしいものだ。後ろ暗い所がないから大っぴらにしているつもりだろうけれど、それで墓穴を掘る者は大勢いる。無いこと無いこと噂されて」
あたかもそういう人を知っているかのような口ぶりだ。恐らく自分の経験だろう。
「それにプリンスは、女の怖さというものをまるでわかっていない」
「女の怖さ?」
「打算というか、生身のいやらしさというか。くねくねしてて、生臭い。計画性があるようで、衝動的だ。そして、理屈が通じない」
「? 何です、それは?」
「だから、男にはわからない、謎の怖さだよ! とにかく、これ以上、大公妃を彼に踏み込ませないことだ。プリンスは、純粋で、魅力がある。彼女は、彼を、憎からず思っている。……今はまだ、それでいい。だが、そのうちに……」
モーリツは、遠くを見た。
「……そのうちにきっと、彼女は彼を利用する」
「利用、ですって?」
「そうだ。利用して、捨てる。それは、間違いない。だって、大公妃だぜ? 彼女の産む子どもは、間違いなくこの国の帝王になる。たとえ夫がどんなにつまらない男であっても、この結婚をフイにするわけ、ないじゃないか……」
どうやら、モーリツの経験に基づく推測らしかった。つまり、必ず捨てられる、というのは。
杞憂だろう、とアシュラは思う。あのフランツに限って、女性に捨てられるわけがない。かといって、人妻(しかも叔父の妻だ)の大公妃との恋が実ってしまうのも、それはそれで問題だったが。
アシュラは、ちらりとモーリツを見た。今日は貴族の子弟の水泳大会なのに、なぜ彼は、水着でないのだろう。
「泳がないんですか?」
高飛び込みは、軍務を志望する者たちの度胸試しでもあった。飛び込み泳者たちは、だから、貴族の次男、三男が多かった。
「大切な跡取り息子や、甘やかされた御曹司は、向こうの池ではしゃいでいますよ……」
早くあっちへ行けと、目で追いやる。モーリツは、顔を顰めた。
「水泳だって? やめてくれよ。僕は、運動の為の運動は、やらない主義でね」
「じゃ、とっとと日陰に入ったらいいじゃないですか。森の木陰のテントには、令嬢たちもたくさん来ているそうですよ」
「今は、令嬢どころじゃない。お前も知ってるだろ? 僕のターゲットは……、」
モーリツが言いかけた時、川べりの観客達から歓声があがった。見上げる崖上には、背の高い、すらりとした泳者が、列の先頭に出ていた。
「
観客の誰かが叫んで、口笛を吹いた。
泳者は、踊るような足取りで崖縁に近づいてくる。
「……!」
そのまま立ち止まりもせず、なんのためらいもなく、一気に、崖下目掛けて飛び込んだ。
「げげ。ためらわずにいったな」
モーリツがつぶやいた。
観客達からも、どよめきが上がった。
頭を下に飛び込んだ体は、きれいな放物線を描いて、水に吸い込まれていった。両手の指先から、優雅に、着水し、ほとんど水しぶきをあげず、フランソワの体は、青い水の底に潜った。
息詰まるような時間が流れた。
「あれ? 浮いてこないぞ?」
モーリツが腰を浮かせかけた時、はるか川の真ん中から、金色の頭が、ひょっこり浮き上がった。
盛大な拍手が沸き起こった。
「うん、さすがは、プリンスだ。なんという思い切りの良さだ!」
立ち上がり、モーリツも盛大な拍手を送っている。
「そうだ! そうでなくちゃ。やっぱり、僕が見込んだだけのことはある!」
ふと、座ったままのアシュラに気がついた。
「おい。お前も、拍手くらいしろよ」
「あれくらいのことで、俺は、」
アシュラは言った。
本当は、腰が抜けて、動けなかったのだ。
そわそわと、モーリツが立ち上がった。
「やっぱり彼だ! 彼しかいない! 君も見たろう? あの、勇気! あの思い切りの良さ!」
「思い切りって、あんた、プリンスに何をさせるつもりなんだ?」
「なにも。僕はただ、彼についていくだけさ。彼は、それだけの器を持った男だ。もう、僕は、待ってられない」
「ちゃんとしたおつきあいは、どうなったんだよ……」
「世の中には、情熱が先行することだってあるんだよ!」
観客に囲まれて称賛されているフランソワのところへ行こうとする。
アシュラは、そのシャツの裾を掴んだ。
「だめだ。少なくとも、今日は、ダメ」
「いや、もう、待てない。お前が紹介してくれないのなら、いい、直接行って、彼と話してくる!」
「だから、待てって!」
「こら、シャツをひっぱるな。あれだけ人が集まってるんだ。あの中に紛れて……」
「プリンスが、あんたなんか、相手にするものか!」
「いや、彼は、僕と友達になってくれるよ」
「なんだ、その根拠のない自信は? プリンスが、家庭教師の許可のない人間と、友だちになったりするもんか!」
「大丈夫だ。少なくとも僕は、カール大公の許可を得ている」
「カール大公?」
モーリツが、毒殺未遂について、相談に行って、洗脳されて帰ってきた皇族だ。
あれから、アシュラは、いろいろ思い出した。
カール大公というのは、あの、情報ダダ漏れの皇族ではなかったか。
彼の子ども達が、「パパは、ライヒシュタット公の父上に負けたの?」などと言って、けらけらと笑っていた
カール大公というだけで、すでに、信用できないというのに……。
「カール大公? の、許可? だって!?」
「そうさ。ぜひ、フランツのそばにいてやってくれ、って、頼まれたのさ。なにせ、僕には、洞察力があるからな」
「わけがわからない!」
アシュラは喚いた。
「とくかく、今は、ダメだ。間が悪すぎる!」
あまりの剣幕に、モーリツは怪訝な顔をした。
「間が悪い? どういうことだ?」
「だって、プリンスは、水着姿じゃないか!」
「水着? 水着がどうかしたか?」
「肌の露出が多すぎる!」
モーリツは、まじまじと、アシュラを見つめた。
「だから、言ったろ。彼は、深窓の令嬢じゃないって」
「あんたに近づけるのは、オスのヤギだって、心配なんだよ……」
「失敬な!」
なおも取りすがろうとするアシュラを、モーリツは振り払った。
すたすたと、フランソワを巡る人垣目掛けて歩いていく。
「ちょっと、ごめんなさいよ」
あつかましくも、紳士淑女を、押しのけている。
人と人の間から、フランソワの姿が、ちらりと見えた。大きな布で、ごしごしと頭を拭いている。水の雫を、全身から、ぽたぽたと滴らせている。濡れた髪が、別人のようだった。
すぐに人の中に埋もれてしまったフランソワを、もう一目見ようと、アシュラは背伸びした。
その時、彼の目の端を、見たことのある男が横切っていった。
「ナンデンカンデン!」
ブルク劇場付きの脚本家だ。
「おっ、お前は!」
振り返って、ナンデンカンデンは叫んだ。
「秘密警察のイヌ!」
アシュラは歯ぎしりした。
秘密警察の一員であることは、否めない。
「なんで、お前がここにいる? あれからまた、セドルニツキ伯爵に、牢屋にぶちこまれたって、聞いてるぞ?」
「昨日、出てきた」
悪びれもせず、ナンデンカンデンは答えた。
「邪魔するなよ。今日は、取材だ」
「取材だって?」
「新作劇のな。今回は趣向を変えて、宮廷劇で行こうと思うんだ。大衆が喜ぶように、うんとスキャンダラスにな。手始めに、『ナポレオン2世―消えた七光り』ってのはどうだ? これは、ウィーンだけじゃなくて、パリでも当たるぞ!」
……ナポレオン。
その名が、アシュラの耳に、不快に響いた。
「やめろ。彼を、父親の名で測るな!」
「偉そうに。政府のイヌが、何を言う」
「うるさい。ライヒシュタット公が、お前を寄せ付けるものか! 彼は、父の名を使って、自分を利用しようとする奴を、忌み嫌っているんだ!」
ナンデンカンデンは、ちょっと、考えた。
「なら、『フランツ、皇帝の孫』で、どうだ? 副題は英語で、『ロイヤル・ビューティー』とか? そしたら、御婦人の受けがいいに違いない……、」
「同じことだ!」
アシュラは叫んだ。
「引っ込め! 帰れ、ヘボ脚本家!」
「なに~~~っ!」
ヘボと言われることが、一番、ナンデンカンデンの心を傷つけるようだった。
脚本家は、鬼の形相で、アシュラを睨んだ。
ふと、その視線がそれた。
脚本家の顔色が変わった。
ナンデンカンデンは、ものすごい勢いで、ライヒシュタット公の一団とは反対方向の、森の茂みに向けて走り始めた。
「……?」
あっけに取られたアシュラの脇を、皇族警護の衛兵らが、駆け抜けていく。
あまりに大声で騒いだので、衛兵達が、集まってきたのだ。ただでさえ、ナンデンカンデンは、前科のある身だ。
「くそ~、覚えてろよ! 政府のイヌめが!」
全速力で逃げつつ、ナンデンカンデンが振り返って罵った。
……そういえば、しきりとフランソワのことを褒めていたけど、
……ナンデンカンデンと違って、モーリツ・エステルハージは、
……一度も、ナポレオンの名前を出さなかった。
改めて、アシュラは思い出した。
もしかしたら、
この期に及んでも、フランソワに紹介したいとは、みじんも思わなかったけれども。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※
ミステリ部分を際立たせるために、モーリツとアシュラのやりとりをかなり加筆しました。分量が増えてしまい、申し訳ありません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます