【新番組予告】魔法少女すぺる☆マギア

国丸一色

【新番組予告】ドキドキ☆初体験! 魔法少女すぺる爆誕!

(ど、どうしよう……桝太のこんな場面に出くわしちゃうなんて……!)


 花も恥じらう14歳の女子中学生こと、わたし白子浜すぺるは、今この時、人生最大のピンチに見舞われていたんだ。

 ところは、幼馴染みの別所桝太の部屋。白子浜家と別所家は隣り合っているから、自室のベランダを伝うことで行き来がし放題なんだけど……。


 桝太が夕食のために一階のリビングに降りていったのを確認したから、わたしはデイリーミッションでもある全裸での桝太の部屋徘徊に勤しんでいたの。デイリーログインボーナスを手に入れるべく目を皿のようにして部屋を漁っていたらさあ大変。


 夕食を終えた桝太が部屋に戻ってくる足音が聞こえちゃったから、わたしはあわててクローゼットに隠れたんだ。全裸で。そしたら……!


「……はぁはぁ……うっ、くっ……すぺる……」


 クローゼットの格子から覗く桝太の後ろ姿。

 ぬちゃぬちゃと湿り気のある音に続いて、桝太が漏らす切なげな吐息が耳朶を打つ。

 桝太はこちらに背中を向けているから、彼がどんな表情をしているのかまでは読み取ることはできない。だけど、保健体育の教科書を隅から隅まで嘗め尽くすように読み込んだ絶賛思春期のJCであるわたしには、桝太が何をしているか手に取るようにわかっちゃう。

 ズバリ、自慰だ。言い方を変えればマスターベーション、ひとりえっち、自己発電、オナニー。やだわたしったら直接的! ガイドライン大丈夫かな!?


 別所桝太14歳、クラスでいちばんのイケメンと名高いわたしの幼馴染みは、自室でシコシコパーリィタイムの真っ最中だった。正面からじっくりねっとり舐めつけるように視姦できないのがもどかしい!

 

 って、それよりわたしがすっごく気になるのはその……男の子は性的興奮をより増大させるためにえっちな本とかいろいろ使うらしいけど……らしいけど!


(どうしよう……あの桝太がわたしを脳内であられもない姿にひん剥いてるなんて……嬉しい……!)

「すぺる……うおおおお……すぺる……っ!」


 普段はそっけないくせして、情熱的にわたしの名前を呼び続けながら右手を動かし続ける桝太。そんな真剣な姿に、心も股間もきゅんときちゃう。あ、なんか垂れてきたかも。


 ――って! 違うよ! 違う!

 今は桝太のズリネタが問題なんじゃなくて、わたしがクローゼットに隠れているっていうのが大問題なんだ! しかも全裸で!


 桝太はムッツリスケベだから、わたしが桝太のこんなクリティカルな場面を目撃したと知ってしまった場合、今後一切口を聞いてくれなくなる恐れがある。あと警察を呼ばれたりでもしたらたぶん問答無用でわたししょっ引かれる。

 

 それはまずい。桝太と話せなくなったらわたしは精神崩壊しちゃうもんなあ。

 どうにか桝太に気づかれないように……秘密裏にここを抜け出して部屋に帰らなくちゃいけない。

 ふふ……こんなに難易度が高いミッションは別所家の洗濯カゴから夢精した桝太のおぱんつを拝借した時以来かもしれないね……!


 もしも桝太がクローゼットの扉を開けてしまったらそこですべてがおしまいだ。だから音を立てるわけにはいかない。息を殺して、嵐もとい桝太の性的興奮が過ぎ去るのを待つ。

 幸いにして桝太はまだお風呂に入っていないみたいだから、ことが終われば部屋を後にするだろう。今はただ存在感を消す……その一手だよ、白子浜すぺる!


 なんてことを考えていたら、桝太の自慰は佳境に差し掛かっていた。


「……すぺる! 出すぞ! すぺる! すぺる!」

(ら、ラストスパートなんだね桝太! しかもそんな情熱的にわたしの名前を!!)


 右手を動かすスピードが倍加……いや、あれは三倍は速くなってる!? 化け物か!?

 いったいどれだけの負荷をかけて桝太の桝太スティックをいじめ抜いているというの!?


 クローゼットからでは背中しか見えないのが本当に口惜しい! 口惜しいよ!

 絶頂へ秒読み段階の桝太の凛々しくも少し情けない顔を見たい! すぺる脳内フォルダに焼き付けたい! 鍵をかけて永久に保存しておきたい! わたしのピンクな脳みそにSDカードを差し込めたらいいのに!


 それにわたしの名前をあんなに連呼してくれるなんて……思わずわたしの右手も秘部に伸びちゃ……っとお! クローゼットで水音がしたら流石にバレる。それはダメ。興奮するけど我慢よ白子浜すぺる!! ふへへこれはこれで興奮するね。


「うっ……! イくッ……!」


 数秒後、桝太の熱っぽい言葉と共に右手の動きが止まった。

 ああ、終わったんだね桝太。全てを見届けていたわたしの心に去来するのは満足感――それとも虚無? もっと見ていたかったという思いと、これで全裸クローゼットから解放されるという安心感がわたしを包み込む。


「ふぅ」


 いそいそとティッシュペーパーで後始末を行なってから、桝太はそれを傍のゴミ箱に捨てた。わたしの視線はもう、あのティッシュに釘付けだ。

 くしゃくしゃに丸められ乱雑にゴミ箱に捨てられてしまったあれ……めっちゃ欲しい。思わず生唾を飲み込んでしまう。ジップロックに突っ込んで保存すれば……三日はネタに困らないね。ごくり。


(桝太がいなくなったらティッシュを速攻回収……そのまま部屋に戻る。完璧な作戦だよわたし!)


 そうと決まればあとは桝太が部屋を出るのを待つだけ……。

 なんだけれど、そこからが長かった。

 桝太は一発致した後だっていうのにゲームを始めちゃうし、漫画も読み始めるし。ぱんつが少しかぴかぴになっちゃわない? だいじょうぶ? いやわたしはそんなおぱんつを拝借するのも好きなんだけどね?


 けれど結局、桝太はその後二時間くらい部屋でゴロゴロしたのち、ようやくおばさんの声に呼ばれてお風呂のために部屋を後にしたのだった。


「も、もうおかしくなっちゃうよ……」


 わたしは気疲れと真っ裸でいることによる寒気、そしてすぐ目の前にあるというのに二時間もの間お預けにされてしまった桝太ティッシュから漂う芳しい芳香の三者に責め立てられながら、這々の体でクローゼットから這いずり出た。


 兎にも角にもまずは宝物を確保しなくちゃ……。

 砂漠で備蓄の水をなくした旅人がオアシスを求めるように、わたしもまた桝太のオナティッシュを求めてゴミ箱へ手を伸ばす。ああ、ここがわたしのシャングリラなんだね!


「うわぁ……全裸で想い人の部屋に侵入して廃棄物まで回収しようとする女子中学生がいるなんてたまげたなあ」

「えっ!?」


 今のわたしの状態をあまりに的確に指摘する声が聞こえてきて、私は思わず振り返った。まさか桝太が帰ってきたの? いや違う、これは桝太の声じゃない。じゃあまさか、誰かが桝太の部屋に侵入している……?


「やあ、白子浜すぺる。キミほどの逸材はそう見れないよ。ボクは感動している」


 そんなことを言いながらわたしの目の前に姿を見せたのは、宙に浮遊する紅白ストライプ柄の卵。私の知っている、ドラッグストアで売っているアレと決定的に違うのは、この謎物体にはくりくりとした目がふたっつ付いていて――。


「――ボクはTENべぇ。すぺる、僕と契約してスペルマギアになってよ!」


 わたしと、謎の紅白ストライプ卵型生物、TENべぇ。偶然のこの出会いが、わたしの運命を変える――!



***



「オマエは、スペルマギア第一位階……≪精液の白≫か」


「そういうあなたは、第二位階……≪赤玉の赤≫……?」


「気を付けてすぺる、ヤツはマジカルステッキを酷使しすぎることで悪名高いスペルマギア……悪の魔法少女だ!」



 同じような変態魔法処女――魔法少女との、数多の出会い、数多の別れ!



「そんな……スペルマギアとしての力が出ない! どうして!?」


「≪白≫、あんたの力の源は、あんた自身が別所桝太のズリネタであるか否かってのは調べがついてるんだよ……!」


「なっ――!」


「別所桝太に聞いてごらん? 昨晩のあの子のズリネタは……昼間の授業でブラチラしていた女教師のこの私だってことをねえ!」


「お、女教師という立場を利用してなんて卑劣な! 歳を考えなさい!」


「歳は関係ねえだろ歳はよォ!」




 そして、魔法少女スペルマギアと敵対するなぞの組織、ミルフ……! 

 平凡な女子中学生だった私の運命、これからいったいどうなっちゃうの!?



 新番組、魔法少女すぺる☆マギア、土曜日深夜25時から放送開始!



「艶めく白濁、力に変えて! 放てマジカルスペル(マ)バースト!!!」

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