chapter13 一般的な電話応対 ~取次~
ある日の夕食時のこと…
”プルルルル…”
「美琴~ちょっと今、手が離せないのよ…電話に出て頂戴!」
”パタパタパタパタ…”
「はいは~い」
”ガチャ”
『はいっ』
『…』
『……はい、ちょっと待って下さい』
”ポチッ”
”♪~”
「ママ!ママ宛だよ!!」
「誰から?」
「えっと…さっきまで覚えていたんだけど…」
「…まぁ、とりあえず出てみるわ」
”ポチッ”
『はい。嶋尻でございますが…』
”ツーツーツー…”
「あらっ。切れているわ…」
「もう!これじゃこっちからもかけ直せないじゃない。美琴!家の電話に出る時は、メモとペンを用意してから出なさい!って、何回も言ってるじゃないの!!」
***
美琴さんのお母さんが言うように、電話に出る際は…
・利き手に筆記用具を持つ
・手元にメモを用意する
・もう一方の手で受話器を取る
といった動作で電話に出ます。
これは、もちろん…
・相手の会社名や名前
・電話の用件
・相手の連絡先
などのメモを取るためです。
人間の「記憶」ほど、アテにならないものはないと言われます。
その場では「覚えているから忘れない」と思っていても、いざそれを他の人に伝えようとした時には、もうその記憶が失われてしまっている、といった経験をしたことはないでしょうか?
プライベートなら「ごめん」で済む問題も、ビジネスでは謝っただけで済む問題ではないことも多いものです。
『記憶より記録』をモットーに、電話をする際は必ず「メモ」と「筆記用具」を持って臨みたいものです。
***
”バタン”
「ただいま~って、母さんに美琴…電話の前で何やってるの?」
「お帰り、真琴」
「早かったね」
「まぁそれはいいとして…で、何があったの?」
「さっき、家に電話がかかってきたんだけど、美琴がうまく取り次いでくれなくて…」
「美琴…またメモとペンを持たずに電話に出たんでしょう!」
「まぁ、その…その通りなんだけど…」
”プルルルルル…”
”モクモクモクモク…”
「…何か、焦げ臭くない?」
「あぁ!お鍋、火にかけっぱなしだったわ!帰ってきたばかりで悪いけど、真琴、出てちょうだい!」
「わかった」
”ガチャ”
『はい、嶋尻です』
『…』
”ササササササササ…”
『……○○商事の××様ですね。いつも父がお世話になってます。少々お待ち頂けますか?』
”ポチッ”
”♪~”
「母さん。父さんの会社の××って人からよ」
***
まず、真琴さんは電話に出た際『嶋尻」と名乗りました。
そして、相手が話をしている際に、用意しておいた筆記用具とメモ帳を使ってメモを取り、それを見ながらお母さんに電話を取り次ぎました。
ビジネス電話においても、電話に出た以外の人宛の電話だった場合は、以下のような手順で取り次ぎを行うのが一般的です。
1.会社名と自分の名前を名乗る 例「はい!○○物産でございます」
2.相手が名乗った内容を確認する 例「株式会社○○の××様でいらっしゃいますね。」
3.日頃のお礼の挨拶をする 例「いつもお世話になっております」
4.取り次いで欲しい人の内容を確認する 例「主任の△△でございますね。少々お待ち下さい」
※相手の会社名や名前、用件等は必ずメモを取る
***
「何か、電話しながらメモを取るって、どうしても慣れないんだよねぇ…」
「でも、取り次ぐ相手に正確に伝えるには、やっぱり「記憶より記録」なのよ」
「へ~い」
chapter14 に続く
~検定問題にチャレンジ!!~
総務課の早川直樹が外線電話に出ると相手は「A製品の件で聞きたいことがある」と言う。しかしそれだけでは、営業課、製造課、配送課、広報課など取り次ぐ部署が分からない。このような場合、早川はどのように言うのがよいか。次の中から『不適当』と思われるものを1つ選びなさい。
(第19回ビジネス電話実務検定知識B級より)
「1.「恐れ入りますが、A製品のどのようなことについてのお尋ねでしょうか?」」
「2.「恐れ入りますが、A製品の件とおっしゃいますと具体的にどのようなことでしょうか?」」
「3.「A製品の件だけですと取り次ぎはできかねますので、部署名をお教えいただけますか?」」
「4.「担当部署にお電話をつなぎますので、ご用件についてもう少し詳しくお聞かせ願えますか?」」
『不適当』な選択肢は…
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
「3.「A製品の件だけですと取り次ぎはできかねますので、部署名をお教えいただけますか?」」
~解説~
部署名が分かっていれば、相手は直接その部署へかけたり、部署名を言って取り次ぎを頼むなどするはずです。この場合、部署が分からないから総務課へかけてきた可能性が高いので、用件を相手に尋ねて適当な部署に電話を回すのが仕事というものです。
総務課で働く早川が、電話相手に分からないであろう部署名を聞くというのは『仕事の仕方を心得ていないので不適当』ということになります。
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