カモメのトフミと風船

17#心に風船を宿すカモメ

　ざざーーーーーーーん・・・

　ざざーーーーーーーん・・・

　ぎゃあ！ぎゃあ！ぎゃあ！ぎゃあ！ぎゃあ！

　俺はセグロカモメのトフミ。

　自由な放浪カモメのトフミだ。

　『風船カモメ倶楽部』という肩書きはあるが、

　誰にもとらわれない、気ままに風に乗って、

　あの海岸、

　あの港、

　あの干潟、

　あの川沿い、

　あの沼地、

　次はどこだろうか？

　まいいか。

　そうさ！

　俺は風船だ。

　自由にフワフワ飛んでいく風船だ。

　高揚すると、ぷぅーっ！と気持ちが膨らみ、

　落ち込むと、、ぷしゅーっ！と気持ちが萎む。

　でも、

　生きることを止めない『割れない』風船。

　だって、生きることが楽しいもん！

　海、

　空、

　風、

　そして仲間達。

　俺はそこにそれらがあるから、無限に生きる希望が風船のように膨らみ続ける。

　俺は風船だ。

　俺は風船が大好きだ。

　ある時は危害を加えられるかも知れない。

　でも、それがどうした。

　俺はあえて『それ』を受け止めようと思った。

　だって、俺自体が『風船』みたいなものだからだ。

　そう。

　俺は自由な風船。

　風船。

　風船。

　風船・・・

　あっ！

　風船が飛んでる・・・！！

　おーい！待って！

　遊ぼうよ！

　ちょっと元気無いね。

　俺が、息でも吹き込んでやろうか？

　おーい！風船！

　待ってぇーーーーー！！

　ぎゃあ！ぎゃあ！ぎゃあ！ぎゃあ！ぎゃあ！　　

　ざざーーーーーーーん・・・

　ざざーーーーーーーん・・・

　～カモメのトフミと風船～

　～fin～